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ウタウタイのまいにち

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こんにちは!あそびに来てくださってありがとうございます。このマガジンには詩を投稿して行きます。恋心や切ない気持ちや自然への想いやetc.インスピレーションなれたらまかせて詩を書く…
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#詩

電車を待つ

いつか必ずいなくなるその人と今一緒に居られるということの奇跡 そんなことを真顔で言ったら きっとバカにされるんだろうな それか気持ち悪がられる それでもわたしは そういうことを考えながら生きてしまう 目の前にいる人と 最後はお別れなのだということを 心のかたすみでしっかり感じながら生きてしまう だから何気ない普段の会話や 普通のやりとりが苦手だ 他愛のない 無邪気な あのやりとりが簡単にはできない 心の奥で 遠く離れたところから見ている自分がいるからだ それはでも

つなぐ

優しさはどこから わいてくるのだろう 人はみな不器用で それぞれ伝えきれず 受けきれずに 未来を探しているのに 柔らかなゆるやかな 甘やかな細い糸が 幾重にも重なって繋げている みんなを

ここから

きっとだれでも今ここで そうとしかありえない という場所に立っている 心のなかに柔らかくて白い小さな核がある その核に触れることはできないけれど 肌のように温もりがある明るい光が 脈打つように呼吸している そうとしかありえない場所に立ったそのときから 与えられている自由がある その自由はときに未来と呼ばれ あるときには過去とも呼ばれ 色を形を変えて わたしたちを優しく包んでいる わたしたちは脈打つ心臓 鼓動で繋がる命 出会いという運命に束ねられた 光の集まり 過去も

ききみみ

人がなにかを言っているときには 同時に何も言ってはいないということにも 気がついているほうがいい 伝えたい何かは 伝えている何かではなく 伝えられない何かなのかもしれないから 人がだんまりするのだとしても もう伝えられるようなことが 何もなくなってしまったのではないと 気がついているほうがいい ことばに行き詰まるとき もっとべつのなにかが ちゃんと届けるものがあって それは伝わった後でさえ 思い出せないこと