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60歳手前で都内に狭小住宅を建てる08:「住宅の性能」を決めるワケ

以前の我が家は、断熱も気密も取れていない築40年の住宅であった。
漠然と「建て替えれば、今より良くなるだろう」程度にしか考えていなかった。言ってしまえば、施主側が、本来あるべき住宅の姿をイメージできていなかったのだ。

住宅は、長期の資産である。
また、住宅の性能は簡単にリカバリーできないと考えるべきだ。
断熱も気密も換気も施工の際にするのがもっとも安価だから、このタイミングを逃してはならない。

住宅の性能を決めるにあたり「10年から20年後の最低基準」を意識しても良いのではないかと考えている。
前の項目で書いた
 ・耐震等級はグレード3
 ・断熱性能に関しては、Heat20のグレード2以上。
  関東だとUa値は0.46以下。
 ・気密性能はC値1.0以下。
ゼロエネルギー化など進めば、今後の住宅の最低限の基準となりそうなラインだ。
ペラペラで、隙間だらけな家を、自然エネルギーで温めたり、冷やしたりするのは大きなエネルギーのロスだ。
耐久性は、建物そのものの消耗だけではない
陳腐化も大きな意味で耐久性と考えるべきだ。

また、これらの数値を施工者にぶつける意味は、たくさんある。
例えば、Ua値は「計算値」だが、気密を表すC値は「実測値」だ。
つまり、雑な施工をされたら、C値はよくならない。
数値は、あくまで目安であるが、C値を意識する施主の住宅で雑な施工はし難くなると思ってよいだろう。

反面、施主にとってのマイナスもある。費用が膨らむのだ。
費用は、モノの値段だけではない。
材料費+手間×工数(時間)+利益
性能をあげればお金がかかる
ところが、性能を理解する施主は少なく、施工者にとっては、非常に分かりにくくアピールしにくい。
そこそこの性能の家と高性能な家は、引き渡し後でしか分からない。
住み比べることも出来ないので、金額の差を言語化することも難しい。
工務店やハウスメーカーが性能を前面に出しにくい理由がこれだ。

住宅の性能は、施工方法や施工する人(大工さんなどの職人さん)と密接している。
施工先を選んだあとで、性能を追求するのは難しい。
できないことや不慣れなことをやれば、予算は更に膨らむ。
なので、選定時点で施主は、住宅の性能を意識して発注先を選ぶ必要があるのだ。
(つづく)

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