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MVP売り込みおじさん ~新規事業伴走メンタリング⑩~

メルセネール・大道寺です。
今回は新規事業開発における、「仮説検証」がテーマです。その中でもMVPを用いた検証インタビューに関して扱います。

ケース あるメーカーの新規サービスMVP

あるメーカーさんにて、新規サービスのMVPを初期的に作っていました。検討チームのこだわりもあり、モックアップベースで開発、動作はしないのですがハードウェア含め体験イメージを持たせるものを作りました。

それを持って以前に課題感を教えて頂いた相手に再度訪問。
課題と解決策が合っているか、いわゆるPSFを行いに行きました。


検討チーム:
「先日お話頂いた課題を踏まえて、それをこんな形で解決できるのは無いかというモノを持ってきました!」

顧客候補:
「へえ~、こんな感じになるんですね。」

検討チーム:
「こちらのモノのご説明をさせて頂きますね。まずここを・・・」

顧客候補:
「ちょっと触ってみてもいいですか?、・・・うーん、なんかここのボタン配置だと押しにくいなあ」

検討チーム:
「あ、そこはこのように持っていただかないと押しにくくなっています」

顧客候補:
「この大きさだとウチの業務上は使いにくそうですね・・・」

検討チーム:
「いえいえ、このように置いていただければ使いやすいです!」


終了後、検討チームの一部は満足げで、いろいろ伝えられた感が出ていました。一方でお相手は「もういいか・・・」という感じでげんなりされていました。


MVP売り込みおじさん

私はこの状況を「MVP売り込みおじさん」と呼んでいます。

持ち込んだMVPを相手に受け容れてもらえるように、説明を繰り返し、否定的な言葉を何とか切り返し、一生懸命になってしまっている状態のことを指しています。

MVPを作りこんでいく、またそこに自分が一生懸命研究してきた技術が活用されたりすると、非常に愛着がわいてくるものです。

それは全然おかしいことではありません。

ただ注意しなければいけないのが、ローンチされたプロダクトではなく、あくまで”MVP”であるということです。

MVPは売れなくてよいのです。

MVPはあくまで顧客の課題と解決策がFitしているかを確認するための手段です。ローンチ後に売れない・・・という状況を避けるべく行う活動です。


なので、

「MVPは否定された方がいい」

ということになります。

否定されながら、その理由を確実に拾って修正していくことこそが、本当の愛着と言えるでしょう。

インタビュー時のコツは、”基本的には敢えて説明しない”、”渡すだけ”、です。

それを渡された相手が何を思うのか、どんな言葉を発するのか、どこで目や手が止まるのか・・・それを確認しにいきます。

既に課題感を教えてくれた相手で検証することが多いはずですから、課題とどうつながっているかなど詳細に説明する必要はありません。

相手が純粋にどう感じたかを確認することがMVP検証での重要事項です。


営業部門がなぜ新規事業担当を連れて行かないか?

新規事業担当の方から、

「営業部門がお客さん先に連れて行ってくれません。MVPの検証をしたいのに。。。」

というお話をよく聞きます。

これは新規事業担当者の多くが、MVP検証をするといいながら『〇〇サービスのご紹介』という資料を作ってしまうことに起因します。

顧客からしたら、「いきなり提案されてるぞ。しかもまだ売り出してない実験中のモノ?それをウチに?」となってしまいます。

営業担当からしたら、「大事な顧客に何してくれてるの?他の商材の話が進んでいるのに・・・」となります。

この手の苦い経験から、営業担当は新規事業担当者のMVP絡みの話には消極的になるのです。

MVPを持ち込むときの資料で『〇〇サービスのご紹介』というタイトルや、資料構成は避けましょう。あくまで課題認識を確認する資料であるべきで、タイトルも”ディスカッション資料”的な内容にする方がよいです。


言われてみれば当たり前なのですが、実はけっこう多い”MVPを売り込んでしまうケース”を取り上げました。


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