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【Mercari Designer’s Voice #2】UXリサーチャー - UX research 編 - @chanu

こんにちは。今回バトンを受け取りました、メルカリのUXリサーチャーの@chanuです💃

私は2018年の10月にメルカリにPMとして新卒入社し、その後UXリサーチャーとして働き始めてからて4年が経ちました。PMからUXリサーチャーへのキャリアチェンジ、そしてリサーチの基盤作りや他チームとの連携など記事に書きたいことが山のようにあるのですが、今回は「メルカリのUXリサーチャーってどんなことをしているの?」「今までメルカリのリサーチってどんなことをしてきたの?」といった話題を中心にお届けしていきます。
メルカリのリサーチの現場の雰囲気がどのようなものなのか、この記事を通して少しでもお伝えできると嬉しいです。

1.メルカリのUXリサーチャーはどんな人と、どういった流れで仕事をしているのか


業務を進める上でUXリサーチャーと主に一緒に働くのがデザイナー、アナリスト、プロダクトマネージャー(PM)です。プロジェクトの中でリサーチを進めるに当たって、デザイナーは私達にはなくてはならない存在です。例えば、課題に対するソリューションをメンバーがイメージしやすいようビジュアライズ化したり、ステークホルダーを巻き込んでのワークショップを行ったりといった場面では彼らの協力が欠かせません。特に、リサーチで出てきたインサイトや「ここ重要なんだけどどうやったら他のメンバーに伝わるんだ…(泣)」と思い悩んでしまったとき、デザイナーが詳細を汲み取って共通認識を作ってくれたおかげで他のメンバーとのコミュニケーションがとりやすくなりものすごく助かった…という場面が今までに何度もあります。

また、メルカリのUXリサーチは定量と定性の調査を組み合わせて進めていくことため、多くのプロジェクトで自然とアナリストとの関わりが深くなります。お互いの観点や強みを補完しあいながらリサーチのプランニング段階からアナリストの方とプロジェクトを進められるというのは、非常に恵まれた環境だなぁと常日頃感じるところです。

2.メルカリのUXリサーチってどんなことをしてきた/しているのか


メルカリのリサーチでは、主にアンケートお客さまインタビュー、コンセプトテストやUT(ユーザビリティテスト/ユーザーテスト)を行なうことが多いです👩‍💻お客さまとお話する際、以前はメルカリの東京オフィスにお越しいただくという形をとっていましたが、ここ数年、こうした数々のリサーチは全てオンラインで実施・完結しています。コロナ禍で余儀なくされたオンライン環境でのリサーチ運用のための整備は、始まった当初は試行錯誤の繰り返しで慌ただしいものでした。リサーチャー同士でまずトライしてみて、うまく行けば他の人もできるように手順を一からマニュアルにまとめ、新しいツールや使えそうな情報が耳に入ってきたらまた試してみたり。スマホの画面をどうしてもPCへ中継したくて繋いでみたら、ハウリングが止まらなくなってみんなでアタフタ…なんてのも今ではいい思い出です。

結果としてほぼ1ヶ月程で完全オンラインでの実施体制が整ったと記憶していますが、いま思い返しても、あのスピード感で柔軟に対応が進められたのは本当にすごい。いかに自分がプロフェッショナルなメンバーに囲まれて、支えてれているのかを実感しました。

そんなこんなで土台作りは大変だった一方で、一度運用が軌道に乗ってみると、オンラインならではのリサーチの良さも見えてきました。個人的には、オンラインでのお客さまインタビュー体制が整ってから、住んでいる場所を問わず、日本全国のお客さまと繋がってお話することができるようになったのがとても嬉しいことでした。お客さまが実際に画面越しでメルカリで購入したものを紹介してくださったり(YouTuberの購入品紹介みたい!)、出品している採れたての野菜を見せていただいたりと、お客さまと東京オフィスで話していたときにはなかなかできなかった様な形での会話ができて、私も日々多くの気付きと学びを得ることができました。

3.メルカリで最近取り組んでいるUXリサーチ(オフライン編)


そして最近では少しずつではありますが、オフラインでのリサーチ復活の兆しがあります。私もついこの間、久しぶりにプロジェクトメンバー同士で現場に足を運んでのフィールドワーク調査を行ない、「立体的に感じられる情報」に感動しました。現場に身を置くことで感じられる音、見える景色、人との会話、周囲の街の様子…思わず「ああ〜この感じ!懐かしい!」と心の声が漏れ出てしまいました。画面越しじゃなくて、全てが3D!
フィールドワークを実際にやってみて改めて特に重要性を感じたポイントを今回は2つ、お話したいと思います。

🗺事前の仕込みを制するものはフィールドワークを制す

これはフィールドワークにとどまらず、他のリサーチ手法でも言えることかもしれませんが、現地に足を運ぶ前に、前もってメンバーと仮説を洗い出し、問を整理しておくと、収集できる情報の量と質がまるで違います。現場でどんなことに着目すべきなのか、洗い出しと優先順位付けがきちんとできていると集中力に強弱がつけやすくなり、様々な人やものに向き合う中で「あれもちゃんと見ておけばよかった…」とあとから後悔するような取りこぼしも防げます。

今回面白かったのは、同じチェック項目を用意していってもいざフィールドワークをやってみると、人によって見るポイント、感じることが結構バラバラだったということ。複数人で行くと普段とはまた違った視点を持ってより多くの気付きが得られるので、事前の仕込みを入念にやってよかったなと思いました。またその場では重要かどうかの判断ができなくても、少しでも気になったことや些細な発見があれば迷わずどんどんメモしまくるのも大事。自分の中で理解しきれなかったことや、行く前に考えていたこと全然違うやん!と目からウロコが落ちた瞬間も、しっかり記録に残しておく📝

そしてこれはインタビューと同じですが、参加メンバーの記憶が新鮮なうちに振り返りを行うことがフィールドワークにも欠かせません。気付きをシェアし合うだけでも発見が充分にありますし、フィールドワークに出かける前と後ではまるで対象・課題に対する解像度や捉え方が変わってくるので、その体験を参加者同士で言語化して共有することで、自分の中での理解も深まるので、この振り返り時間は本当に大事だと思いました。

🧙‍♂「環境に溶け込む」というマインドセット

これは同行した他のリサーチャーから教えてもらった視点で、私にとってすごくためになりました。フィールドワークといえど、いかにも「調査してます!」という形で現地に足を運ぶのではなく、自分がカメレオンになったかのように、その場の雰囲気や人の行動、会話に自然体で耳をすませていくと、見えてくるもの・聞こえてくるものがどんどん変わってきます。調査テーマや事前に整理したチェックポイントだけにとらわれすぎず、その場の環境に自分を溶け込ませて、好奇心をコンパスに五感をフル動員させることで出会える発見は予想以上に沢山あるのだということが久しぶりのフィールドワークを通して体感できました。

4.リサーチャーって面白い!心に火がついた訪問調査


オフラインのUXリサーチということで、私が過去に関わった印象深いメルカリのリサーチがもう一つあります。それは私がちょうど今の業務に携わるようになって間もない頃、初めて「訪問調査」を行なったときのことです。

🏘人にとってのものの価値は何で決まる?訪問調査で見えてきたこと

当時はリサーチの右も左もわからないような状態で、吸収できるものは全部吸収してやるぞ!と意気込み、必死で先輩リサーチャーとデザイナーの背中を追いかけて現場に到着。このときは、お客さまのご自宅にお邪魔してお話を伺い、実際にお家にあるもので出品できそうなものがないか一緒に探して出品にトライしてもらう、という内容の調査でした。

そもそも仕事で誰かのお家にお邪魔するだけでもドキドキなわけですが、実際にお家の中を見せてもらった上でその人のライフスタイルや、持ち物一つ一つについてのストーリーを聞いていると、通常の1時間半〜2時間のインタビューでは到底知ることができないような、その人自身の価値観や、ものとの付き合い方が見えてきました。

押し入れの中を見ながらお客さまの持ち物についての思い入れ一つ一つをふむふむと伺っていると、さながら自分がこんまりになったような気分。このときに私は、人にとっての「ものの価値・関係性」というのは単純に感情や金銭的な物差しだけでは判断できるものではなく、もっと複雑な要素が絡み合ってその人の価値観や思考に大きな影響を与えているのだということをリアルに感じました。このときの経験はその後関わることになった数多くのリサーチ業務を通じてお客さま理解を深めていく中で、非常に大きな収穫の一つでした。

📚テキストが教えてくれる、お客さまの心の声

他にも、インタビューと組み合わせて日記調査を行なうこともありました。直接お話を伺った際にはあまり多くをお話されなかったお客さまが、日記調査のパートになった途端、ものすごく読み応えのあるテキストを日々送ってきてくれたり、Twitterかな?と思うくらい心の声まで丸出しで思ったことを書き綴ってくださったりと、なるほどお客さまはメルカリを普段の生活で使う中で、こんなことを考えながら出品やお買い物をしてくださっているのか、、、とこれもまた目からウロコの発見の連続でした。

今振り返るとこうしたAHA体験があったからこそ、私の中でもっと色々なリサーチをやってみたい、お客さまのことをもっと理解したい、そのためにリサーチャーとしてのキャリアを積んでいきたい…!と心の中で火がついたのかもしれません。 訪問調査などが本格的に再開できるのはもう少し先かもしれませんが、今後も再びこうしたオフラインでの調査を取り入れて、より深くお客さまの生の声を聞きプロダクト作りに活かせる機会を作っていきたいと考えています。

おわりに


UXリサーチと言ってもその手法や扱うテーマの大きさは様々で、一つとして同じ内容の調査はなく、日々お客さまから教えていただくことや新しい発見は尽きません。

時々、「UXリサーチャーに必要な要素って何でしょうか?」「向いてるのはどんな人だと思いますか?」と質問をいただくことがあるのですが、私の答えは「飽くなき探求心と好奇心がある人」だと思います。というのも、私自身が探究心と好奇心の塊で、もしかしてこの2つが仕事に活かせている?!と手応えを感じるようになったのがUXリサーチに関わるようになってからだったためです。

また、他のリサーチャーと仕事をしていると、その影響もあってか日常の些細なことに対しても、知らず知らずのうちに自分の視点が増えている・変化していることに気付きます。観察眼が鍛えられていくという表現が正しいのかわかりませんが、私の場合は確実に、リサーチを通して自分自身の感性が磨かれたり、日々の中での気付きに敏感になりました。加えて、インタビューなどの調査を通じて得られた一見カオスで膨大な情報を、分析を通じて読み解いていくことの面白さに気付くこともできました。そこには、すぐ側に魅力あふれるリサーチ仲間がいたから、ということが本当に大きいと思います。

またメルカリでは、非常に多くの情報が行き交い、プロジェクトの進行速度も早いです。この環境の中で、リサーチから得た知見をどう他のメンバーに伝えると良いのか、どうすればもっと活用してもらえるのか。日々試行錯誤しならどんどん新しい試みに挑戦できるのは、メルカリのチャレンジを厭わない文化に支えられているところが大きいと思います。
少し長くなってしまいましたが、この記事を読んで、中のリサーチャーと話してみたい、一緒に働いてみたい、など少しでも気になった人はぜひご連絡ください。お待ちしています!

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