初デート

忘年会の3次会に向かう途中、ずっと手を繋いで国道沿いを歩いてた。本当は明日予定があるらしく早く帰りたいみたいだったけど私を先輩たちが待つカラオケ店に送るため、どんどん駅から離れていく。

予定って何ですか、デートですか?

ほろ酔いの私はなぜかキレながらそんな質問をした、ような記憶がある。違うよと否定されたのでそこから畳み掛けるようにじゃあ私といつデートしてくれるんですか?いつ空いてるんですか?なんてまたキレながら絡んだ、覚えもある。

じゃあ10日に、こうして初デートがようやく決まった。

もう2ヶ月半もLINEでやり取りを続けてきておすすめの店や行ってみたい場所の話は割とし尽くしたのに一向に誘われないし行きましょう!的なニュアンスの言葉を送ってもそうですね!みたいな鈍感なフリをされてる感じだったのでここまで随分時間がかかった気がする。

そして新年が明け、仕事始めからの初華金のデートがどうだったかと言うと〝最高〟であった。

お店は私が誘ったので私が決めた。私は鮮魚が苦手だけどあの人はお造りやお寿司とかが好きなのを知っていたので喜んで欲しかったし、大好きな日本酒を飲みたかったのでお気に入りの昭和レトロな居酒屋を選んだ。

仕事の愚痴やら噂話、家族や学生時代の話など毎日連絡をしてるせいかあまり変わったことは話さなかった気がする。むしろ初対面か?みたいな会話で変に初々しい空気になってしまってた気もする。

酔いで眠くなってきたと言うし、お腹も満たされつつあったので一度店を出ることにした。そこから自然に足は駅へ向かってたけど普通に帰りたくなかったし帰したくなかった。いや、迷惑な女だな。

案の定少し酔っていたのでその力で駄々をこねたら明日散髪に行くから終電までなら、と許しを得た。実際はこうなるまで10分くらい駅前で手足相撲みたいな格闘をしていた。あの人のポケットの中で手を繋いでとりあえず近くの居酒屋チェーン店に入った。個室に案内をされた。ありがとう個室。しかも出入りするところが引き戸みたいになっているから閉めたら本当に周りから見えない。ありがとう個室。

そこから4人席の意味なく隣に座っていたし、ちゃんと終電で帰って欲しいけど帰って欲しくないとまた変な駄々をこね始めてしまった。何ならめちゃくちゃ抱きついてしまったし、いい匂いがするって首筋とか胸元のニットの匂いも嗅いでた。完全に笑顔でされるがままになってたあの人も私の頭や背中をポンポンしたり両手でわしゃわしゃし出して今日は帰ろうな?って諭してきた。じゃあ次は?って聞いたら、次は帰ろうな?ってめちゃくちゃ適当に返事をされてそれがなんだか笑えてきたからそのまま終電でちゃんと帰れたよ。えらい!私のくせにえらい!

今まで膝枕してもらったり手を繋いだり肩にもたれかかっても向こうから触ってくることなんかなかったのにいきなりめっちゃ触れてくるのはずるい、ありがとう、多幸、、、でした。付き合ってねえけどな!いつも通りそんな話にもならなかったけどな!

ちゅ〜かまそうとしたことは反省しようと思うけど、あの人も指先で耳に触れてきて変に感じさせてきたことは反省せずにまたやってくれ。下心は強い。

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