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ない物ねだりはさわやかに


#この夏ほしいもの

 引っ越しをした。20年以上住み続けたアパートを引き払い、同じ地域の同じような広さの少しばかり家賃が安いアパートに引っ越しをした。家長としての座を娘にゆずり、部屋選びはすべて任せ、自分がどの部屋に入るのかもおまかせ。台所以外のところは何も責任を持たず、出来るだけ荷物を軽くしてこの6月に引っ越しをした。

 台所は狭くなった。それはそれで工夫のしようはあるし、それはむしろ楽しい時間だった。左側にあったガスレンジが右側に来る。これだけでも最初は「やりにくいな」と思ったものだが、最初にこの街に引っ越してきたときの台所は左がシンク、右がガスレンジだったから間取りを見たときにはとくに問題ないように思えた。

 しかし実際に台所に立つとまるで勝手が違う。とりあえずチャーハンなるものを作ってみたのだが、思うようにフライパンが振れず、やたらと散らかしてしまった。原因は位置の相違以上にその狭さにあった。初めて一人暮らしを初めた1Kの間取りは玄関をあがるとすぐ右手に台所になっていた。台所に対して左右の動きに制限がなく、右にガスレンジがあっても左側にあったるのと同じ位置に立つことができる。つまり体の位置は実家で慣れていた左ガスレンジと変わらない体勢でフライパンを扱える。
 ところが新居の場合それができない。レンジの横はすぐ壁になっているので、体が使えてしまうのだ。

 慣れるまでは仕方がないと、ガスレンジのまわりにアルミ製のガスレンジカバーをダイソーで購入。これによって食材がレンジの裏に落ちることを防いだ。これで一つの問題は解決だ。次に収納スペースが問題となった。一回り小さいというのは、思った以上に「入りそうなものが入らない」という状況を生み出す。
 不要な調理器具は概ね処分してきたのでそれほど収納には困らないと思っていたのだが、これがいわゆる「帯に短しタスキに長し」現象を引き起こし、解けそうで解けないパズル、或いは簡単そうに見える知恵の輪を前に四苦八苦をすることになる。
 前のアパートでも実は収納がきちんとできていたとはいいがたい。ずぼらな性格ゆえ、手の届くところに使い勝手のいいものは置いておきたい性分なので、決して整理整頓ができているとは言えなかったし、台所にそれに関係ないものもやたらと置いてあった。
 これは最初からそうだったわけではなく、子供の成長とともに荷物が増え、それに追いやられた筆者の「使わなくなった私物」を空いたスペースに仮置きしたのがとうとうそのままになってしまい、使わなくなったラジカセ等のオーディオ機器や調子の悪い家電などの墓場と化してしまったのだ。

 つまるところそうした環境を変えるために引っ越しをし、自分で選べばそうしたものの置き場まで想定してしまうだろうことからすべて娘にまかせたのである。カミさんに任せても、結局投げた球はこちらに戻ってくることになるし、息子は我関せず、なんで引っ越しなどするのかと不貞腐れるだけだ。

 さて、スペースの有効利用をするためにちょっとした便利グッズをダイソーで見繕い、狭い調理スペースを拡張し、洗い物を入れる水切りも2タイプ購入して使い分けをすることで、以前よりも機能的になった。ただやはり、それでも足りないもの、欲しいものがある。それがキッチンワゴンだ。その役割をしていた3段スチールラックはサビもひどかったので処分をした。今のところどうしてもそれがないとダメということはない。ただどうしても料理の品数が多い時にはキッチンワゴンは欲しくなる。この夏のうちにものを見極めて購入するつもりだが、今のところ普段作らないようなメニューを含めて、いろいろな料理を作りながらそれを見極めたいと思う。

炊くのを失敗したご飯のリゾット

 ここからが本題だ。前のアパートになくて今のアパートにある決定的なものがある。それは台所を冷やすことができるエアコンである。部屋の間取りで行くとエアコンが設置している場所は直接キッチンに冷風が届く配置になっている。夏でも揚げ物を作る気になれるキッチンというのはまさに理想的だ。もちろんすぐに鶏のから揚げを作り、手を抜きたいときには冷凍食品を揚げ、夏にはやはり揚げ茄子を冷やして頂きたい。


 前のアパートで夏に料理をすることは食事をとる前に一度シャワーを浴びなければならなかったから、それを思えば新天地はオアシスだとも思える。ゆえに今は料理をするのがすこぶる愉しい。

ササミの磯部揚げ

 しかしもちろんいいことばかりでもない。先ほど「部屋の配分も娘任せ」としたが、筆者が割り当てられたのは部屋の間取りで行くと玄関側の東向きの部屋で通路側、風通しのいい大きな窓は同時に早朝からの朝日が直撃するばしょであり、目覚めが早い。それはそれで気持ちがいいのだがなによりエアコンがない。この夏に、この暑い夏にエアコンのない部屋で寝ることになる。引っ越した当初は風通しがいいからまぁ、大丈夫かと高をくくっていたのだが、7月に入った瞬間、眠れない夜が続いた。これはなんとかせねばならぬと「エアコンのない部屋冷却作戦」が発令された。

 エアコンのあるダイニングキッチンから扇風機で風を送ればなんとななるという当初の期待はまるで効果がなかったとから、サーキュレーターと冷感寝具を購入。しかし一定の効果はあったものの部屋の温度をさげるという根本的な解決にはならない。そこで2つのアイテムを購入。
 ひとつはUSB給電で動く冷風機だ。タンクに氷水を入れればそこから吹く風は確かに気持ちがいい。しかし部屋を冷やすほどのパワーはない。その上の最上位クラスであれば効果は期待できるだろうがその予算をねん出するにはかなり厳しいものがあった。5000円未満で購入した冷風機は期待以上のひんやりを提供してはくれたものの、それだけでは快眠には至らない。
 そこで最終兵器として導入したのが予算2000円ほどで購入した「エアコン 送風ホース」である。これはシンプルにエアコンからビニール製の管をエアコンのない部屋に通すという仕組み。

SENUN エアコン 送風ホース

 実際に部屋に設置したのはこちら。

初期設置

 見た目と邪魔にならないように工夫をこのあとしたので、もう少しスマートになっていますが、それもまだ仮の状態なのでこの夏はこのエアコン送風ホース」をいかに改良して「クールロード」を完成させるかということになります。なんか夏休みの自由研究みたいで楽しいです。
 ないものは仕方がない。ないなら作ればいいというのはさすがに暑苦しい。ゆえに筆者は「あるものを利用すればいい」というアプローチでこの夏の暑さを乗り切ろうと思います。

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