【れぽ】ABSTRACTIONー抽象絵画の覚醒と展開
▷ 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォービスム、キュビスムから現代へ
現在アーティゾン美術館で開催されている「ABSTRACTION」展に行ってきました。
今回の展示は約260展にも及ぶ様々な時代の抽象作品を楽しむことができる美術展です。
理解するのが難しいと思いがちな抽象画の幅広い作品を見ることができ、理解を深めるのには最適です。
撮影が許可されている部分も多く、いくつか写真を交えて紹介します。
▷抽象画
今回取り上げられているのは主にフォービスムとキュビスムです。
フォービスムは激しく鮮やかな色使いが特徴で、色彩での表現力が求められます。
対してキュビスムは世の中を図形で捉え、構図での表現が求められています。
▷パブロ・ピカソ
やはり、抽象画というと切っても切り離せないのが、キュビスムを牽引したパブロピカソ。
今回、印象に残ったのは『ブルゴーニュのマール瓶、グラス、新聞紙』です。こちらは序盤に展示されていたものです。
この絵画には油彩だけでなく、本物の砂や新聞紙なども使用されている抽象画らしい作品です。
また、真ん中に描かれた瓶が、キュビスム特有の図形で描かれているのですが、こちらが非常に物体として認識しやすく、序盤で見るのにもってこいな作品です。
本物の砂や新聞紙の質感は実際に見ることでより、二次元とリアルな三次元の融合を感じることができます。
▷マーク・トビー
今回、私にはとても印象に残った作品があります。
それがマーク・トビーの『傷ついた潮流』です。この画家を私は今回の美術展で初めて知ったのですが、この作品の表現力には驚きました。
私なりの解釈ですが、流れていく時代を憂いたような作品なのではないかと思います。
傑士いて綺麗な部分ばかりではない世の中を「傷ついた」と表現しているのではないでしょうか。そして、この作品の赤色はちょうど血の色のようで、傷らしさがうまく表現された作品だと思いました。
▷むすび
今回は私が特に印象に残った2作品を紹介しました。この他にももちろん、有名なジョルジュ・ブラックの作品や現代芸術家の作品、彫刻などの展示もありました。
思想的な部分では、セザンヌの世の中の全ては図形で描けるといった「構図への意識」という部分が印象に残っています。彼はきっと、そう捉えることで描きたいものを描きやすくなるということを言いたかったのかなと思いますが、その思想を受け継ぎ発展させる形でキュビスムが生まれたことには彼も驚いたのではないでしょうか。
抽象画についてほんの少しの知識しか無くても、全く知識がなくても、この展示ではきっと何か掴めるものがあると思います。
8月20日まで開催されているので、少しでも興味があればぜひ訪れてみてください。
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