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研修医振り返り2022年5月編

こんにちは。めんたむです。

7月も早くも後半になってきており、時間の過ぎる早さを切に感じています。

今回は2022年5月に研修医で学んだことを簡単に振り返ろうと思います。
個人情報の観点から一部オブラートに包んで書くため誤っているところがあってもご了承ください。


ショックについて

心原性ショック、循環血液量減少性ショック、血液分布異常性ショック(特に敗血症ショック)に対しての初期の昇圧薬はノルアドレナリンを使用する
ショック離脱し、高用量のノルアドレナリンを必要とする場合、循環血液量の再評価及び、心機能評価を行う。心機能低下例については初期は循環血液量が少ない場合が多いためドパミンの併用を検討する

γ=1μg/kg/minとは?

体重に合わせた単位時間当たりの投与量のこと、これを用いて患者に合わせた投与を行う
「50kgの人と100kgの人に同じ量の薬剤を点滴した場合薬の効き方は同じではないはず。体格の違いがあっても同じ効果を作用させるために作られた単位だと思ってください。」

γの単位変換
1 μg/kg/min
→1×体重 μg/min
=1×体重×0.001×60 mg/h
=0.06×体重 mg/h
つまり1時間あたり0.06×体重mgの薬剤を投与すれば1γの薬剤を投与したことになる!

イノバンシリンジ®️(150mg/50mL:50mL中に150mgのイノバンが含まれているという意味)の場合
体重50kgの人に投与した場合、1mL/h=1γになるように作られている!
例えば80kgなら1.6倍すればよい(もちろん、各病院で採用している薬剤が異なるのでそこは確認するように)
しかし、50kgの人に1γいきたい量をあらかじめ知っておけば、計算は楽になる!

計算
50mL中に150mgのイノバン、つまり1mgでは50/150mL=1/3mLだから

=0.06×50 mg/h 
=0.06×50×1/3 mL/h
=1 mL/h
となる

ドブタミンはシリンジだが、ノルアドレナリンはアンプル
したがって救急で使いやすいのはシリンジであるドブタミン
アンプルの場合生理食塩水と混ぜる必要があり時間がかかる
とりあえず昇圧したいときはドブタミンを使用し、頻脈が出た場合はノルアドレナリンを使用する

心筋虚血の評価方法について

冠動脈造影

狭窄の度合いは手技者の主観によって評価している
狭窄度合いは少ないほうから順に
0, 25, 50, 75, 90, 99 delay, 10
となっている(数字が大きくなるほど狭窄が強いことを示す)

FFR(冠血流予備比)

冠動脈造影では手技者の主観によって決めてしまうので客観的な評価がしにくい
したがって客観的な評価指標として用いられるのがFFR
アデノシン点滴による薬物負荷を行い、冠動脈の圧較差を比でとって評価する
0.85< セーフ
0.85~0.80 グレーゾーン
0.80> 狭窄あり

心筋シンチグラフィ

薬剤or運動負荷後の放射性同位体取り込み具合を見る
安静時、負荷時の2回撮りが好ましい
相対評価の画像が出来上がるため、3枝病変やLMT病変には評価不十分であることに注意
心臓の形態や機能を見るときに最近MRIが有用になってきている(時間はかかるが)

研修医で知っておきたい降圧剤

ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)

ディオバン:K都府立医大の捏造事件と関連あり。先生によっては使わない人も
ミカルディス:よく使うよう。合剤もそのまんま名前をくっつけた感じで覚えやすい(ミカムロ、ミカトリオなど)
オルメテック
ブロプレス:老舗感
アバプロ(イルベタン)
強い順にアジルバ・オルメテック、ミカルディス、アバプロ、(ディオバン、ブロプレス、ニューロタン)

Ca拮抗薬

アムロジン:よく使う
アダラート

β遮断薬

メインテート(β1 selective)
アーチスト(α・β nonselective)
セロケン(β・頓服)
インデラル
ビソノテープ(貼付):貼り薬のため嚥下障害がある方でも使いやすい

血管拡張薬

ニトロール
ニトロペン(頓服):舌下錠として国試でよく見かける薬
シグマート

利尿剤

フルイトラン:高血圧に有効
ラシックス:ループ利尿薬
ダイアート:ループ利尿薬
アルダクトン:スピロノラクトン、副作用に注意(女性化乳房、高K血症)
サムスカ:自由水利尿、Na上昇して意識障害きたしうるため初回投与時は入院管理してNa check

その他

カルデナリン(α1 blocker):超強力、起立性低血圧に注意
アルドメット(α2 stimulator):妊婦にも使える(他Ca拮抗薬と利尿薬にもOK)

錠剤について

・口腔内崩壊錠(Orally Distintegration:OD
飲み込む力の弱い高齢者や小児でも飲みやすい
水がなくても服用できるため、外出先等での服用もしやすい
水分制限を受けている人にも使いやすい
・徐放錠(Long:L、Controlled Release:CR、Retard:R)
飲む回数が少ないため、飲み忘れが減る
血中濃度が安定するため、副作用が起こりにくくなる
・腸溶錠
胃酸で効果がなくなってしまう成分を、腸まで届けることができる
胃で溶けると刺激が強いお薬の副作用が起こりにくくなる

亡くなった患者の看取り方

死の3徴候:心停止、呼吸停止、瞳孔反射消失
これに合わせてやっていく

死亡診断をするときはモニター等を外して静かな環境で
聴診器を胸に当てて心音が聞こえないこと(弁が閉まる音)を確認
肺に聴診器を当てて呼吸音が聞こえないことを確認(視診でもよい)
瞳孔散大は死後直後では見られないことがあるので瞳孔反射消失のほうが見やすい
ペンライトを当てて反射があるかどうかを見ればよい

これらを行って死亡が確実なものと判断したら時計を見て
「何月何日何時何分、ご臨終です」と頭を下げる 儀式みたいなもの
患者だけではなく、患者の家族に対してもケアを怠らないように
「〇〇さん、よく頑張られましたね」などの声掛けも忘れないように

大動脈解離や大動脈瘤について

どちらの疾患もわかりやすい症候で来てくれるとありがたいわけだが、実際問題そうもいかない
「違和感」を主訴にしてくることが多い
自分が経験した腹部大動脈瘤も腹部膨満感を主訴にして来院していたわけだし、そうした患者本人のいつもと違う感覚をばかにしてはいけない

内科はStanford分類を好むが、外科はDeBekey分類を好む
→おそらく人工血管を用いる区間が関係しているのだろうか
そして偽腔の血流状態による分類も存在し、特にULP型は最もタチの悪い解離だとされる

・大動脈解離、大動脈瘤を診断・治療のフローチャート
病歴から疑う(移動する背部痛などがあれば最もわかりやすいが実際問題そうはいかない、違和感を大事にする!)
身体所見や採血(四肢血圧差が有用だが本番でしようとはあまり思わない、採血ではWBC、Hb、CRP、D-dimerを見る!
ECG・XP・エコー(特に心嚢液貯留や大動脈弁逆流があるとStanford A型解離を強く疑う
造影CTで確定診断
単純CTでも大動脈解離の診断はつけられるが、外科には喜ばれない
単純CTで大動脈解離の診断をつける方法
血管の内径が大きくなっていること
血管の石灰化がある位置が壁側ではなく血管の腔内にあること
血管の腔内の濃度(density)が一定ではないこと(場所によって差があるということ)
これらをもって診断に至る

大動脈瘤に関して
大動脈瘤には紡錘状と嚢状のものがあるが、後者のほうがタチが悪い
胸部大動脈瘤径≧45mm、腹部大動脈瘤径≧50mmで外科にコンサルしたほうが良い
感染性大動脈瘤は形が汚い、いびつだとおさえておこう
炎症性のものは大動脈自体が太くなるような感じ

箇条書きで書いているので所々見にくいところがあるかと思います。
そこはご了承ください。

今回書いた中で改めて見てみると「降圧薬」が一番大事だと僕は考えています。

いかんせん研修医になるとたくさんの薬が商品名で出てきます。
そのなかでも降圧薬は他の科をまわっていてもよく見かけるためです。

個人的にはダイアートとアダラートを勘違いします…。
この2つは混同しないように気をつけたいです。

ということで5月について振り返りました。
なにか1つでもお役に立てるものがあれば幸いです!

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