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エネルギー消費性能基準の改正について: 初心者向けガイド



1. はじめに

こんにちは!今回は、建築物エネルギー消費性能基準の改正について、初心者の方にもわかりやすく解説します。エネルギー消費性能基準とは、建物がどれだけエネルギーを効率よく使えるかを評価する基準です。最近、この基準が大きく改正されることになり、特に中規模非住宅建築物に影響があります。それでは、改正の背景や具体的な内容について、一緒に見ていきましょう。


2. 改正前の内容と改正の背景

2.1 改正前の基準

改正前の基準では、非住宅建築物のエネルギー消費性能は、主に大規模な建物(床面積が2,000㎡以上)に対して適用されていました。これらの建物には、基準一次エネルギー消費量の15%から25%以上の削減が求められていました。しかし、中規模非住宅建築物(300㎡以上2,000㎡未満)には、このような厳しい基準は適用されていませんでした。

2.2 改正の背景

令和3年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、2030年以降に新築される住宅や建築物について、ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)やゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)基準を目指すことが掲げられています。この計画に基づき、より広範な建物に対して省エネ基準を適用するため、改正が行われました。特に中規模非住宅建築物にも厳しいエネルギー消費性能基準を適用することで、全体的なエネルギー消費削減を目指しています。


3. エネルギー消費性能基準とは

3.1 基本的な概念

エネルギー消費性能基準は、建物がどれだけ省エネできるかを示すものです。この基準に基づいて、建物の設計や運用が行われ、エネルギー効率を高めることが求められます。具体的には、空調設備、照明、給湯設備など、建物内で使用されるエネルギーを総合的に評価します。

3.2 省エネ基準の重要性

省エネ基準は、環境保護やコスト削減の観点から非常に重要です。エネルギー消費を減らすことで、二酸化炭素の排出を抑え、地球温暖化の防止に貢献できます。また、エネルギーコストの削減にもつながり、経済的なメリットも大きいです。


4. 改正内容の詳細

4.1 新しい基準の計算方法

改正後の基準では、非住宅部分のエネルギー消費量は以下の式で算出されます。

EST = {(ESAC+ESV+ESL+ESW+ESEV)×B+EM}×10-3

ここで、各変数は以下の通りです。

  • EST: 基準一次エネルギー消費量(GJ/年)

  • ESAC: 空気調和設備の基準一次エネルギー消費量(MJ/年)

  • ESV: 空気調和設備以外の機械換気設備の基準一次エネルギー消費量(MJ/年)

  • ESL: 照明設備の基準一次エネルギー消費量(MJ/年)

  • ESW: 給湯設備の基準一次エネルギー消費量(MJ/年)

  • ESEV: 昇降機の基準一次エネルギー消費量(MJ/年)

  • B: 規模及び用途に応じた係数

  • EM: その他一次エネルギー消費量(MJ/年)

4.2 非住宅建築物の分類と基準

新しい基準では、非住宅建築物は用途別に分類され、それぞれに異なる削減目標が設定されています。具体的には以下の通りです。

  • 事務所等: 基準一次エネルギー消費量の20%削減

  • ホテル等: 基準一次エネルギー消費量の20%削減

  • 病院等: 基準一次エネルギー消費量の15%削減

  • 百貨店等: 基準一次エネルギー消費量の20%削減

  • 学校等: 基準一次エネルギー消費量の20%削減

  • 飲食店等: 基準一次エネルギー消費量の15%削減

  • 集会所等: 基準一次エネルギー消費量の15%削減

  • 工場等: 基準一次エネルギー消費量の25%削減


5. 改正後のメリットとデメリット

5.1 メリット

  1. 環境保護: エネルギー消費の削減により、二酸化炭素の排出が減少し、地球温暖化防止に寄与します。

  2. コスト削減: エネルギー効率が向上することで、エネルギーコストの削減が期待できます。

  3. 経済効果: 省エネ基準に適合するための改修や新設により、建設業界や関連産業の活性化が見込まれます。

5.2 デメリット

  1. 初期投資が必要: 省エネ基準に適合するための設備導入や改修には、初期投資が必要です。

  2. 技術的な課題: 高度な技術が求められるため、対応できる業者の確保や技術研修が必要です。

  3. 管理と運用の負担: 基準を満たすためには、適切な管理と運用が求められ、負担が増えることがあります。


6. 改正後に注意すべき点

6.1 新しい基準の遵守方法

新しい基準を遵守するためには、計画段階からしっかりとした準備が必要です。専門家のアドバイスを受けながら、エネルギー効率の高い設計を行い、適切な設備を導入することが求められます。

6.2 移行期間中の対策

施行までの移行期間中には、既存の建築物の改修や新築計画の見直しが求められます。また、専門家によるアドバイスやサポートを受けながら、適切な対応を進めることが重要です。


7. 実施スケジュール

7.1 公布と施行の予定

新しい省エネ基準は、令和6年秋頃に公布され、令和8年4月1日から施行される予定です。この期間中に、企業や建築関係者は新しい基準に対応する準備を進める必要があります。


8. まとめ

エネルギー消費性能基準の改正は、私たちの生活に直結する大きな変化をもたらします。環境保護やコスト削減に寄与する一方で、初期投資や技術的な課題も存在します。しかし、この改正を通じて、より持続可能な未来に向けた一歩を踏み出すことができます。初心者の方にもわかりやすく解説しましたので、ぜひ参考にしてみてください。今後も、新しい情報や技術に注目しながら、エネルギー効率の向上を目指していきましょう。


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