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【感想】令和未来会議 「新型コロナの不安 どう向き合う?」

10人の論客が、新型コロナ感染拡大防止策と経済活動の両立や、これからのウィズコロナについて率直に語り合う。どの位置(立場)から眺めるかによって新型コロナ問題も様々な意見がある。大事なのは正確な情報(ファクト)に基づいて、各自が何を行うかを決めていくことだ。また、それぞれの事情に伴い、多様な見方があることを受け入れる余地が必要だ。

個人的に学べた点や、自分自身の今後のウィズコロナ生活に関する、今のところの指針を書き残しておきたい。

新型コロナをどこまで恐れるか

国際医療福祉大学教授の高橋泰 氏は、新型コロナをいたずらに恐れるのではなくファクト(事実)を知ることが大事だと述べていた。新型コロナでの死者数が少ない国、ベトナムや日本ほど、新型コロナを怖がっている。その一方で、新型コロナで死者が多い国ほど、楽観的な見方をしている。統計上では新型コロナを特別視する必要はないという。

新型コロナウイルスによる致死率は以下の通りだ。

全体 0.9%・0-69歳 0.2%・70歳以上 8%

比較のために言えば、季節性のインフルエンザの致死率は0.1%だ。よく言われることだが、持病を持っている人や高齢者(70歳以上)にとっては、新型コロナは命取りになる病気だが、若者の場合は、それほどのリスクはない。特に子供は、新型コロナにかかりづらく重症化しづらいという。

フリーアナウンサーの赤江珠緒 氏は、自身が新型コロナにかかった経験を持つ。新型コロナは、「例えて言えば、2Fくらいの高さの崖から飛び降りるようなものだと思う。若い人なら着地できるけど、高齢者や筋力が弱っている人だったら、リスクが大きいかもしれない。・・決して感染しないではなく、かかっても死なないをゴールにすればよいのではないか」と述べる。分かりやすい比喩だ。

この議論からは、一律の行動規制や自粛を求めるのではなく、新型コロナで重症化しやすい人を守る仕組みづくりの大切さがわかる。ただ、若者・子供が新型コロナに感染すると、家族内感染で高齢者にも波及する恐れがあるので、若者だったらOKというのは楽観論すぎる。引き続き、医療施設での院内感染や介護施設でのクラスターなどは最大限の注意を払って感染対策すべきであることが分かる。

ウィズコロナ生活とは

この半年ほど、緊急事態宣言が発令されてから、大幅な外出自粛が世間の空気となってきた。NHKが行った調査によると「旅行・外食に関しては63~64%の人が自粛、カラオケ・室内のレジャーに関しても50%近い人が自粛している」現状が明らかになった。私も、この半年は、これらのことはピタッと自粛している。これからも、この自粛スタイルを続けるべきなのか。

川崎市健康安全研究所所長で、政府の旧・専門家会議、現・分科会のメンバーでもある岡部信彦 氏は、新型コロナ感染を避けるための行動指針は、実生活における「例」として提出したものだったが、それが、いつのまにか「~~すべき」ルールとなっていることへの懸念を表明していた。

この点に関しては、聖路加国際病院感染管理室マネージャーの坂本史衣 氏の提言が参考になる。「場所の〇×ではなく、行動の〇×だということ。今は、飛沫感染を招く行動がリスクが高いことが分かっているので、旅行に行ったとしても宴会をしないとか、外食に行っても向かい合って食事をしないとか、行動に気を付ければよいということ」だという。リスクを完全にゼロにすることはできないが、リスクをできるだけ減らすことは可能だ。

ちなみに、接触感染は、それほど気にする必要がないというデータが出始めている。それで、常に手指を洗い・消毒するようにしていれば、接触感染を病的に恐れる必要はないと言える。この点は、NHKがこれまで取り上げてきた、新型コロナウイルス「可視化」の試みが役に立つと思える。

失敗から学びチャレンジすること

沖縄県立中部病院医師の髙山義浩 氏が最後に述べていた言葉がウイズコロナに関しては必要だろう。「チャレンジを応援していく空気を作ることが必要だ。時には失敗するかもしれないが、そこから学んでいけばよいのだ。」どうしても感染できない人もいる。しかし、健康な若者であれば、感染してもすぐに命に係わることはない。そうであれば、少しずつウィズコロナのチャレンジを進めていく必要がある。

今は、感染者を叩く報道が多く、どこでも新型コロナ感染を出したら、社会的生命を絶たれる恐怖におびえている。この姿勢は間違いだ。失敗から学び、教訓を得て、人類は進歩するからだ。失敗をしないようにしようと考えたり、失敗を「個人」のせいにしようとすれば、そこから何も学ばないことになる。今のメディアの報道の在り方も変えていかねばならない。

新型コロナに限らずなんだけど、失敗から学ぶっていうのは、本当に大事だと思う。それはつまり、失敗を許さない世界は危険だということだ。今の、日本社会の空気。失敗(感染)したら終わりという空気は危険だ。そこから感染予防のヒントなどを得て、皆でウィズコロナを成功させなければならない。

考え方を変えるフェーズ

多くの専門家が、今だからこそ、このような議論ができるようになっているのだと口をそろえた。

この半年余の間、社会が自粛傾向にあったのは、医療関係者としては助かったと髙山義浩 氏は語った。「一時期は新型コロナ感染者が増えて行ったときに、ICUまで満床になり、その状況が続くと通常の医療が崩壊する瀬戸際まで行った。心筋梗塞や、外傷など、通常の医療も受けられなくなるような状況が見られていた」という。その時点では、いくぶん極端にも思える外出自粛は医療現場を守るために必要だったのだ。

メディアはこれまで、新型コロナの恐怖をあおるような報道をし続けてきた。毎日の感染者数はいたずらに不安を煽るだけだろう。大事なのは、感染者数の内訳だ。そこに予防のヒントがあるからだ。また、多くの患者が、軽症で順調に回復して退院している事実も忘れるべきではない。重症化した事例ばかり報道すると、いたずらに恐怖心が煽られてしまうことになる。新型コロナに関して、かなり分かってきた今の時期だからこそ、冷静に論議することが必要だ。

最後に、作家の真山仁 氏が述べたことが、その通りだと感じた。「事実を知って各自がどうするかを決めなければならない。思い込みは変えていかなければならないけれど、思い込みは自問自答では変わらない。他者の意見を聞かなければならない。」

一時期は情報が錯そうしていたが、今の時期は、新型コロナに関して何を恐れるべきなのか、かなり正確にわかってきている。できる限り正確性の高い情報を集め、それに基づいて自分と家族の立ち位置から見た、感染予防対策を決めることが大事なのだ。

その点で、NHKの新型コロナ関連のドキュメンタリはどれも大事なことを教えてくれている。これからもウォッチしていこうと思う。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq