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【感想】NHK-BS世界のドキュメンタリー「遊びの科学」

子どもたちは、どんな場所でも、すぐに遊びを見つける。私も小学生の時は、近所の路地裏や川辺を「冒険」して歩いたものだった。まだ、ゲームもそれほど全盛ではなかったので、外でたくさん遊ぶ経験を積めたのは良かった。子供にはたくさんの遊びが必要だ。

「遊び」は子供が大人になるための準備になっているのだ。実は動物も「遊ぶ」。爬虫類や水の生物のように感情を見せない多くの動物も「遊ぶ」ことが分かっている。「遊び」は「必要」なものだということが知られ始めている。興味深いドキュメンタリーだ。

遊びはストレスに強い脳を作る

ラットを使った実験が興味深い。子供の頃に、同じ子供のラットと好きなだけ遊ばせたラットと、誰とも遊ばせてもらえなかったラットを比較する。大きな違いが表れたのは脳の前頭葉皮質だった。十分に遊ぶことができないラットは脳が発達していなかった。子供同士で本気で遊ぶことが必要だ。大人が「遊んであげる」のではいけない。

さて、このラット、大人になってからの行動パターンに大きな違いが生じる。ラットは縄張り意識が強いので、一匹のラットのカゴの中に、別のラットを入れると戦いが生じる。そして、どちらかが勝利する。ここで注目したいのは負けた方のラットだ。この戦いに負けることを「社会的敗北」というらしい。子どものころに十分に遊んでいないラットは社会的敗北を経験したのちは、非常に臆病になることが分かっている。

次に同じような場面が生じると「ビクッ」としてしまい、恐怖におののいてしまうのだ。別の大人のラットを入れると、避けよう、避けようとするのだ。つまり、一度心が折れると「社交不安」のような症状が現れるのだ。ところが、子供の頃に十分に遊んでいたラットはそうではない。社会的敗北を味わっても、立ち直りが早いのだ。

メンタルの強さ、ストレスへの耐性・レジリエンスは、子供の頃に、どれだけ本気で遊んでいるかに依存しているのだ。すごい実験じゃん。今の子供たちは、ゲームばかりで外で真剣に子供同士で遊ぶことが少なくなっている。その結果、どんどんストレス耐性が低い大人が誕生していることが心配されることだ。

子供は外で遊ばせるべし

室内でゲームで遊ぶことばかりが、遊びになっているのは、残念なことだ。野外での遊びは、子供の創造力を刺激する。本来、子供は自由に大人には想像もつかないような遊びを開発するのだ。ゲームはあまりにも枠が決められているので、創造性が働かない。

精神科医の岡田さんも、このことを指摘していた。

「商品が高度な技術で完成されすぎてしまっていることは、それを楽しむという受け身のところにとどまってしまうので、子どもにとってはマイナスとなる。そこに、現代の子どもの不幸がある。素朴な遊びや玩具の優れた点は、すぐに飽きるだけでなく、それに改良を加えたり、違う遊び方をしたりすることが容易にできる点だ。あまりに完成された遊びは、もはや「遊び」の余地がなくなってしまう。」(発達障害と呼ばないで 岡田尊司 幻冬舎新書 P225-226)

今からでは遅いけれども、せめて、自分の子どもの世代には、できるだけ遊びを大切にしてほしい。そういう意味では、都会ではなく、山や川や自然がたくさんあって、とにかく遊び場がいくらでもあるようなところに住んでいるのが、子供にとっては良さそうだ。

まあ、子供いないんだけど。

#NHK #BS世界のドキュメンタリー #遊びの科学  

大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq