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【感想】目撃!にっぽん ベトサダ漂流記〜ホームレス支援施設で〜

「ベトサダ」とは、イエスキリストが病人を癒したとされる池の名前を由来にしている。札幌にあるホームレス支援施設(自立支援施設)だ。お金がなくなり、家がなくなった人を一時的に保護し、3か月のうちに社会復帰できるように助ける。これまで5000人以上の社会復帰を助けてきた。

コロナ禍の中で、これまでサラリーマンだった人がいきなり仕事を失い、家を失い、ベトサダに駆け込んでくることが増えているようだ。札幌では、コロナ禍の影響で2000人以上が失業したと言われている。札幌は北海道を代表する大都市だが、冬はとても寒く、さすがに家無しではやっていけないだろう。コロナ禍の影響をウォッチングするため「目撃!にっぽん」の最新回を視聴した。

コロナ禍と孤独と人間関係

すすきのの飲食店で働いていた53歳の男性、黒田さん。コロナ禍の影響で、雇い止めになり、仕事を失い、お金が底をつき、家を失って、ベトサダにたどり着いた。ベトサダに滞在できるのは原則3か月だ。その間は部屋や食事が無償で提供される。しかし、黒田さんはどうしても仕事が見つからない。様々な求人に応募するも、50代ではアルバイトさえ受からないのだという。

結局、黒田さんは生活保護を申請し、一人暮らしを始めることになる。生活保護も一つの自立なので、それも、ベトサダ卒業になるらしい。ただ、この黒田さんには後日談があり、2か月後に彼はガールズバーの無銭飲食で逮捕されたのだ。取材班はその後の黒田さんにも密着していた。「話す人がいなくて寂しくて。この年になってそんなの恥ずかしいけれど。お酒を飲んだら気が大きくなって。」と話す黒田さん。

決して邪悪な人柄ではない黒田さんの姿に、深い孤独の影を感じた。そもそも、仕事がなくなった時に、お金がなくなった時に、家がなくなった時に、彼を救うだけの絆(人間関係)が存在していなかったのだ。だからベトサダに来た。しかし、また一人になった時に、どうしようもない孤独に押しつぶされそうになり、会話相手を求めてガールズバーに行ってしまった。それしかなかったのだ。

今、黒田さんは日雇いの工場での仕事を見つけ頑張っている。黒田さんは定期的にベトサダに顔を出し感謝の思いを伝えている。(逮捕のせいか、職員にはかなり素っ気ない対応をされていたが・・・)

ベトサダ運営者の横顔

ベトサダ創設者は敬虔なクリスチャンの女性、真鍋さんだ。真鍋さんは4年前に亡くなったが、その志をついで代表になっているのが、山崎さん。実は山崎さん自身もベトサダに救われた人の一人だったという。山崎さんは、過去二回自己破産している。ギャンブルにおぼれたためだ。過去には妻と1歳になる息子を捨てて離婚した傷を持つ。今から30年前のことだ。

個人的な興味だが、ベトサダのような施設がどうやって維持されているのか、そこで働いている人はいったい何なのか?を知りたいと思っていたのだが、今回はそこを知ることができた。山崎さんの月収は15万円、保護者がすまうアパートの一室に自分も住んでいる。運営費は国の補助金と、善意の人からの寄付だそうだ。完全なボランティアではなく仕事として行っていることを知った。まあ、それはそうだろうなぁ。

取材班は、山崎さんが30年前に別れた息子に手紙を書いて会いたいと思っているシーンを映し出していた。ベトサダにたどり着く人が多くの傷を持っているように、山崎さんも傷を持っている。その傷(内面の疼き)を少しでも軽くするために、今はまともに生きているということを実証するために、ホームレスを支援し続けるのだ。山崎さんも、また孤独であった。

まとめ

コロナ禍の影響を受ける人たちのドキュメンタリーは好んで見ているが、実に孤独な人が多いことが印象に残る。金銭的な関係を除けば、日常会話さえ普通にかわす相手がいない人が少なくない。そのような希薄な人間関係でコロナショックを受ければ、もはや一気にホームレスまで転落するのだ。

結局、人は人を必要としているし、人間関係がどれほど煩わしくても人間関係は欠かすことができない。コロナ禍は、そんな当たり前のことを強制的に自覚させるものになっている気がする。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq