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プリシンプルを追い求めた男の群像【NHK】ドラマスペシャル「白洲次郎」

戦後の日本史に興味があり、最近、知った人物「白洲次郎」。政治が混乱する時代に、注目を集めるようになりファンも少なくないという。ただ、生前はかなり賛否あった人物のようだ。吉田茂というキーマンと共に戦後の復興を語る際には覚えておきたい人物だ。

NHKドラマスペシャル「白洲次郎」

白洲次郎の人生を扱った三部作(1時間半×3回)を3日かけて見終わった。敗戦後、GHQと渡り合って日本憲法を作成に深くかかわった人の一人だ。自分のプリシンプルに基づいて生き抜いた気骨のある人物で、現在も陰ながら人気が高い。

白洲次郎のプリンシプル

劇中でも「プリンシプル」という言葉は、何度も出てくる。日本語に訳すと「原則」だろうか。妻の白洲正子は、次郎が何かにつけ「プリンシプル、プリンシプル」と、うるさかったと話しているようだ。自分の良心に正直に、妥協できないところは、妥協できないと、相手が誰であろうと挑みかかっていく。GHQのマッカサーさえ怒鳴りつける。

それを、白洲次郎はプリンシプルと表現していたようだ。

しかし、第三話では、新聞記者との一対一の話し合いで、記者は「プリシンプル・良心というのは「傲慢」ということではないか」と詰め寄る。確かに、そうも言えるなと思った。白洲次郎のプリンシプルとは何だったのだろうか?単なる愛国心でもなかっただろうし、お金のためでもなかっただろうし。

白洲次郎としては「プリンシプル」としか言いようがなかったんだろうけれど、それは、ただ「自分の気持ちに正直」にっていう意味だったのかなぁと感じたね。だとすれば、それが第三者から見て、傲慢に見えたとしてもなんとも言えないよなと。

カントリー・ジェントルマン

白洲次郎はイギリスのケンブリッジに留学していたことがあったので、そこで世界と日本の差を痛感していたので、戦争反対の立場であった。白洲次郎にも赤紙が来るのだが、彼はコネを使ってこれを回避する。無駄な戦争に自分の命を投げ出すわけにはいかなかったのだ。

劇中では、吉田茂をはじめ、ギリギリまで戦争を回避しようとする政治家たちの姿も描かれるが、あの時代はしょうがなかったのかもしれない。時代にもてあそばれる、近衛大臣の姿が悲しい。独特の時代の流れがあったんだろうけれど、自死を選ぶくらいなら、果断な行動をとって日本を戦争の泥沼から救ってほしかった(誰もがそういうが、その渦中でそうするのは難しいことなのだろう)

そんな中、白洲次郎はさっさと政界から離れて、現在の町田市鶴川に疎開し、そこで百姓生活を送るようになる。戦時中には食料が大いに不足するだろうとの先読みだ。その積極的?ドロップアウトが、敗戦後に国を建て直すだけのスタミナを維持させるものになる。この辺の割り切りや、まずは生きていなければいけないという姿勢はすごい。時代に流されない姿だ。

イギリスでは、田舎暮らしをしながら、いざという時は国のために駆け付ける人のことを「カントリー・ジェントルマン」と呼ぶらしい。白洲次郎は英国につてがあり、当時の日本を客観的に見ることができた数少ない人だっただろう。皆で間違った道をひた走る時に、同調圧力に屈しない姿は確かにカッコいいのだけれど、やはり日本という枠の中で世界を見ている限りは白洲次郎のように生きることはできないだろう。

大局観を持つには情報だ。それも世界とつながっている必要があると感じた。

歴史物は、様々な人物に焦点を当てることで、いくらでも描き方が変わるのが面白い。吉田茂に焦点を当てたドラマなども見てみたいね。この辺の時代・歴史が分かると、時代の転換点である、今の政治を見る目も変わるかもしれない。(まあ、後になってどうのこうの言うのは簡単だけれど、その場、その場で決定を下していかなければならない人たちの苦悩ってのは、ものすごいものだよなぁ)

#NHK #NHKオンデマンド #白洲次郎 #吉田茂

大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq