見出し画像

終わりの始まりが迫る【NHK】シリーズ*体感*首都直下地震「パラレル東京」

もし、東京に震度7の首都直下型地震が襲ったら・・。30年以内に起こる可能性が70%とも言われる首都直下型地震を想定した「避難訓練」として、リアルな映像で注意を喚起し、同時に今できることに備えさせる、NHK肝入りのドキュメンタリーだ。7日間連続で防災意識を徹底して高める。

こういう番組はいつでも見られるようにしておいてもらうと助かるよね。避難訓練も、深刻度は高くないので、あまり訓練になっていない感じがある。危機迫る気持ちになるためには、こういうドラマ仕立てで感情を動かすのが一番だ。学校や職場でも見ておきたい番組だ。私も、災害準備を始めたので、この手の番組はできるだけ見たい(ほんとは見たくないけど)。

NHKスペシャル シリーズ 体感 首都直下地震 「DAY1 あなたを襲う震度7の衝撃」

1日目のドラマでは、大地震4時間後までの混乱した状況が描かれる。舞台は都内の某テレビ局。この場所は被害は少なく、リアルタイムで東京の被災状況を放映していく様子が描かれている。

このドラマは、内閣府が想定した災害データに基づくもの。主に、23区での被害は深刻なものになる。

・帰宅困難者 800万人
・死者約 2万3000人
・負傷者 約12万3000人
・揺れによる全壊 約17万5000棟
・焼失 約41万2000棟

印象的なキーワードは「群衆雪崩」。逃げようとした人混みの中で倒れた人たちに折り重なるようにして、次から次へと人がなだれみこみ、圧死する人が出る。このような大規模災害が発生した時の鉄則は、そこから動かないこと。
東日本大震災の時は、徒歩で帰宅した人が多かったが、首都直下型地震の場合は同じようにはいかない。こういう時には、とにかく家に帰ろうと行動するのはリスクである。

さらに、東京では木造住宅を中心に大規模な火災が生じる。想定される火災は、消防車の台数を考える限り、残念ながら消火できるレベルではない。火災は2日間続く見込みだという。(阪神大震災の時もそうだったという。)一度燃え始めると、消火は不可能だと思ったほうがよい。各自の初期消火しか方法はないという。

NHKスペシャル シリーズ 体感 首都直下地震 「DAY2 多発する未知の脅威」

地震が起きてから2日目だ。ドラマの中では過酷な東京の様子が描かれる。デマに翻弄されて、避難所から逃げようとした人たちが折り重なって、圧死する。こういう時のデマは非常に危険だ。

この日のキーワードは「火災旋風」だ。大火事が起こると、まれに生じる現象のようだが、まるで「燃える竜巻」だ。

予想される火災旋風の高さは、都庁の高さに迫る。燃える竜巻が通った個所は一面焼け野原となる。実は、関東大震災でも、火災旋風が生じ、避難所にいた4万人のうち3万8000人が焼け死んだという。東日本大震災の時も火災旋風が生じたと消防団員がコメントしていた。

火災旋風が巻き起こるコースにいる人は、ほとんど生存できないと考えたほうがよさそうだ。できることは初期消火だが、もう手遅れになれば焼死を待つしかない。なかなか悲惨な末路だ。これが、内閣府が本当に想定している事態だというのだから恐ろしい。燃える東京・周辺地区の地図を見ながら、ちょっと無力感を覚えた。

NHKスペシャル シリーズ 体感 首都直下地震 「DAY3 命の瀬戸際 新たな危機」

ドラマでは、3日目になり、第一波の火災は収まったものの、停電からの復旧時の「通電火災」でタワーマンションが燃え始める。地震などの場合、避難する時は、必ずブレーカーを落としていかなければならない。ブレーカーが上がったままだと、電気が戻った時に火災の可能性が大きくなるので注意が必要だ。

内閣府の想定では、初期の段階で避難所に殺到する人は300万人であると言われている。しかし、避難所の収容人数は、約180万人。残る120万人は避難所に入ることもできない想定だ。しかも数日後には、避難所を求める人の数は720万人に上ることが想定されている。家が倒壊しなくても、食料や水がなくなるために避難所に集まる人が増えるのだ。

残念なことに、すでに想定されているものとして、

食料:3400万食が不足
水:1700万リットルが不足

することになっている。これに加えて、首都圏直下型地震により、各地の病院も被害を受けることになるだろう。医療現場は混乱状態に陥り、医療崩壊が生じる。8日間で、さらに6500万人が治療を受けられなくて死ぬことになるとのことだ。

いざ、首都直下型地震が起きた場合には、どうしても助けられない命があること。すでに数字で予測できるのだということは知っておかなければならない。背筋が凍るような話じゃないか。

NHKスペシャル シリーズ 体感 首都直下地震 「DAY4 危機を生きぬくために」

ドラマは4日目で終わり。4日目は、主に報道局内部の葛藤が描かれており、あまり地震とは関係なかった印象がある。このドラマで初めて知ったんだけど、小柴風花さんの熱演がすごかった。さて、4日目の危機は「荒川の堤防決壊」だ。これは、昨年末の台風でも現実になりそうだった。

荒川が堤防を突破すると、海抜0m地帯の江戸川区・葛飾区など、3万7000人が犠牲になる可能性があるという。地震で堤防が決壊するという最悪のシナリオだったが、台風でも、大雨でも、これはあり得るかもしれない。水害も恐るべき危機だ。もう、東京は、ほんとヤヴァイ。

ドラマの最後のシーンでは「もし4日前に戻れるとしたら何をしますか」と問いかけられる。私は、間違いなく東京脱出する。それしかない。

NHKスペシャル シリーズ 体感 首都直下地震 「終わりの見えない被災」

さて今日からは、ドラマはない。ドラマがないとちょっとつまらない。しかし、被災後の東京・日本が、どれほどの重荷を負うのかがよく分かった回だった。問題は東京だけではなく、日本全国に波及する。

災害直後から1週間で、深刻なのは、やはり医療崩壊。番組では台風15号の停電・熊本地震の被災で家族を亡くした人たちのインタビューがあった。災害そのものではなく「未治療死」だ。停電になり、クーラーがとまり熱中症になったものの、どの病院も受け入れることができなかった。病院自体も停電の影響で患者を受け入れるキャパシティがなかったのだ。インフラが回復するまでの間、8日間で未治療死の人数は7449人が予測されている。

さらに1週間後には、断水の影響も深刻になってくる。約3600万人が断水の影響を受ける。日本全国のペットボトルの在庫を集めても13日間で日本中の在庫が切れる。当然、買い占めも起こり、首都圏だけではなく、日本中がパニックになるだろう。1か月後には、住宅難民と呼ばれる住む場所が未定の人が180万人も出てくることになる。

様々な分野から災害対策を研究する専門家が集まり、災害が日本に及ぼす影響を1週間後・1か月後・1年後・10~20年後まで話し合った結果、こうした細かな予測を立てることができたのだ。20年後までに予想される経済損失は731兆円。これは国民1人あたり600万円の負担となる。首都直下型地震をきっかけに、日本は「発展途上国」になると断言する人も多いのだとか。首都直下型地震は、日本にとって「終わりの始まり」になる。

東京にすべての機能を集中させるゆえのリスク。これは避けることができる。30年後までに、70%の確率で首都直下型地震が起こるのだとすれば、そろそろ、少しずつ疎開をし始めたほうが良いのではないかと感じた。

NHKスペシャル シリーズ 体感 首都直下地震 「災害に耐える社会へ」

最終回。いざ災害が襲ってきた時に事前に何ができるかを特集しているが、全体的な印象としては、個々でできることはほとんどないというものだった。番組の結びで、東京への「一極集中」が問題だとの指摘があった。まさに、その通りで、大規模な首都直下型地震が来たら、個々の備えなど、いくらやっていても意味がない。片田舎で暮らしていれば、こんなことにはならない。

二本社制を持ち、東京本社と札幌本社を持つアクサ生命の取り組みなどが紹介される。中枢が被害を受けて、指揮系統が混乱し、経済活動がストップしてしまわないためだ。「脱東京」しかないのだと思うと、脱力だ。ドラマ部分では主演女優だった小柴さんがコメントしていたけれど、仕事のことなどを考えると、やはり東京に住んでいるのは便利だとのこと。それが現実だよなぁ。脱東京は、ほとんどの東京人には難しい。

まとめ

ドラマ部分では、さんざん、恐怖心が煽られたが、解決策は乏しい。30年以内に70%の確率で襲う首都直下型地震。1年に直すと2%弱だ。これは、元旦が雨である確率と同じくらいだという。

つまり、今日、起こっても、明日起こってもおかしくない確率なのだ。それを分かったうえで生きていかなければならないのだが、あまりにも、大きすぎる災害の場合だと「まあ、考えてもしょうがないよね」となってしまう。もう一歩踏み込んで、個人個人ができることを考えていなければならないと感じたなぁ。

#首都直下型地震 #パラレル東京 #NHK #NHKオンデマンド

大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq