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メンタリズムパフォーマンス解説②~ババ抜き対決~

 今回は久々にパフォーマンスの解説をしたいと思います。よくテレビなどでDaiGo氏が行っていたパフォーマンスの中に、ババ抜き対決と言うものがあります。彼が言うには、相手にプレッシャーを与えてジョーカーをどこに置いたのかを当てているとおっしゃっています。僕もこのババ抜きを友人や家族にやりますが、やり方を覚えてどんどん実践していけば勝率は7割~8割くらいまで持っていけるでしょう。因みにこのババ抜きは僕が一番得意としている心理戦パフォーマンスなので、少し長くなるかもしれませんが、興味のある方だけ見ていただければなと思います。

~ババ抜きのルール~

このババ抜きはメンタリストと1対1で行うものです。まずトランプを5枚用意します。使うのはA(エース)~4の札とジョーカー1枚です。マークは何でも構いません。引く方をメンタリスト、引かれる方を相手と表記します。相手に5枚の手札を自由に並べてもらいます。その間メンタリストは後ろを向き、見ないようにします。並べ終わったら呼んでもらい、メンタリストは相手の手札を1枚引きます。もし、その引いたカードがジョーカーでなければ、続けて2回目も引くことができます。これを続けていき、もしメンタリストがジョーカーを引いてしまった時点で負けとなります。最後に相手の手元にジョーカー1枚だけが残れば、メンタリストの勝利です。メンタリストは相手がどこにジョーカーを置いたのか見極め、それをかわし続けるのに対し、相手は、ジョーカーをいち早くメンタリストに引かせるという究極の心理ゲームです。


Ⅰ.科学的な虚偽検知方法を知る

 よく、「しぐさから分かる心理術」や「悪用厳禁ブラック心理術」などの本が売られていますが、あれらの本はエンタメ要素が強いため、(全部が全部ではないが)果たして実践で使えるかどうかというのは疑問です。そして、心理戦や相手の心を読む上で重要なのは、一つのしぐさや表情から感情を規定するのはほぼ不可能だということです。例えば、腕を組む行為は防衛本能の表れだというへんてこりんな話がありますが、腕を組んでいる人が全員嘘を隠しているわけではありませんし、逆に腕を組んでいなければ隠し事はないとも言えません。つまり、そういった人間のしぐさは嘘を検知するためにはほぼ参考にならないと言ってもいいでしょう。では、どのようにしてメンタリストは相手の嘘を見抜いているのか、包み隠さずご紹介します。僕が心理戦を行う場合、主に3つのことを意識しています。
①瞳孔の開き具合
②瞬きの回数 
③テンション・リアクションの差異
 先ほど表情やしぐさから推測できないと言いながらも瞳孔・瞬きの2つが出てきてどうしたこいつと思った方もいるかもしれません。ここで言いたいのは、心理学者が数多くの嘘に関する研究をしてきている中で、現段階で少しでも嘘を見抜く確率を上げるために参考にするべき個所は瞳孔と瞬きだけだと述べています。これらは先ほどの腕組みと違い、人間の生理反応なので抑制しようとしても中々難しい箇所なのです。人間は強い感情を抱くと瞳孔が開き、プレッシャーがかかると瞬きが増えます。しかし、残念なことに日本人は黒目なので、瞳孔の開き具合が非常に分かりにくいです。なので、実際に行う際は、比較的明るい場所で行った方が瞳孔は見やすいと思います。①と②は軽く参考にする程度で大丈夫です。3つ目のテンション・リアクションの差異を見るというのが一番重要な項目です。この方法は、簡単に言うと、相手の普段の反応とプレッシャーを与えたときの反応の違いを見るというものです。心理戦がスタートした直後に、メンタリストは他愛もない話を投げかけます。ただ、この他愛もない話も実は相手の性格を聞き出す質問になっています。「海と山どちらが好きですか?」「好きな音楽のジャンルは何ですか?」「あなたを動物で例えると何ですか?」これらの質問は全て相手の性格を聞き出せるものとなっています。性格を当てる方法はまた今後出していこうと思うので今回は省きます。これらの質問が終わった後に、ジョーカーの場所を聞き出していきます。よく観察していると、先ほどの他愛もない質問をしていた時のテンションとジョーカーを置いた場所が当てられそうになった時のテンションに違いが出るはずです。違いがでたとき、それがジョーカーである証拠となります。なので、相手がリラックスしている間に、どういう癖があるのか、どういう言葉を多用するのかなどなるべく多くの情報を仕入れてみて下さい。

Ⅱ.プッシュステートメント

 先ほど説明した、相手にプレッシャーを与えるような方法をメンタリストの間では「プッシュステートメント」と言います。このプッシュステートメントは、FBIの取り調べや、SP(シークレットサービス)などが良く使用する技術です。心理戦をする上で最も大切なのは、メンタリストはもうすでに相手の心理状態(どこにジョーカーを置いているのか)を見透かしているかのように振る舞うことです。プッシュステートメントを入れるやり方と、入れないやり方を比較してみましょう。まずはプッシュステートメントを入れないと次のようになります。
「あなたはジョーカーを真ん中に置きましたか?それとも両端ですか?今の反応だとおそらく真ん中だと思います。」
 次に、プッシュステートメントを入れた場合です。
「あなたはどちらかというと直感タイプで、サクッと物事を考えられる方だと思います。そのような特徴を持つ人は大体ど真ん中に置きやすいです。因みに真ん中に置いたのには何か理由がありますか?(このセリフを言う前の情報をあらかじめインプットしておき、このセリフを言った後の反応と比較する。もし、反応があればビンゴ!なければ次のように言う)
「でも比較的落ち着いているので置いたのは真ん中ではなさそうですね。実は結構考えられましたよね。考えれば考えるほど真ん中の選択肢は無くなりやすくなります。よく悩んで置かれるのが両端ですね。(ここで相手の目をじっと見る。何らかの反応があれば両端の可能性が高い。なければ両端でも真ん中でもない場所になる)
 比べていただくと分かる通り、後者の方が圧倒的に追い込まれている感が伝わってくると思います。プッシュステートメントを使う上で大切なポイントは、「決めつけ」です。普通に聞くと「真ん中に置きましたか?」になりますが、プッシュステートメントを使うと、「なぜ真ん中に置いたんですか?」と真ん中に置いたことを前提で話します。仮に真ん中に置いていたら、相手はあなたのことを超能力者(サイキック)だと思うかもしれません。それくらいのプレッシャーが相手にかかります。どのような言い回しが相手により動揺を与えやすいのか研究してみて下さい。

Ⅲ.暗示・誘導の効果

 最後に、相手にジョーカーを置く位置をあらかじめ誘導する技術を紹介します。誘導と聞くと難しく感じる方もいるかもしれませんが、皆さんが思っているよりもはるかに簡単です。注意していただきたいのは、ここで行う誘導とは、置く位置を一つに限定するものではなく、ある程度2~3箇所くらいに絞るというものです。誘導をする上で重要なのは、ある程度相手の性格を把握することです。対戦をする前(カードを並べてもらう前)に、数分の雑談を交え、相手の性格や特徴を紐解いていきます。僕が見ている場所は3つあります。それは、「外向的・内向的」「攻撃派・守備派」「論理的・感情的」です。これらの性格を捉えたうえで、暗示や誘導を行っていきます。性格の見抜き方に関しては今後投稿していく予定です。それぞれの性格に合わせて誘導していきますが、今回は仮に、「外向的で守備派で感情的」な性格だと判断した場合の例を紹介します。一連の誘導・暗示の流れです。「真ん中でも両端でも良いのでお好きな場所に置いてください。因みに一番置かれやすいのは真ん中です。先ほどの人も真ん中に置いて当てられて悔しがっていました。」これは、両端に置かせるための誘導です。まず、外交的な人はメンタリストが候補に出した場所にジョーカーを置きやすいです。(ここでは、真ん中と両端)そして守備派の人は負けを恐れるので一番置かれやすい位置を嫌います。続けて感情的なタイプの人には感情表現を交えていくと良いでしょう。(ここでは「悔しい」や「好き」という表現)また、これに加えてジェスチャーやボディーランゲージを用いて誘導するのも効果的です。例えば、「真ん中でも両端でも好きなところに置いてください」と言いながら、さりげなく両手を大きく伸ばして両端をイメージさせるなどです。ただし、これは絶対的なものではないので、まずは最初に記述した「プッシュステートメント」に磨きをかけて下さい。誘導や暗示は、プッシュステートメントの範囲を狭める一つのツールとしてお使いください。くれぐれも暗示だけで当てようとは思わないでくださいね。ではまた!


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