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催眠誘導文の読み方

 催眠誘導文は,音域を狭くし,平板な声で言います.すると催眠誘導が速くて深くなります.
 その理由が良く分らなかったのですが,中井久夫「精神科治療の覚書」を読んでいて,そのヒントに出くわしました.統合失調症の患者さんが,妄想を語るとき,音域の狭い,平板な声になるのだそうです.
 妄想を語るときはトランス状態と言えるでしょうから,そういうしゃべり方をすると,相手にトランス状態を想起させるのでしょう.
 似たような話ですが,発達障害の方が,パニックになりそうなのを耐え忍ぶ際に,身体を前後に揺することがあるそうです.これは自身のトランスを深めて,困難な状況を乗り切ろうとしていると考えられます.
 そこで相手の身体を前後に軽く揺すると,トランスが深まっていきます.こういったところからも無意識の不思議さが見えて来ます.

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