M.R.

1974年生まれ。医療法人職員(2000年〜ライター・編集者も継続中)。スポーツ心理学…

M.R.

1974年生まれ。医療法人職員(2000年〜ライター・編集者も継続中)。スポーツ心理学で修士(学術)取得。スポーツメンタルに関する知見や効果的なトレーニングについて書き留めております。選手や指導者が本サイトを参考にしていただければ幸いです。

マガジン

  • メンタルトレーニングと心理サポート

    他のマガジンで紹介したもの以外のメンタルトレーニングと、心理サポートについてまとめました。過去のページより読み進めていただければ分かりやすいかと思います。

  • 運動技術を効果的に習得する

    心理学の観点から運動技術を効果的に習得する方法をまとめました。過去のページより読み進めていただければ分かりやすいかと思います。

  • 機能的なチーム作り

    チーム作りにおいて重要な事項をまとめました。過去のページより読み進めていただければ分かりやすいかと思います。

  • モチベーションを高める

    目標設定を行って動機づけ、モチベーションを高めることについてまとめました。過去のページより読み進めていただければ分かりやすいかと思います。

  • 注意を向け、集中する

    注意を向けることや、集中することについてまとめました。過去のページより読み進めていただければ分かりやすいかと思います。

最近の記事

  • 固定された記事

本サイトのマガジンについて

 スポーツの現場で取材をする上で、心理面についての悩みを抱えている選手が多いことを感じています。そのため、スポーツ心理学で成されている研究結果を元に、スポーツの現場に活かせる内容をピックアップしてまとめました。  緊張で悩む人、集中できない人、モチベーション(やる気)をアップさせたい人、チーム作りに悩む人、そのほか、技術がなかなか習得できないと悩む人のためにお役に立てられればと思い、作成しました。 ※本サイト作成における主要参考文献 伊達萬里子、松山博明、田中美吏、三村

    • 試合勘を高めるために必要な知識とは?

       これまでに、運動スキルを効率的に習得していく方法を示してきました。しかし運動スキルだけではなく、試合中での予測や状況判断といった知覚スキルの習得も必要になります。体力があり高い技術を持っていたとしても、状況を読んでそれに合った最適なプレーができなければ良い結果を得ることはできないのです。試合勘を高めるためにも知覚トレーニングを行って、予測力や状況判断能力を向上させることが重要になってきます。  そもそも知覚スキルで選手それぞれに差が生まれるのは、どんな能力に差があると思わ

      • 技術の習得には、目先の成果にとらわれないこと

         このマガジンでこれまでに述べてきた技術が上達する練習方法をまとめますと、多様性のある練習、ランダム練習、全習法、内在的フィードバックを重視する、ということを推奨しています。これらの練習を推奨することは、すべて同じ結論に行きつきます。  それは、目先のパフォーマンスの向上にとらわれないことです。  競技初心者であれば、あまりにも失敗が繰り返し起こると失敗の技術が身についてしまうので、注意は必要です。しかし変化にとんだ練習、練習順序はランダム化する、技術練習は分けず同時に行

        • 丁寧すぎるアドバイスは、弊害を伴う

           コーチは、選手に対してつい手取り足取り多くの事柄を教えたくなったりはしないでしょうか。しかし選手にとっては、フィードバック情報が詳しすぎるとこれらを処理しきれず、逆にパフォーマンスが上がることはありません。またビデオからフィードバックを得る場合も、初心者であれば要点を絞って見る必要があります。ビデオから得られる情報は大量にあるので、選手は処理しきれなくなるのです。  アドバイスを受ける頻度についても、注意が必要です。ある実験では、「すべての試行において結果についてのアドバ

        • 固定された記事

        本サイトのマガジンについて

        • 試合勘を高めるために必要な知識とは?

        • 技術の習得には、目先の成果にとらわれないこと

        • 丁寧すぎるアドバイスは、弊害を伴う

        マガジン

        • メンタルトレーニングと心理サポート
          10本
        • 運動技術を効果的に習得する
          8本
        • 機能的なチーム作り
          6本
        • モチベーションを高める
          4本
        • 注意を向け、集中する
          5本
        • 緊張をコントロールする
          13本

        記事

          上達への近道となる選手へのアドバイス法は?

           スポーツの技術を上達させるためには、あらゆる情報を取り入れて自身に足りないものや役に立つものを生かしていきます。これら情報を選手自身に還元することを〝フィードバック〟と言いますが、フィードバックには〝内在的フィードバック〟と〝外在的フィードバック〟があります。  内在的フィードバックは、選手自身の視覚や運動感覚などから情報を取り込み、理想としている技術と自身の動きとの差を感じ取ることを言います。陸上競技の走り幅跳びで例えれば、跳躍する踏み切り位置にピタリと足が合わなかった

          上達への近道となる選手へのアドバイス法は?

          一連の流れで習得する全習法が実戦に生きる

           競技を始めて間もないころであれば、技術を習得するために動きを部分的に分けて練習する場合があるでしょう。  例えば野球のスローイングで、下半身の動かし方と上半身の動かし方、腕や手首の使い方と、それぞれを分けて練習するようなケースです。これを〝分習法〟と言います。各箇所ずつで正しい動きを覚え込ませ、それによってスローイングなどのように連続させる動きを作り上げていく方法になります。技術習得の初期段階であれば、この練習方法は有効になります。  また、シチュエーションによって複数

          一連の流れで習得する全習法が実戦に生きる

          ブロック練習とランダム練習はどちらが効率的か

           前回説明した多様性練習では、1つの技術を習得させるための方法として説明しました。続いては、複数の技術を習得させるために効率的な順序で練習する方法を述べていきます。テニスを例に挙げると、フォアハンドやバックハンド、スマッシュなど、さまざまな打ち方を習得する必要があります。卓球やバドミントンのようなラケットを使う競技も、類似するケースを想像することができるかと思います。  よく「フォアハンドを30本連続+バックハンドを30本連続+スマッシュを30本連続」と、ショットをひとつず

          ブロック練習とランダム練習はどちらが効率的か

          ドリルを繰り返すより、多様性のある練習

           ある技術を身につけようと考えていると想像してみてください。ここでは、サッカーのフリーキックの技術を身につけることを例として示します。  フリーキックを上達させるためには、同じ位置から何度もキックを繰り返すのが良いと思いますでしょうか? それともいろいろな位置からフリーキックの練習をするのが良いと思いますでしょうか?  これは、同じ動作でドリルを行って習得する方がいいか、練習に多様性を持たせて技術を習得させる方がいいかという視点の違いになります。  そこで一方の練習法を

          ドリルを繰り返すより、多様性のある練習

          やみくもではなく、効率的な技術練習を行おう

           これまでのマガジンでは、緊張や集中、モチベーションを上げるなど、心理的なスキルを向上させるための方法、また具体的なメンタルトレーニングについても説明してきました。  スポーツ心理学では、これらのような心理面のスキルを向上させるための研究が行われています。スポーツを上達させるためには「心・技・体」それぞれの向上が必要であると言われていますが、「心」に当たる心理面のスキルが重要であることが理解できたでしょうか。  一方で、運動能力を向上させるためには技術や体力を習得するため

          やみくもではなく、効率的な技術練習を行おう

          チームワークによって得られる団結力と士気

           以上までに挙げた「リーダーの能力」や「チームの目標」、「メンバーについてお互いを知り合う」、「メンバー個々の役割と責任の割り当て」によってチーム力は向上します。それによって向上したチームワークが、チームに団結力と士気を生みます。  団結力は、心理学では〝凝集性〟と呼ばれますが、凝集性が高まると個人が自発的に集団に留まろうとする力が働き、まとまりのある集団になります。集団が分裂しそうになっても耐えることができ、集団が共有している規範や考え方への順応も高まるでしょう。そして、

          チームワークによって得られる団結力と士気

          チームでの役割を決め、責任を持つ

           チームの立ち上げ時には「メンバーについてお互いを知り合う」機会を設けるとともに、「チームでのメンバー個々の役割」も決めましょう。リーダーや副リーダー、ムードメーカーが役割として挙げられますが、そのほかにも「新しい練習法を提案する役」、「チームの内紛を調整する役」など、挙げようと思えばさまざまにあるはずです。リーダーばかりに役割を持たせるのではなく、メンバー全員に役割を与えることが重要です。たとえ人数が多いチームであっても、チーム内でブロック分けされた中からそれぞれに役割を持

          チームでの役割を決め、責任を持つ

          お互いを知るため、コミュニケーションを取る機会を設ける

           チームを立ち上げる際に、チーム内で相互の信頼関係を築き上げるためにコミュニケーションを取ることが必要になります。しかもそのコミュニケーションは一方的なものではなく、双方向から発せられるようなコミュニケーションです。  まずは自己紹介の仕方から工夫を加えると、チームワークの質が変わってきます。自己紹介者は肩書を述べるだけではなく、それに対して他のメンバーが質問するなどインタビューをして、自己紹介者の人物像やチームにどのような影響をもたらしてくれるかを話し合います。それがチー

          お互いを知るため、コミュニケーションを取る機会を設ける

          全員が関われるようなチームの目標を決める

           チームの目標を掲げることも、チーム作りにおいては重要になります。チーム目標の内容は、「モチベーションを高める」マガジンで説明した「目標設定」のポイントをほぼ同様に踏まえていれば良いでしょう。「具体的」な目標を立てて、漠然としたものではなく明確なターゲットを設定します。かつ「現実的で挑戦的」で、到達できそうな程度のレベルで設定し、チーム全体のやる気や自信につながるような目標にしましょう。  ただひとつチーム目標について注意しておきたいのは、「他の選手がやってくれるだろう」と

          全員が関われるようなチームの目標を決める

          チーム力に影響するリーダーシップの特性

           チームを作っていく上で、リーダーの存在は欠かせません。「集団の課題を解決する」、「集団の目標を達成する」、「集団を維持させる」ことに関し、リーダーの役割は重要になってきます。指導者が持っているリーダーシップの特性は、チーム力に大きく影響してくるわけです。  また指導者のみならず、チームのキャプテンがリーダーシップの役割を担うことも大いにあります。メンバーから選ばれたキャプテンがどのようなリーダーシップを発揮するかによって、そのシーズンの出来が左右するのです。したがって、新

          チーム力に影響するリーダーシップの特性

          チーム作りの方向性は、チーム結成時にほぼ決まる

           団体競技はもちろん、個人競技においても多くの選手が学校やクラブチームなどの組織に属しているでしょう。チーム内で協力関係や一体感があれば、自身のパフォーマンスにも良い影響が出ると感じている人も多いと思います。できることならそのようなチームでスポーツをしたいと思い、良いチームを作っていきたいと考えるはずです。  チーム作りではまず「指導者のリーダー能力」と「チームの目標」、「メンバー全体の能力レベル」の組み合わせで、チームとしての実力が初めに決まっています。そしてチームを立ち

          チーム作りの方向性は、チーム結成時にほぼ決まる

          スポーツで得たスキルは、引退後の人生に生きる

           選手は引退することになったとしても、今まで頑張ってきてスポーツによって得られたものがあるでしょう。このスポーツでの経験を、〝ライフスキル〟として引退後も生かすことができます。ライフスキルとは、日常生活での問題に対処するための技能になり、数多くの具体的なスキルによって構成されます。スポーツ経験によって身につけたライフスキルが、実は身についているのではないでしょうか。  例えば、本サイトでは心理的スキルの習得について紹介しています。緊張や集中といった「情緒コントロールスキル」

          スポーツで得たスキルは、引退後の人生に生きる