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「愛」で日本の教育を変えてみせる。

「私のキーワードは"夢"です。夢は叶えるだけではなく持つことに価値があり、夢を持つこと自体が素晴らしいことだと思っています。」そう力強く語ってくれたのは山尾楓子(やまお ふうこ)さん。

将来は地域密着型のミュージカルコミュニティを作って、全国各地の子供にミュージカル教育を届けることが夢だという。高校生でありながら、壮大な夢を掲げる彼女の原動力は一体どこにあるのだろうか。

全てのスタートは「通わされた英会話教室」

楓子さんは、2002年に神奈川県で4姉妹の長女として生まれた。初めての子供だったお母さんは「英語だけは勉強させておきたい」との思いでまだ2歳半だった彼女を英会話教室に通わせることに。

途中でイヤイヤ期を迎えたが、意地でも辞めさせてもらえず。そこで「英語を楽しめるように」と母が通わせたのが、ミュージカルを題材とした英会話教室であった。ここから彼女の人生は大きく変わっていくことになる。5歳のときの出来事だった。

英会話教室では主に表現力・自発性・総合芸術などを通じて、徐々に海外の文化や歴史に興味を学んでいった。そこでの学びが世界を知ること、人の気持ちを考える力に繋がっていく。

人生を変えたニューヨークの夏。

歳を重ね小学校に上がった楓子さんは、9歳になると今でも関わりのあるNPO法人ジョイキッズシアターに通い始める。この団体はミュージカルを通した子供教育に力を入れており、技術的に、そして人としても彼女は大きく成長していく。

一方学校生活はというと、これまでのミュージカルの経験もあり自分に自信を持って日々の生活を送っていた。しかし年齢を重ねてくると、それを見た周囲の人は彼女を「異質」としてとらえるようになった。それを感じた彼女は、徐々に周りに合わせて学校生活を送るようになってしまう。

そんな楓子さんの転機は、10歳の夏に訪れたミュージカルの本場ニューヨーク。NPO法人の活動として行ったそこでは、プロと演技したり様々な経験をすることができた。

なかでも彼女の心を揺さぶった出来事があった。それはたとえ下手くそでも、無条件で自分が特別だ、と信じて堂々と演技をする同じ子供たちの姿。とにかく自己表現を楽しんでいた姿に衝撃を受けた。

その姿をみたことで「たとえ長所がなくても、自分を好きでいていい」と思うことができるようになったという。それと同時に日米の違いを考え、違いの原因は学校教育にあるのでは?と彼女は気づいた。日本の教育には、もっと個人を個性として表現しあうことが必要なのではないかと。

ミュージカル教育

自分の悪いところも個性として受け入れること、自己受容の大切さを学んだ彼女は中学、そして今の高校生活を通じて多くの経験を重ねる。教育をする側に回ってみたり、海外の孤児院を訪れて現地の子供にミュージカルを届けてみたり。

そんな経験を通して、ミュージカルだけでなく教育も合わせた「ミュージカル教育」への思いは日増しに大きくなっていった。実際にミュージカルを教育の手段として取り組んでいる事例は日本では少ないそう。だからこそ、そこに多くの可能性を感じている。

夢は生きる原動力になってくれる

順風満帆に見える彼女の人生だが、半年ほど全く前を向けない期間も経験した。家庭や学校の事情が重なって全く前を向けなくなり、友人すらも拒絶するようになったという。

そんなとき、たまたまSNSで北朝鮮から脱走した子を見て目が覚めた。「私にはたくさんのやりたいことがある。」夢を持つことは、自分自身に生きる原動力を与えてくれるものだと気づいた。

私にしかできないことをやる。

彼女は言う。
「私は環境に恵まれてきた。ここまで夢を持ち、成長してこれたのは自分の力ではない。だからこそ、これからは自分にしかできないことで感謝を伝える。自分がもらった恩を他の人に送っていくこと、恩送りをたくさんの人に広げていきたい。」

この夢の先には
たくさんの子供たちの笑顔が溢れているに違いない。

山尾楓子の挑戦はこれからも続いていく。

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