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月経血幹細胞の卵巣への効果

月経血幹細胞臨床研究会コラム



月経血幹細胞の卵巣への効果は?

 
今回ご紹介する文献では、月経血幹細胞を静脈投与した際の卵巣への作用が報告されています。

化学療法を受けた若い女性患者は、
しばしば早発性卵巣不全が起こる可能性があります。

このような患者に対する幹細胞の治療の可能性は、様々なソースから得られた幹細胞で検討されてきました。
しかし、これらの種類の幹細胞の多くは、
細胞採取には外科手術などの侵襲的な処置が必要です。

それに対して、月経血幹細胞は侵襲なく得られ、
組織修復に利用できる新しい幹細胞源として知られています。

この報告では、卵巣不全マウスを作製し、尾静脈から月経血幹細胞または月経血幹細胞由来の培養上清が注入されています。

投与の7日または21日後に卵巣を摘出し、卵胞数を数えて効果判定されています。また、卵巣機能は、血清性ホルモン値をモニターすることにより評価されています。

結果として、月経血幹細胞の静脈投与は、顆粒膜細胞のアポトーシスと卵巣間質の線維化を抑制することにより、卵巣微小環境を改善し、卵胞数の増加と性ホルモンレベルの正常化に寄与することが示されました。
一方、静脈投与された月経血幹細胞は、直接卵子に分化するのではなく、卵巣間質へ直接移動し、修復の役割を果たします。

さらに、月経血幹細胞および月経血幹細胞の上清は、FGF2を分泌することにより、損傷卵巣の保護作用を発揮しました。

この報告によって、月経血幹細胞は卵巣の損傷を修復し、卵巣機能を改善し、再生を促進することから、

月経血幹細胞の静脈投与は卵巣不全の治療に有効

かつ新規な方法となる可能性が示唆されました。
気になる方は、下記の文献を読まれてみてくださいね。
 
参照:Stem Cell Res Ther. 2017 ;8(1):11.