穏やかに暮らしているのに
昔の友人から定形外郵便の封筒が届いた。
ずいぶん前から、年賀状のやりとりもしなくなったし、はっきりいって疎遠の相手だ。
昔の友人と表現するのだから、疎遠なのだ。
昔の友人が疎遠ならば、もう私の中では友人ではない認識だ。
昔を知っている知人、である。
いきなりなんなのだろうかと思いながら、封筒を開けるとそこにはポーチと久しぶりだという文章の後によかったら使ってねと書いたメッセージカードが入っていた。
綺麗に丁寧に作られている、彼女らしい花柄のポーチである。
既製品でないのはわかる。
でも、既製品よりも丁寧な作りこみなのもわかる。
昔から手芸が好きだった彼女、腕をあげてるなと感心した。
感心しながら、じっとポーチを見る。
手に取る。
長考する。
さて。
これ、私、使うだろうか?
柄ははっきり言って好みじゃない。
ポーチのサイズも、しっくりこない。
でも、一度くらいは使ってあげなきゃいけないのだろうか?
いいや。
気に入らないものを、無理して使うストレスを感じたくない。
彼女からの気持ちだけいただいて、ポーチは寄付用段ボールに入れる。
無駄に物を増やしたくない私は、人からいただいたものがぴったりはまって気に入るということがほとんどない。
だから、こうやって寄付用段ボールに入れてしまう。
自分が気に入ったものが必要な分だけちょうどある、そんな暮らしが好きなのだ。
そんな暮らし方がようやく身についてきた今日この頃だ。
使わないにしても、贈り主の彼女にお礼はしなきゃと思ってすぐにLINEした。
お礼と、ぜひ使わせてもらう(嘘)ということと、ハンドメイドの腕が上がっていることを褒めてみたら、それに気をよくしたのか、自慢(売れっ子作家だと)も含まれた返事が返ってきていた。
それに付け加えて、販売もしているからということでアカウント名まで教えてくれて、某サイトで検索してみてほしいと。
ああ、もう、うんざりだ。
こういうのがいやだからこいつとは疎遠だったのよ、ということを思い出し、LINEのやりとりは私の方から終える。
そのやりとりの翌日、彼女はいきなりグループラインを作っていた。
メンバーは全員、昔の友人である。
その中に、私はもう金輪際付き合いたくないから、人間関係断捨離した人間もいる。
そんなこと、彼女は知る由もないのか、それともあるのか。
彼女が何をどうしたくてグループラインを作ったのかは知らないが、なんとなく想像はつく。
商品、売りたいのね。(たぶん)
私は、そのグループの通知をOFFにした。
また面倒くさい関係が復活したが、いきなり退会するのもアレなんで、しばらく様子をみようと思う。