見出し画像

夏の夜の奴

2階の和室の襖を開けた時、何かいつもとは違う感じがした。
すぐにはこの違和感が何なのか、わからなかった。

時刻は21時すぎ。
部屋は真っ暗なので、目が慣れるまでに少し時間がかかる。
ベランダに繋がる掃き出し窓は、網戸にして全開にしてある。
しかし、この酷暑では熱風しか入ってきておらず、むわっとした空気。
33度ぐらいはあるんだろうなと思う。

網戸の方に目をやると、上の方になにやら黒い影が見える。


葉っぱのような、木のかけらのような、黒いそれは何かわからない。
視力も衰えてきているので、ぼんやりとしか見えない上に、この暗闇じゃわからない。

????




明るくすればわかるかな、と照明のスイッチを入れた瞬間、それが、何かわかった。





出た!やつだ!Gだ!!!!!!




夏の夜の、部屋開けた時の違和感は大抵、Gか幽霊だろう。
ここ何年かは部屋の中でGと遭遇することがなかったので、思いっきり油断していた。
Gと遭遇していた頃は、部屋を開けた瞬間の違和感で「奴がいる!」と察知能力も高かったはずが、もうその能力も衰えたというのか。
ちなみに、私は幽霊に関しては全く察知能力も霊感もなく、遭遇したこともない。


奴は内側の網戸に止まっている。


しばらく私は、奴の姿を凝視したままフリーズしていた。
Gが出た時、一切の声が出なくなる。
ただ、Gの動きを一瞬たりとも見逃さないように、睨みつけることしかできない。


この状態で、どうやってやっつけたらいいんだ。

殺虫剤をいきなり吹きかけたところで、だいたいが失敗する。
奴は逃げる。
その上、奴は飛べるからな、そうなったらこの世の終わりだ。


奴は長い触角を左右に揺らして、余裕の態度で網戸に止まっている。(イラつく)

網戸のそばのふすまを叩いたとて、奴はびくともしない。



そこで私は閃いた。




ゆっくり窓を閉めて、網戸と窓の間にGを閉じ込めた。



そして、私はベランダ側に回り込む。
殺虫剤を2本持ち(G用が無かったので蚊用とダニ用w)、Gに向かって噴射する。
網戸のおかげで、Gが逃げ出すこともなく、ダイレクトに薬液が噴射できる。
Gは慌てて逃げるが、網戸と窓の間に閉じ込められてる。
逃げ惑うGの動きに合わせて、これでもかと噴射する。



うはははは~!苦しめ~!死ね~!(悪魔)



そう言いながらGに2本の殺虫剤をまき散らした。
多分、私、ここ最近で一番のストレス解消になったのかもしれない。
殺虫剤を噴射しているときに、のたうち回るGの姿に、嫌いな奴の顔を重ねニヤついていたのは、ここだけの話にしようか。




蚊用ではなかなか弱まらなかったけど、ダニ用はまぁまぁ効き目あったかな。


ようやく瀕死の状態になってきて、動きが止まったのを確認し、処分した。








疲れた。
早寝しようと思っていたのに、Gのおかげで興奮して目が冴えてしまった。

noteのネタになったから、結果オーライだ。