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蛙の子は蛙

この時期になると、母の友人がタケノコを山ほどくれる。
母はいそいそと大量のタケノコのアク抜きを始める。

「ほら、会社の人たちに持っていくでしょ?何人?」

要る人数をざっと数えて伝えると、

「ほれ、もってけ。」

と、たくさんのタケノコでずっしり重くなった袋を渡される。



毎年、この一連の流れは恒例になっている。
山ほどのタケノコを貰っても、我が家だけでは到底食べきれないし、近所や親せきに配ってもまだ余る状態。
物には限度があって、いくら美味しい物でも食べきれない量になればうんざりする。

母は私の職場のお姉さま方に貰ってもらえるのが本当に助かると言う。
それに喜んでもらってくれる人がいるので、母もアク抜きをするのが楽しそうである。




毎年毎年みんなにあげていたけど、今年は

まるちゃんだけにはあげたくないなぁ

と考えていた。



考え込んでる私に、母がどした?と聞いてくる。

ここ最近、私の身に起きたおやつ事件をざっと話した。

タケノコをあげたくない人が一人おるねん。

ああ、おるねぇ、そういう貰って当たり前みたいな顔している人。
人の物も気が付けば自分の物にしている人。
どこにでも一人はおるわ。

と母が言う。


私は続ける。
「その人、滅多にお菓子持ってこーへんけど、たまに持ってきたと思たら、自分の家で要らん食べんからってバカでかいキャラメル持って来てん。
言い方よ、言い方。
要らんから持ってきたって。
要らんものを与えられてる私たちの気分って考えてんのかいな。」

あはは!なんやそれ。(笑)
どうせその人の親がバカでかいキャラメル食べて、高齢者やし喉に詰まらせて死にそうになったんやろ。危ないなぁ。
高齢者が死ぬようなもん、要らんから持っていたんやろ。
その人の親、死にかけたんやわ、そうおもとき!
ほんで、死にかけた可哀そうなその人の家族にもちゃんとタケノコあげとき!

母も同じような高齢者だが、辛辣な言葉で一掃したのでなんだかこっちは一気にスッキリした(笑)



私の母は、やっぱり私の母なのだ。
思考が私同様、いじわるや。