悪口はまわる
最近、まるちゃんの威圧感というか、独断専行や人の悪口ばっかり言ってるのがだんだんと他の人たちも感じてきたようで、彼女に対しての不満を耳にするようになった。
まるちゃんは、自分が損するのが大嫌いだ。
まぁ、誰しも自分が損するのが好きな人はいないだろうが。
コロナが蔓延してスプリット勤務を始めた2020年の春。
スプリット勤務なんて、今までやったこともない会社は試行錯誤だったはずだ。
1班と2班に分かれて、1週間交代で出勤する班と、会社の携帯持ち帰り自宅で待機する班が決まった。
私とまるちゃんは同じ1班だった。
そのシフト表を見て、まるちゃんが
1班の方が出勤日数多い！！！！2班の方が休み多い、ずるい！！！
ずるいよ、なあ？
と、私に同意を強い語尾で訴えてくる。
ずるいとは思わないけども。休みの数が不公平だというけど、そもそも休みなんかじゃないのよ、自宅待機。仕事と同じなのわからんの？バカなの？
こんな奴と同じ考えだと思われたくない私。
「いや、休みじゃないんじゃない？自宅待機だから。」
そう言ったけれど、とても不満そうに続ける。
だって娘が勤めている会社はもっと待遇いいのに！！
（おそらく、スプリット勤務などではなく在宅勤務だということを言いたいのだろう）
不満げな彼女の表情は、いつも下品に見える。
じゃあ、娘の会社に入れてもらえよ！
あんたが勤めてんのはここなの、娘の勤める会社とは違うの、理解してんの？バカなの？いい大人なんだからガキみたいなこと言うな。
こういう前段階があって。
銀行というのもあり、規則に縛られてなかなか自由が利かない勤務先なのである。
県を跨ぐ移動もなかなか許可が下りなかった。
国や自治体が移動制限を解除しても、会社の移動制限が解除されないことも多々あった。
会社が移動制限を解除したとしても、結局やむを得ない用事以外は誰も移動をしようとはしていないのが、今の現状。
旅行も行かないし、帰省もしない。
私も娘のいる東京へ2年以上、行っていない。
私みたいな人が殆どであるのだが。
あのスプリット勤務の頃からずっと今まで。
コロナが蔓延している中でも、まるちゃんは金曜日、月曜日のどちらか、もしくは両方を有給休暇で休む。
毎月である。
酷い時には、月に2回、3連休もしくは4連休にして休みを取得する。
コロナ前の頃からそういう休み方をしていたが、そのたび
「娘のところへ行くの。」と言って休んでいた。
彼女の娘がいるところもけっこうな都会なので、コロナ感染者数はすごい。
コロナの世界になっても相変わらずその連休にして休むスタイルはそのままであるし、まして増えてる気がする。
移動制限がある中、連休取ったとしてもどこにも行けないのにな、と大半の人間が思っている状態で、まるちゃんは毎月連休取ってどこかへ行っているふうである。
コロナの世界になってからは、娘のところに行くという理由は言わなくなったけれど（それを言ったら自分が印象悪いのはわかっているようだ）相変わらずどこかへ行っているのは薄っすらわかる。
移動制限を破っても行くタイプのようだ。
移動制限があり、スプリット勤務で自宅待機の時は彼女、自宅以外で待機していたんだろうなと思ったりしてしまう。
”県外の娘のところへ行くの、だから必然的に連休になってしまうのよ。仕方ないでしょ。”という、暗黙の了解をみんなにさせる小技が使えなくなった今、まるちゃんは一切娘の話をしなくなったんだけど。
ただね、お盆と正月は
娘が帰ってくるから休み貰います。といつものように連休にするんだよ。
こんなときだけ嬉々として理由を言うから、逆に、言わない2月～7月と9月～12月の連休の理由が知りたくなるのは人間の心理。
まるちゃんはこうやって自由気ままに休みを取得するが、他の人と休みが重なってしまった場合、ほぼ譲らない。
そして、陰で「あの人いつもよく休むくせに、厚かましいわ！」と他の人に悪口を言っている。
こんなん、聞きたくないし、お互い様だろと思うし。
30才を超えた娘のところに毎月通う母親って言うのも、いまひとつピンとこないのだが、一卵性母娘なのだろうか。
それとも、別の理由があるのか。
会社のみんなが最近ひそひそと騒ぎだしているのが、おかしい。
みんなの想像力が豊か過ぎて、「まるちゃんが毎月連休にしてしていること」を昼休みに聞くのが楽しい。
みんなの想像ストーリーがある程度たまったら、ネタにしようと思う。
口を開けば人の悪口と噂話をするまるちゃん。
こういう人は、結局、裏で何言われてるかわかんないよね。