女性の品格



2020年の私の目標の一つに、品格を大事にする、というものがあります。

というわけで数年前に祖母の本棚からもらった「女性の品格」を読み返してみることにしました。

当時はふ〜んとしか思わず、大して内容も覚えていなかったのですが、再度読み直すと改めて深く感じることがあったので、ここに書き留めておきます。


そもそも、これを読み直そうと思ったのは上に書いた理由の他に、「女性の品格」というタイトルが、なんとも時代に反しているように思えたからです。

男女平等が叫ばれているこのご時世の中で、一体この著者は何を”女性の”、女性だけに限った品格として書いているのかしら、と、半ば挑戦的な気持ちでページを開きはじめました。



そして、私の期待はいい意味で裏切られました。


後から知ったことなのですが、著者である坂東眞里子さんは東大卒業後、1962年に内閣府に入省していた人物だったのです。

まず、前書きにはしっかりと、現代において女性の生き方や社会における役割が変わってきていることが記されてあります。


女性だからこそこのような品格を守って欲しい、といったことが羅列されているのではなく、古今東西、男性女性問わず、人間として守るべき品格について述べられている著作でした。

これまで女性らしさとして大切にされてきた生き方や振る舞いの中で、美しく全ての人にとって大切な行いたちを、男女平等がが達成されつつある社会の中でも失わないでいて欲しい、また、そういった美徳の輪を女性から積極的に広げていって欲しい、そんなメッセージが伝わってきました。


あとがきの中でも、女性が社会に進出する中で試練に直面するであろうということが触れられていました。そのような難しい局面にも、本文中で示されている指針、品格を持って接して欲しいとのことでした。

著者自身、今でさえ男性社会と言われる霞ヶ関に50年以上も前に勤務し、どれだけ「女性としての」苦難に直面されたのだろうか、と考えると、想像することすらできません。


私は著者が、社会の現状の中で女性が被りうる弊害について、はっきりと言及していたことに強く好感を持ちました。

その上で、女性こそが素晴らしいのだとか、女性らしさはもっと認められるべきだとか、広く社会一般に対して物申しているのではなく、あくまで先に社会で活躍してきた女性として、次の世代の女性に期待を込め、彼女たちに伝えたいことをしたためていることに、感動を受けました。


だからこそ、この著作のタイトルは「女性の品格」なんですね。


品格、この言葉一つにはいろんな行動や規範が込められていますが、要は自分自身で誇れるような美しい言動を心がけること。

変わりゆく社会に生きる、これまで生きたたくさんの女性からバトンを受け取りつつある一女性として、心に留めておきたいと思いました。