「鬼滅の刃の異常ヒット!流されやすい世の中に不気味な違和感!」から考える
何やら世のおじさんたちがこんなものを求めている(?)ようなので書いてみる。
私の鬼滅の刃の履修状況は下記の通り。
・漫画はジャンプ本誌でずっと流し読み 最終回まで読んでいるが内容はほとんど覚えていない 何故ならば全然面白くなかったから
・アニメを全部観た
・映画は観ていない
鬼滅の刃の異常ヒット!流されやすい世の中に不気味な違和感!
早速本題に入りましょう。
まず鬼滅の刃のヒットは異常なのか?
私は「正常」だと考えています。
世の中は流されやすいのか?
私は「漫画を読むにもアニメを観るにも物事を深く考えずぼんやりと雰囲気だけ感じてる人」が世の中に多く、その人たちが流されやすいのだろうと考えています。
おやおや、いきなりタイトル詐欺になってしまいましたね。
訂正しましょう。
鬼滅の刃はヒットして当然!雰囲気だけで感動する大衆から漂う不気味な違和感!
あーーー帰らないでください!石を投げないでください!
もちろんね、色んなこと考えて鑑賞してる人、沢山いると思います。
でも実際問題、「鬼滅の刃とか全く面白くないんだが…」って思ってる人もね、それなりにいるはずなんですよ。キメハラが怖いからみんなわざわざ言わなかったり、どこがどう面白くないのかを言語化しあぐねているだけで。
「鬼滅の刃を面白くないと感じる人のうちの1人が、何故そう思うのか」を、しっかりと言語化させて頂きますので、どうかこの場で語らせてください。
ちなみに、主にアニメの話です。漫画は漫画でまた沢山思うところがあるのですが、あまりに長くなり過ぎるのでここでは割愛します。
さてこの時点で
「大ヒット大正義鬼滅の刃の批判など許さん!!」
とかプンプンしてる方、キメハラの才能があります!凄いぞ!
おいしい紅茶やコーヒーでも淹れて一服しましょう。落ち着いてから続きをお読みください。
雰囲気だけで感動していると言われたことにプンプンしてる方、ごもっともです!しかしそうではないなら「どんなところに何故感動したのか」 しっかりご自身の考えをお持ちなんですよね!それなら怒ることはありません!そんなしっかり考えておられるあなたの事を指しているわけではありませんので。
ま、いずれにせよ、こういう人もいるんだな〜とサラリと読んでやってください。
さあみんな心を落ち着けて。全集中だ。大丈夫、君ならできる。長男だからね。
面白くない理由その1
鬼滅の刃=お気持ちの刃 だから
落ち着けとか言ったそばからなんかすみません。
アニメで納得いかなかったシーン、数えるのをやめてしまうほどにはあったんですが、ピックアップして紹介します。
屋敷の中で子どもを助けようともせず失神するヘタレなのに、その後「中身をなんとなく察しているだけの箱」を伊之助から守ることには、何故異様な漢気を見せる善逸くん。
これ、本当に謎じゃありませんか?
え?「ヘタレが奮い立つ」のが燃えるという少年漫画の王道構造があるんだ!って?
そんなことはわかってるよ!!
問題はいくら該当のシーンを観ても彼が「その箱だけは守らなければならない」と思い奮い立った理由が無いに等しく、ぼんやりしていることです。他のシチュエーションと比べても、彼の中にその場だけは譲れないという信念があるわけでもない。その時そういうお気持ちになったから。これ以上の解釈が可能な表現がされているとは到底思い難いものでした。
面白くない理由その2
鬼滅の刃=決めつけの刃 だから
そろそろ読んでくれている方も少なくなってしまったかもしれませんが、長男のみんなはきっとまだ我慢してくれてると信じています。
累が複数の鬼を従え支配的な「家族」を作っていたことに対し、自分の考える「家族観」とかけ離れたものを見せられたからか「そんなものは偽物の絆だ!」とお気持ち表明と共に怒り狂う炭治郎くん。
いやー恐ろしい!自分の価値観こそが絶対であり、それに反するものは容赦なく「偽物」と断じて決めつける、とてつもない傲慢さに恐怖すら感じてしまいます!!なんか現実世界にも沢山いますよね、こういう人。
ん?これはフィクションであって大正時代の長男だからそういう性格であっても不自然ではない?まあ、あなたがそう思うならそうなのでしょう…。あなたの中ではね…。お互い様ですね。
理由その1、その2に共通することですが、多くのキャラが衝動的な「お気持ち」だけで動いています。そして「お気持ち」が強ければそれは無条件で正しく、守られるべきものであり、それは誰かに押し付けたって構わない!という価値観が、挙げた例に限らず、鬼滅の刃という作品全体に濃厚に漂っている、という風に私は感じるのです。
「自分が嫌な気持ちになったこと」をダシに、相手にその原因の解消を求めるのではなく真っ先に「謝罪」を要求する善逸くんの言動が非常に象徴的です。これに限らずキャラクターが何よりもまず「今の自分のお気持ちが満足すること」を優先して動く傾向が非常に多く見られます。
面白くない理由その3
全自動キャラクター脳内説明アニメーションだから
これについてはあまり異論ありませんよね…?
キャラが考えてること、やろうとしてること、今の気持ち、ぜーーんぶモノローグで説明してくれる過保g……もとい大変親切なアニメだということです。
ほとんど目を画面に向けずとも耳で聴いていれば大体話がわかるアニメ、ある意味すごい。
他のアニメなら視聴者の想像に任せてしまいそうなところも、とにかくモノローグで説明!説明!!説明!!!とても冗長で退屈です。観ながら自分で何かを考える必要がない。まるで「考えるな、(キャラクターたちのお気持ちを)感じろ!」と言われているようです。
一度立ち止まって考えてほしい、それでいいのか?と
気持ちは大事です。
でもその気持ちに「何故なったのか」を考えることだって、大事なんじゃないでしょうか?
世の中に大勢いる「ひたすらお気持ちだけをぶつけてきたり、勝手にこちらの事を決めつけてくるばかりの人」を見て、どう思いますか?
そして「気持ちに基づいて行動する けど、その気持ちが湧き上がった理由を考えることを放棄しない」ということを、作品の中のキャラクターに対しても求めることは、決して作品に難癖つけたいとか、重箱の隅をつつきたいとか、売れている作品に対して逆張りしたいとか、そんな矮小な動機からくるものではないのです。
「その世界で、しっかりと物事を考え生きているキャラクターを愛したい」から、それを求めるんです。
わかりやすさも大事です。
でも「このキャラは今どんな思いでこういった言動をしてるんだろう」と想像することにだって、創作物を読み解く面白さがあるわけです。何から何まで全部説明されてしまい、自分でキャラの心情や行動原理を想像する余地が少な過ぎるの、流石に興醒めだと思いませんか?
終わりに
これが、私が鬼滅の刃のアニメを楽しめなかった理由です。
作品の批評は自由です。
楽しめた人は存分にその楽しさを語ればよいんです。
逆に楽しめなかった人が「こういう理由で楽しめないのだ」と主張するのもまた自由だし、それに反論するのも自由だと思っています。
ただし誹謗中傷はダメだぞ!
少数派の意見であることは自覚していますが、キメハラに屈してモヤモヤした気持ちを抱えている人たちが、その理由を見つけ出す助けになったりする事を祈りながら、筆を置きます。
ではまた。
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