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ゴールデンフリーク

人によっては今日が連休初日でしょうか?もっとも、ゴールデンウィークといっても "どこがゴールデンなんだ!" と言いたくなる世の中ではあります。

でもせっかくなので、金にまつわるような、そうでもないような雑談を。

近代の錬金術

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錬金術というと、怪しい呪術の仲間のようなイメージがありますが、元はといえばその名の通り "金以外の安価な素材から金を錬成する" ことが目的です。

行われた実験の数々が、近代の化学に貢献していたり、ファンタジーの引用元として機能していたりはしますが、結局、中世の時代に金を作り出すことはできませんでした。

しかし実はこの錬金、現代では実現可能とされています。元素の中には放射性を持つものがありますが、とても大雑把に言えば、放射性元素は勝手に別の元素に変わってしまう性質があります。

このときに変わる先の元素は、子供の頃に習った、周期表の右か左かです。では金(Au)を作る場合、材料に何を使えばいいかというと......

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プラチナか水銀です。この2つなら水銀一択!

さて、この水銀をどうするかといえば、まず中性子をぶつけて、原子核に一つ潜り込ませます。すると水銀は水銀でも、放射性を持つ水銀の同位体になり、放射性崩壊が始まります。こうなればあとは待つだけ。

この放射性の水銀は、崩壊すると原子核の中の陽子が一つ、中性子に変わります。すると、陽子の数と連動する原子番号が一つ減る = 周期表の左側の元素に変わる、つまり金じゃないものが金になりました。やった!

ところで水銀は中世の錬金術において、とても重要な物質でした。そんな水銀から生まれる金、当時の錬金術師たちが知れば、市場価値は同じでも、採掘された金とは、比べ物にならないほどの価値を見出していたことでしょう。

金貨の良し悪し

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同じ金でも価値が違うかもしれない人工金。世の中に流通してはいませんが、その逆のような物が世の中に流通することはあります。それは歴史上で、貨幣の改鋳が行われる時期に起こることがあり、日本で有名なのは江戸時代。

当時の金貨である小判は、純金製ではないものの、確かに金が使われていましたが、江戸は元禄の時代の改鋳では、この金の含有量が減りました。すると新しい小判は、同じ額面の貨幣なのに、貨幣そのものの価値が低いことになります。

改鋳のためには、古い小判と新しい小判を市場で入れ替えていく必要がありますが、新しい小判になると価値が下がってしまうので、人々は普段遣いには新しい方の小判を使って、古い小判は手元に残すようになり、市場には古い貨幣が出回らなくなってしまったそうです。価値の低い粗悪な貨幣が、価値の高い良質な貨幣を市場から駆逐してしまいました。

"グレシャムの法則" として語られるこの現象ですが、集団というのはよくできていますね。

現代では大きな額面の通貨は紙幣ですので、少し安価な素材が混じったところで、同じような事は起こらないとは思います。しかし額面以上の価値を期待して、ついついしまい込んでしまうのは、いつの時代も人の性。

大切にしまっていませんか? 綺麗な 2000 円札。

まるで金のような

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突然ですが、黄鉄鉱という鉱物があります。見た目はまるで金なのですが、鉱物として価値はあまりなく、知識がない人間は金と騙されて大損をしてしまう、なんて話から "愚か者の金" という、不名誉な通称がついていたりもします。

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このように、見た目はとても綺麗なのですが、そんなあだ名を付けられてしまうと、実際の価値よりも更に、とるに足らない物のように感じてしまいますね。

ところがこの黄鉄鉱。こんな形で見つかることがあります。

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なんだか凄すぎて、色を塗った作り物じゃないかとも思ってしまうのですが、これは本当に見たまま "アンモナイトの化石型黄鉄鉱" です。

しかもこちらの品、ありえないような確率で偶然に〜だとか、アンモナイトの殻に黄鉄鉱が付着して〜とかではなく、アンモナイトの化石の成分が長い年月のうちに黄鉄鉱に変化したものだそうで、"パイライト・アンモナイト" と呼ばれているようです。

こうなってしまえば、愚か者の金も市場価値はうなぎ上り。流石に金や銀など貴金属には届きませんが、立派な価値ある石として扱われているようです。

同じ鉱石なのにね、と捻くれたこと言いたくなりましたが、どっちか選べと言われたら、僕もアンモナイトの方を選んでしまうかも......いや、本当はどっちも欲しい。欲しいぞ!

おわりに

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ところで、金が採れる場所では、黄鉄鉱も一緒に採掘される事が多いようで、そういう意味では偽物の金も "まったくのハズレ" ではないのかもしれません。

ゴールドらしからぬこのゴールデンウィークにも、何か良いものが転がっていたらいいな、なんてふと思ったりもします。

それでは!



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Photo by Stevebidmead (adapted)
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Photo by Didier Descouens / CC BY-SA 4.0
Photo by sweetlouise (adapted) 

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