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いろとりどり

紫外線と赤外線の間。我々の目が捉えられる範囲でも、世界は十二分にカラフルです。そんな世界の中にある、一筋縄ではいかないカラフルなものたちについての雑談。

いろとりどりどり

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"色とりどりの鳥" というと、様々な色の鳥が群れている様が思い浮かびますが、一羽でも "色とりどり" な鳥がインターネットに生息しています。

こんな gif 画像を見かけたことはないでしょうか?

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虹色の、もしくはゲーミング○○風のこの鳥はパーティーパロットと呼ばれていて、主に slack や discord といったチャットツールで使われる絵文字として親しまれています。

この鳥が何なのかといえば、パロット......つまりオウムを模したものなのですが、この不思議な動きにはモデルがあります。それがこちら。

フクロウオウムこと、カカポのシロッコ君です。これはイギリス BBC のドキュメンタリー番組 Last Chance To See がカカポを取り上げた回の映像ですが、演者であるマークカーワディンの頭上でシロッコ君が Party time !

この様子が海外ネットユーザの心をつかみ、インターネットミームとして拡散していったのだそうです。今では様々なパターンの絵文字に派生していて、コミュニティのサイトにまとめられています。

コミュニティサイト : Cult of the Party Parrot

ただ、本来くすんだだ黄緑をしているはずのこの鳥が、なぜ虹色に輝いているのかは誰にもわからないのだとか。いかにもネットっぽい。

しかし、一見ありえない色が何かに対して与えられるというのは、なにもネットに限った話ではありません。

雑音の色

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今日では出会うことが少なくなった気がしますが、いわゆるテレビの砂嵐の "サー" という音をホワイトノイズなんて呼びます。さらに、ノイズには白色だけでなく、ピンク・ブルー・レッド など様々な色の名前が与えられています。

それぞれ聞いてみると......

・ホワイトノイズ
ホラー演出などでも使われる、電子機器から聞こえる "ノイズ" というとまず思い浮かぶのはコレではないでしょうか。

・ピンクノイズ
ホワイトノイズに比べるとゴウゴウと低音が目立つ印象で、土砂降りの豪雨を思わせます。

・ブルーノイズ
こちらは逆にホワイトノイズより高音が目立つ印象。高圧洗浄機の水音のようにも聞こえます。

・レッドノイズ
こちらはピンクノイズがこもった感じでしょうか。遠くに聞く滝壺の音のよう。

ところでこの雑音たちは、何を基準に色が割り振られているのかというと、それぞれの音の成分を光のスペクトルに当てはめているのだそう。

例えばホワイトノイズは、どの周波数もまんべんなく含んでおり、この特徴がどの波長もまんべんなく含んでいる、太陽光の白色と似ているのでホワイト、のような調子です。

視覚的な色がないのに、色の名前が割り当てられているというのは、何だか面白いですね。


無色透明の青

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アメリカの南部を中心に生息するモルフォという蝶がいます。標本としても人気のあるこの蝶は、目の覚めるような青色をした美しい羽を持っていて、その色は羽表面の鱗粉に由来するものです。

ところがこのモルフォの鱗粉、青色の色素は一切含まれていないのだそうで、それどころか、ほとんど無色透明なのだとか。

ちなみに、こちらがそのモルフォ。

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どこからどう見ても青い!

無色透明の鱗粉から、一体どうやってこの美しい色が現れるのでしょうか。

それは鱗粉の構造によるものだといいます。モルフォの鱗粉を拡大すると、とても入り組んだ複雑な構造をしていることがわかります。そしてこの複雑な構造は光に当たると、青の波長を特に強く反射するのだそうです。

そのためモルフォの羽は、色素を持たない鱗粉で覆われているにも関わらず、反射された青色の光が我々の目に届くことで、この様な姿に見える、ということなのだそう。


おわりに

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ちなみにモルフォの羽のように、色素ではなく表面構造に由来する色は構造色と呼ばれ、塗装技術に応用されていたりするようです。車なんかが主な用途のようですが、中にはこんなものも。

おいしそう......なのかな......




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