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如何方にも付かぬ

それは一体 A なのか B なのか、はっきりしない状況や態度を "どっちつかず" なんて言いますが、このところの気候がまさにそう。一体天気は今、何月のつもりでいるのだ!

そんな "どっちつかず" だったり、そうでもなかったりする物についての雑談。

液体?個体?

どっちつかずな物。世の中には色々ありますが、その一つに "ダイラタント流体" があります。これは状況によって、液体だったり個体だったりの性質を示すという物です。

具体的に何かというと、コレ。

泥団子のように握れるのに、その後はスライムのようにドロドロと溶け落ちていく、なんとも不思議ですね。

他にも流体の水面を金槌で叩くと、固いものを叩いたように反発したり、なんと、人間が上で飛び跳ねることもできるみたいです。じっとしてると沈んでしまうので、ジタバタするのが大変らしいですが。

ダイラタント流体は強い力を加えると、粒子同士が離れるように移動します。すると内部に隙間が生まれようとするため、そこを埋めようと水分が内側に移動し、衝撃を与えた面が流体ではなくなる、という原理だそう。多分。

どっちつけられず

突然ですが、イソップ童話に "卑怯なコウモリ" というお話があります。昔々、獣と鳥が争いをしている時代に、獣が優勢なら "毛皮と牙があるから自分は獣" と獣側に立ち、鳥が優勢なら"翼があるから自分は鳥" と、鳥側に立って争いに参加した、コウモリの話です。

結局争いは和解という形で収まったため、どっちつかずな行動ばかりしてきたコウモリは、居場所がなくなってしまった、というお話。

このお話のコウモリは自業自得ですが、両方の特徴を持っているのは事実なわけで、周りから見たら、コウモリはどっちの仲間に見えるのでしょう。

何かを分類するとき、分類に使う特徴を複数兼ね揃える物があった場合、さて、こいつはどこに分類しようか……なんて場面があります。これには先ほどの童話からとって "こうもり問題" と名前がついているそうです。

例えば "ガラス"。液体の定義を "分子が規則正しく並んでいない" とするのであれば、それに該当するので液体。しかし一方、個体の定義を "一定の体積と形状を保つ物質" とするのであれば、こちらも該当するので個体ともいえそう、といった感じ。多分。

感情のるつぼ

表情の無い顔を指して "能面のような〜" なんて言いますが、実際の能面は決して無表情ではありません。面をかけた演者が上に下にと顔を動かすと、その場その場で様々な表情が見えるように作られています。

これは、一つの感情を表現するために顔のパーツを揃えているのではなく、異なった感情を表すパーツが、一つの面の中でないまぜになっている構造のためだそうです。

それらが傾きによって様々な印象を与えるので、なんとも複雑な表情として我々は受け取ることができる、というわけですね。

これは色男の面 "中将"。確かに上下に傾けただけでも、随分と異なった表情がみえてきます。

ちなみに、若い女の面 "小面" を題材にした、名古屋大学と東京大学の共同研究グループによる論文では、このような能面の性質を指して "情動キメラ" という言葉が使われています。字面が強い。

なんだかそんな名前のバンドがいそう。多分。

おわりに

そういえば "帯に短し襷に長し" という言葉がありますが、あれって切って襷にすればよいのでは….?と、昔から疑問に思っています。いや、ことわざってそういう事じゃないでしょ!と言われてしまえばそうなのですが……

きっと切ることの出来ない、やんごとなき理由があるのでしょうね。
多分!




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