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ブチあげ、でっちあげ

気づけばなんと、今年ももう四月。うっそでしょ。
エイプリルフールの月なので、これもウソにならないかなと思いながら、嘘に関する雑談でも。

バナナでハイになる?

甘くておいしい果物バナナ。糖分を摂ると脳は快楽を感じる、なんて話もありますが、ここでは甘い果実ではなく、普段食べない皮の話。

始まりは 1967 年、カルフォルニア州のバークレーで刊行された、カウンターカルチャー誌 "Berkeley Barb" の 3 月号。そこには "今日のレシピ" と称して、とあるコラムが掲載されました。

それは、バナナの皮を喫煙するための方法だといい、こんなレシピだそうです。

  • バナナの皮を用意する。

  • 皮にある白い部分を、こそげ落とし集める。

  • 集めた白い部分を、オーブンでしっかり乾燥させる。

  • 煙草のように紙に巻いて、喫煙する。

こうすることで、バナナの皮に含まれる "バナナジン" という物質により、快楽を得ることが出来る、というものだとか。なんだかとってもアナーキー。

この記事は様々な小規模刊行物に転載され、また、ウィリアム・パウエルによる書籍 "アナーキスト・クックブック" にレシピが掲載されたことにより、広く知られるようになったのだといいます。

ところがこちら、全くのデタラメ。初出のコラムもジョーク記事だったようですね。バナナジンなる物質も、科学的に存在しないことがわかっているそうです。

我々もヘンな創意工夫をせず、おとなしく実を食べて、幸せを感じておくことにしましょう。

スパゲティの木

4月といえばエイプリルフールですが、 1957 年に英国 BBC はこんなジョークを発信しました。題して "ティチーノ州のスパゲティ収穫"。 

だいぶ気味が悪いぞ!

何とも言い難いムービーですが、当時は信じてしまう人も多々いたそうで、BBC も BBC で問い合わせを見越した回答集を用意するなど、壮大なエイプリルフールネタになっていた様子。

例えば "自宅でスパゲティの木を栽培するにはどうしたらよいか?" という問い合わせには "トマトソースの缶にスパゲティを立てて、成功を祈ってください" というような回答が用意されていたとかいないとか。

こちらのジョーク、発案したのはカメラマンの "チャールズ・ド・イェーガー" 。彼は子供の頃、教師に "お前はスパゲティが木になると言ったら、信じてしまうほどバカだ" と言われたことがあるそうで。いつかこのアイデアを何かに使えないかと、常々思っていたのだといいます。

随分と独創的な暴言を吐かれた彼ですが、それをクリエイトに昇華するというのは、とても格好いいですね。見習いたい、こういう精神。

脳がつくウソ

さて、どうせつくならスパゲティの木のように、独創的なウソをつきたいものですが、そんな我々に対して脳みそがウソをつくこともあるようです。

例えば、かの有名作家 "ヘレン・ケラー" は 12 歳のころ、 "霜の王様" という童話を書きました。それは周囲から大変好評を博していたそうですが、あるとき、"霜の妖精" という別の童話の盗作なのでは?という疑惑が湧いたそうです。

彼女自身にその童話を読んだ記憶はなく、"霜の王様" は間違いなく自分のオリジナルだと確信していました。しかし後の調査で、以前一時期を共に過ごした知人の蔵書に、盗作元とされる "霜の妖精" があることが判明し、それを彼女も読んでいた可能性が高い、という結果が出たそうです。

これが意図的な盗作なのであれば咎められるべき事案ですが、ヘレン自身にはやはり覚えがなかった様子。こういった、過去見聞きした情報をいつの間にか自身のアイデアであると錯覚することを "クリプトムネシア" と呼ぶのだそうです。

これは実際の実験でも再現される、ある種、人間の性質なのだそうで、よほど注意深く意識をしない限り、どうしても起こってしまうことなのだといいます。

雑学的に広く情報を見漁るのが趣味なので、僕も何か作っているときは、意図せずどこかから引用をしてるんだろうなと思うと、モノ作りって難しい部分もあるよなぁ、なんて感じます。

おわりに

"バナナジン" はでっち上げられたものでしたが、こういうのは実在する様子。

ボタニカルにバナナを使った、なんとも独創的なジン。
飲んでみたい……




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