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[ミュージシャン紹介]立岩潤三(ダルブッカ)

中東音楽のみならず、
インドや、中世ヨーロッパ、ブルガリアなど
多様な音楽を演奏する立岩潤三さん。
中東音楽ポータルサイト<MEMOS_J>主催、
記念すべき最初のオンライン講座に
ふさわしい講師の先生と思いお願いしました。
立岩先生の音楽経歴から、中東音楽との出逢い、
講座への思いをお話くださいました。

音楽に囲まれて育つ

徳島県で生まれ、ご両親が音楽講師だった立岩さん。子供のころから、音楽が溢れるご家庭で育ち、中学校の時、YMOのコピーバンドを始めます。

音楽を専門的に学びたいと考え、バークリー音楽大学と提携、そのメソッドで教えている、専門学校のプロ養成科、ドラムコースを専攻。
国体のファンファーレの、閉会式閉会宣言に。
自身の作曲作品を採用されるなど、当時から才能を発揮されていました。

卒業後アルバイトをしながら、音楽活動を地道に続けることに。

求人雑誌で、運命の出逢い

求人雑誌で見かけた募集広告をきっかけに、
楽器メーカーのコルグの修理/パーツ部署に就職。

バブル崩壊後の会社方針により、楽器開発チームへ参入、
電子パーカッションのWAVEDRUMの開発に携わることになり、
そこで電子楽器の、ヴォイシングアドバイザーとプログラマーとしての経歴を積むことになります。

後に発売された同社WAVEDRUM Orientalの、オリエンタルパーカッションの音色は、ほとんどが立岩さんの音が収録されています。

その開発仕事終了後もKORGや、
KORGから紹介のあったMIDIデータ制作の仕事を行いつつ、
この開発業務で出会ったタブラ(インド)やフレームドラムをきっかけに、それまでのドラムセットのみで演奏するロックやフュージョンの世界から、自身の活動にハンドパーカッションが加わっていきます。

このWAVEDRUMの開発の過程で、
様々な民族楽器の生音や、フィールドワークの音を、
実際に一流の奏者によって体験出来た事はとても大きな刺激となり、
その楽器が含まれる古典音楽や、様々な音楽に傾倒していくようにもなります。

それが高じて2000年代に入ってからはインドに3回、チュニジアやトルコ、イランにも足を運び現地の空気や音楽、楽器に触れる旅へと出ることに。

インドに呼ばれる

北インド音楽は10代から聞いていたが、素晴らしい世界と思いつつ、ドラムを真剣に学ぶために手を出してこなかったそう。
ですが、開発で北インド音楽に再会し、軽い気持ちで叩き始めて、徐々に取り込まれていくこととなります。

1度目の旅は「インドに呼ばれた気がした。」という立岩さん。
まず一度、”生のインドの空気に触れたい…”というのが1番の理由だったそう。わりと即決されたそうです。
その年はコルカタで大きな音楽祭があり、普段は滅多に集まらないような大御所の生演奏がとにかくとことん見られるというのも理由の一つ。
タブラのレッスン自体は自分の憧れのパンジャビ流派の本拠、ムンバイで…と思ってたので、それは2度目の渡印に。

2度目はそのパンジャビ流派のレッスンと、憧れのプレイヤーと同じメーカーのタブラをゲットするのが目的。

3度目は、南インドでの仕事がメイン。でも、あわよくば南インド音楽の情報や楽器をゲット、結果的にはインド人との「仕事」のやり方を痛烈に学んぶことになったそうです。

中東の国々で感じる《生》の音楽

チュニジアでは、ちょうどラマザンだったので、カルタゴ遺跡内ローマ劇場跡でアラブ音楽オーケストラのコンサートも見る事が出来たそう。
それももちろん良かったけれども、メディナ(旧市街)での楽器屋における楽器試奏からのセッション→ギャラリー集まる流れの方が印象深かったとのこと。
数々の奇跡的なタイミングで、すごくリスペクトしてたイランのダフ奏者の生ライブを見れ、更に印象的な体験となったそうです。

トルコは、1度目はロックバンドGHOSTのツアーでBABYLONにてライブ。

2度目はモダン・ターキッシュスタイルのダルブッカを習いに、Misril Ahmet直系のSerdar Bağtırのところへ。
レッスン後にコンサートがあるというホジャパシャセンターで、トルコの様々な地方の音楽と踊りを見たり、別の日には別の楽器編成でのスーフィー舞踊/音楽の生演奏を体験。
また、イスティクラール通りにおける投げ銭ライブや、その一本裏通りのミュージックバーで、生演奏と空気感を味わいました。

イランでは、特にレッスンにおいて、イラン人ミュージシャンの誇りとリスペクトを、目の当たりに。
Rastakというイランの各地方音楽を演奏する国民的人気グループの生演奏におけるクルド音楽のインパクトは強烈でした。
またタールとダフのDuoの生演奏における音楽的奥深さと、現代における「古典音楽」のあり方の発見も興味深かったそうです。


縁が繋がり、音楽の旅は世界へ

ドラマー時代からのつながりや、そのつながりをより広げていくような、
人との出逢いで、演奏するジャンルが増えていったという立岩さん。
優しく、温かなお人柄と、どんな現場でも、最終的にはきっちりと演奏を仕上げてくるその信頼感。
どのジャンルにおいても、立岩さんのお名前を知らない方はいないのではと思うほど多くの音楽に携わっています。
インド、ペルシャ、ヨーロッパ古楽、ブルガリアなど、多岐に渡ります。

自分の中にのブームがあって、
「これしかない!」くらい夢中になって色々学び
しばらくして落ち着くと、客観的になって、
色んな味を楽しめるようになるんです。

と、恋に夢中な学生さんのように、純粋な音楽への愛をお話されていました。


オンビートで無い<色気>

アラブ音楽とインド音楽、そして西洋音楽を織り交ぜた、日本のバンド、<STOY>を聴きに出かけました。
最初に感じた魅力は、エキゾチックな旋律。そして、その要因は微分音楽と知り、それを体系づける、マカーム音楽に惹かれたそう。
そのあと惹かれたのは、イーカー独特の味が出るテンポ感。
8ビートのように同じパターンでもテンポの振り幅はかなり広くとれるものとは違って、リズムのメロディーによって、そのメロディーのグルーブ感の活きるテンポがあり、それの移り変わりで音楽を形作っていく…

全部がインテンポでなはい<色気>

そのリズムの変化と旋律(マカーム)の色合いの同時変化のゾクゾク感…といった、また西洋音楽とは違う魅力を感じていったそうです。

影響を受けた音楽家

インドタブラの日本における師匠を探す旅の一環として、《STOY》のライブを聴きに出掛けることに。
アラブ/トルコ音楽を聴くのが目的ではなく、あくまでインドタブラを聞きに行ったはずだったのに、マカーム音楽の魅力に惹かれることになった、記念すべきライブ。
「結果、吉見征樹さんという素晴らしい師匠に出会えたし、常味裕司さんのウードにも出会え、太田惠資さん(ヴァイオリン)のオリジナリティーも溢れる引き出しの多さ、佐藤允彦さん(ピアノ)の思慮深い民俗音楽に対するリスペクトを含んだアプローチも聴くことができ、素晴らしい体験だった。」
と立岩先生は語っていました。

STOY 「semai nahawannd(cemil)」「Longa Nahawand」
Ziryab Trio アラブ音楽のスタンダード曲をモダンなスタイルで演奏
Bustan Abraham ワールドミュージックのパイオニア的存在
Munir Bashir イラクのウード奏者。「Récital à Budapest 1992」というタクシームのアルバムがおすすめ。

これから始める人に

Jalilah's Raks Sharki 2~4(4はイーカー解説のCD)
アップルミュージックでも聴くことが出来ます。
立岩さんが担当する、季刊誌「ベリーダンスジャパン」内の連載記事にも「このイーカーの使われているCD」としてよく登場しています。
ここでダルブッカを叩いているNigm Nabilの音色とフレージングがお勧めとの事。

MEMOS_J オンラインサロン開講記念

無料オープンキャンパス


《中東の音楽って何?》
ーワールドミュージックから見た、中東地域の音楽ー

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日時:2020年7月11日(土)13:00~14:30
場所:Zoom
講師:立岩潤三(ダルブッカ)先生
ファシリテーター:鈴木未知子
お問い合わせ:memos-japan@gmail.com

今回は初のオンラインセミナーの開催です。
今後、毎月のイベントを、オンラインサロンとして開催予定です。
(それについては、追ってお知らせします。)

今回の無料イベントは、そのプレイベント、オープンキャンパスとしまして、開催いたします。
オープンキャンパスでは、立岩先生を講師にお迎えして、
ワールドミュージック、とくに日本になじみ深い、近代西洋音楽と、
立岩先生のご専門であるインド音楽を、中東音楽との比較をしながら、
中東音楽の魅力にせまります。

今後の講座は、アラブ・トルコ・ペルシャと、回を分けて、それぞれご専門の音楽家さんに講師をお願いして、
楽器を始めたい方や、音楽を聴きたい方に向けての簡単な講義と、
音楽講師の先生方ならではの、リモートでの音楽体験もご用意しています。
またオンラインサロンの名前の通り、代表鈴木のサポートも入り、集まったサロンの会員のみなさまと、より中東音楽を楽しめるコミュティーと学びをサポートしていきたいと思っています。

ご自宅にいながら、中東音楽を楽しめるコンテンツを開催予定です。
どうぞご期待ください。
そしてオープンキャンパスでは、その一部をお楽しみ頂けたらと思いますので、どうぞお時間ありましたらお気軽にご参加ください。

みなさまに、お会い出来ますのを、楽しみにしております。






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