君もツイステでディズニーと向き合ってみないか
ディズニーと聞いただけでイーってなるタイプの私を含む君たちよ、ごきげんよう。
さて、そろそろ向き合わねばならない。
君は本当にディズニーが嫌いなのか。
作品とは無関係な「そういう場の雰囲気」が嫌いなだけではないのか。
ドンピシャのコンテンツが現れた時、君は属性で退けてしまうのか。
そういうわけで、ツイステッド・ワンダーランド、通称ツイステを紹介していく。
公式サイト:https://twisted-wonderland.aniplex.co.jp
1.ツイステってどんなんなの
ディズニーのセルアニメ映画7作、その中に登場するヴィラン(敵役)をモチーフにした本ゲーム。シナリオとキャラクターデザインを手がけるのは、『黒執事』でおなじみかつ「これなんて読むんだ」ランキング上位の漫画家、枢(とぼそ)やな氏である。
ゲームとしては《クエストを読む》タイプ。音ゲーで日常を描写しつつ戦闘も起こる、王道をゆく構成だ。ガチャのカードは戦闘のほうで使う。
そのあたりの紹介は別にやりたいので(面白いよ)今は置いておく。今回君たちに伝えたいのはストーリーだ。
なんか、異様に真っ当なのである。乙女向けかと聞かれると即答しかねるぐらいに。
2.なんかヤンキーが多い王道ファンタジー
物語は入学式で幕が開き、新入生が主役。王道中の王道である。
・ハチャメチャに無礼だが熱くクレバーな漢、エース・トラッポラ。
・黒髪マジメくんになりたい15で不良だった漢、デュース・スペード。
・不穏な香りしかしないがなかなかにキャワイイ猫、グリム。(と主人公)
この三羽ガラスのいるところに事件あり、みたいなノリで話が進む。ちなみに主人公(グリムとニコイチの通称[監督生])はある程度謎とキャラ付けを持つものの、脳内で設定や交流濃度を調整できる。夢もよし壁もよしの絶妙なバランスだ。
そして君は知ることになる。この学園なんかちょっとヤンキー多くない? と。そう、見た目に反して学園のガラは良いとはいえない描写が頻発する。モブ先輩はなにかと因縁をつけてくるし、退学や留年はさほど珍しくもなさそうな雰囲気だし、およそほのぼのとは無縁の狩りごっこをふっかけてくるモブ生徒はいるし。
キラッキラしてるガワでヤンキー漫画がごとき争いが日々巻き起こる学園で、主人公たちも負けじと心技体のうち体メインで戦うのだ。メインストーリーはフルボイスなので、顔のいい男たちが躊躇なくドスのきいた声を出すところも聞けるぞ。
3.ねじれが生むポロロッカ現象
そうして読み進めていくと、なるほどエキサイティングで不穏だ。しかし安心感にあふれている。
どことなく「なんとかなるだろう」という明るさなのだ。ネームド生徒はみんな根っこのところでいい意味での自己中かつガッツがあるので、そこそこ重ための感情があったりなかったりするのにカラッとしている。「謝って許されると思うなよ、けどケジメをつければそれで話は終わり」という浪花節に振り切らないバランスも爽快だ。
このハッピー感が、重厚さに疲れてはいるがかといって完全にハピネスにもなることができない心にすっとしみわたる。なるほどこれがディズニーの歴史に基づいた技量というところであろうか。
そしてそのハッピー感のままキャラを育て、個別ストーリーを読み、プロフィールを読む。
いつのまにか元の映画が気になってくる。
モチーフになっているのがあくまで「ディズニーヴィラン」である以上、そのキャラクター造形にはディズニーの映画たちが根底にある。見ないとキャラクターの”仕掛け”が読めないのだ。私は特に島﨑信長氏がツイートをしていたことで話題になった人、イデア=シュラウドでそれを痛感した。
ゲームで触れてみて、単なるギーク系陰キャではなさそうだとわかったのだが、この人の所属(元ネタ映画)はあくまで「ディズニー映画の『ヘラクレス』」であるため、ギリシャ神話を知っていても考察が進まない。ヴィランのキャラクター性や作品全体の流れやモチーフを知らないからだ。
神話からの設定改変が大きいことが話題になった記憶があるだけではダメだと気付き「原典を観なければ……」という感情が無限湧きしてくる。ポロロッカ現象である。このままでは聖地巡礼が東京ディズニーランドになってしまう! 望むところだ!(私はあと残すところは『眠りの森の美女』だけです)
そんな感じでディズニーを忌み嫌う感情が秒で溶けるゲーム、ツイステ。ただイケメンを割り当てるだけではこうはいかない。要素を分解し、ひっくりかえし、螺旋状に組み合わせて生まれた激アツストーリーが、謎と矛盾を持つ魅力的なキャラクターたちがそうさせるのだ。
あと再度言うけどディズニーなので、今のところ心を完全にえぐりきってくることがないのがとても安心できる。ハッピーだ。
向き合ってみないか
現在配信されているメインストーリーは3章まで。世界観と人物の紹介、そして応用編がざっくりと完了し、変化球と大きな進展の気配が濃く漂う段階。イベントも現在(2020年4月末)開催中。
ツイステッド・ワンダーランドに踏み込むなら、ディズニーに向き合うなら、今である。
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