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【おススメ海外ドラマ】衝撃の犯罪捜査ドラマ『FBI:特別捜査班』あらすじ/見どころ/キャスト

これまで「FBI」を主人公とした作品は数多く存在したが、そのどれとも一線を画す衝撃の海外ドラマが存在する。
Federal Bureau of Investigation(通称=FBI)。凶悪なテロ事件や誘拐事件が発生した際に、捜査に乗り出す、連邦捜査局である。
アメリカの映画やTVドラマには欠かせない存在として、大きな憧れを抱いているという人も多いことだろう。
ドアを蹴破り、容疑者を確保。時には武力行使も厭わない。どんな凶悪犯でもFBIに目を付けられてしまったら、もうお手上げ状態とでも言おうか、フィクションの中ではいつも圧倒的強さを見せつける、アメリカ合衆国という国を象徴するような存在として描写されている印象だ。
ところが、近年リアリティ重視の傾向が際立つアメリカTV界に、全く新しい「FBI」を映し出した作品が誕生した。
アメリカTV界の重鎮ディック・ウルフが製作総指揮を務める『FBI:特別捜査班』である。


FBIの歴史

まずは、FBI=連邦捜査局の歴史に触れてみよう。
Federal Bureau of Investigation(通称=FBI)は、司法省に属するアメリカの警察機関の一つである。
1908年に、シークレットサービスの現役捜査官9名と元捜査官14名をメンバーとした前身の捜査局(BOI)が設置され、最初は捜査官の質が伴っていなかったのだが、1924年に当時29歳という若さで捜査局長に就任したジョン・エドガー・フーバーによって、戦力の強化、捜査技術の近代化、科学的捜査手法の導入などが成され、犯罪捜査機関として大きく飛躍。1935年に連邦捜査局(FBI)と改称され、現在に至る。

ワシントンD.C.ペンシルベニア通り935番北西(ジョン・エドガー・フーヴァービルディング)に本部を置くFBIは、主にテロ事件、スパイ活動、政府の汚職、アメリカの複数の州にまたがる広域犯罪、凶悪な強盗事件の際に捜査に乗り出す。誘拐事件の際には、通報から24時間が経過すると捜査権限が警察からFBIへと移される。

アメリカTV界の重鎮ディック・ウルフって何者?

海外ドラマ『FBI:特別捜査班』は、これまでの犯罪捜査ドラマとは一線を画す存在だ。そのような作品に仕上がった要因は、やはり製作総指揮を務めるディック・ウルフにあると言って良いだろう。

ディック・ウルフは、ウォーク・オブ・フェイムに名を刻み、ハリウッドの殿堂入りも果たしている、いわばアメリカTV界の重鎮と言える存在だ。映画『ノーマンズ・ランド』(1987)、TVドラマ『ヒルストリート・ブルース』、『マイアミ・バイス』などの脚本を手がけたのちに、1990年、『LAW & ORDER』という革新的な作品を世に送り出した。
ニューヨークを舞台に、前半で事件発生から犯人逮捕までの警察の捜査を描き、後半で検察が登場し、容疑者に判決を下すという2パートから成る構成が高い評価を受け、エミー賞を初めとした数々の賞を受賞。20年もの間続いたロングランシリーズとなった。
同作から、『LAW & ORDER: 性犯罪特捜班』などのスピンオフがいくつも誕生し、一大フランチャイズを築いたことは周知の事実であろう。
その後、2012年からはアメリカ第3の都市シカゴを舞台とした『シカゴ・ファイア』、『シカゴP.D.』、『シカゴ・メッド』などから成る「シカゴ・フランチャイズ」を展開。現在も世界中で放映される同シリーズは、各地で大ヒットを記録している。

『FBI:特別捜査班』とは?

そんなウルフが再びニューヨークへと舞い戻り、新たな犯罪捜査活動を描き出すのが、『FBI:特別捜査班』だ。
2018年より全米で放送が始まった『FBI:特別捜査班』は、アメリカのTVドラマの歴史に新たな1ページを加えた作品として、大きな話題を呼んだ。
FBI、NCIS、S.W.A.T.といったような捜査機関を主人公にした作品は、これまでいくつも存在してきた。しかし、本作はそのどれとも一線を画す存在なのだ。
物語の主人公は、言わずと知られた連邦捜査局(FBI)の2人の捜査官。彼らがアメリカ・ニューヨークを舞台に、日夜巻き起こる凶悪な事件に立ち向かっていく姿を描く。
市民の平和を脅かすテロ事件、麻薬密売、人身売買といった凶悪犯罪を捜査し、解決へと導いていく様が映し出される点は、王道の犯罪捜査ドラマといった形だが、本作の魅力は‘‘王道’’の枠には収まりきらない。

もはや恐怖すら覚える‘‘面白さ’’

視聴者は恐らく第1話「ブロンクス爆破事件」の冒頭から衝撃を受けることだろう。
本作の特徴として、平穏な日常生活に潜む‘‘恐怖’’を映し出しているというものがあるのだが、物静かな状況から一転、不意に強烈なパンチを喰らったかのような展開へと持ち込まれるのだ。第1話の段階からすでにその構成が出来上がっており、文字通り‘‘爆発的な’’恐ろしさを醸し出す。
それだけではない。
本作の最大の見どころは、FBI捜査官の葛藤をも顕著に描き出している点だ。エンターテイメントとしての「FBI」はカッコ良く描かれがちだが、本作に登場する「FBI」は‘‘強さ’’よりも‘‘弱さ’’を印象づける。主人公の一人であるマギー・ベル捜査官は、事件を解決した後も、被害者に寄り添い、救えなかった命に対しての罪悪感を抱えるようになる。これはシーズンを通して描かれていることなのだが、事件解決のために颯爽と現れて、容疑者を殲滅し、一件落着……ではなく、‘‘その後’’の葛藤までを映し出すというのは、きわめて斬新かつ画期的な構成だと感じさせる。決してカッコ良いヒーローのような存在などではなく、彼らもまた常に善悪の境界線でせめぎ合い、苦悩と葛藤に押しつぶされそうになりながらも、国のため、人々のために戦っているのだということを痛感させられる内容になっている。
もちろんダイナミックなアクションにも注目なのだが、FBI捜査官のリアルな人間ドラマにも刮目していただきたい作品なのである。

多様性に富んだキャスト陣

本作のキャストは実に多様性に富んでいる印象だ。
卓越した直感力と正義感あふれる人間性で凶悪犯に立ち向かう有能な捜査官マギー・ベル役に扮するミッシー・ペリグリムは、カナダ出身の実力派女優である。2002年のジェシカ・アルバ主演のTVシリーズ『ダークエンジェル』でデビューを飾り、DC映画『キャットウーマン』(2004)、海外ドラマ『HEROES』、『ヴァン・ヘルシング』といった作品に出演してきた実績があり、豊富な経験で培ってきた非常に奥深い演技を魅せる。
彼女の相棒O.A.役を演じるジーコ・ザキは、エジプト出身の俳優であり、その経歴を存分に生かした役どころを演じ切る。
彼もまた、映画『ダイバージェント FINAL』(2016)や『24:レガシー』といった作品で重要な役割を果たしてきた実力派俳優だ。

そのほか、主任特別捜査官の右腕として作戦全体を仕切るFBI特別捜査官アシスタントのジュバル・バレンタイン役には、『LAW & ORDER』のジェレミー・シストが起用され、優秀な分析官クリステン・チャザル役を『Still Star-Crossed(原題)』のエボニー・ノエル、彼らのボスであるデイナ・モージャー役を映画『デイ・アフター・トゥモロー』(2004)や『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』(2016)で有名なセーラ・ウォードがそれぞれ演じている。
また、シーズン1はゲスト俳優陣も非常に豪華!ディック・ウルフ製作の『シカゴP.D.』にて、連続殺人犯デヴィッド・イェーツを演じたことでも知られるダラス・ロバーツや『プリズン・ブレイク』の看守役として印象を残したマック・ブラントが登場。バラエティに富んだゲスト俳優たちも見逃せない!

まとめ

現在では『FBI:Most Wanted~指名手配特捜班~』『FBI:インターナショナル』という2本のスピンオフも存在し、一大フランチャイズと化している『FBI:特別捜査班』。
FBI捜査官の心情を深堀りした、圧倒的リアルを醸し出す海外ドラマで、最近の犯罪捜査ドラマにマンネリを感じてしまう視聴者に、大変おすすめしたい作品である。

(文・構成:zash)

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