見出し画像

【Actor's File vol.1】『マーベラス・ミセス・メイゼル』で目が離せないあの人…アレックス・ボースタインってどんな人?

様々なオリジナル作品で、全世界の視聴者を楽しませている、Amazon Prime Video。中でも『マーベラス・ミセス・メイゼル』や『THE BOYS/ザ・ボーイズ』といったオリジナルの海外ドラマは秀逸な出来栄えを誇っている。
前述の『マーベラス・ミセス・メイゼル』に関しては、2017年の配信スタートと共に、瞬く間に高評価を受けた作品としても知られ、ゴールデングローブ賞やエミー賞を総なめにする快挙を成し遂げたことで有名だ。2023年4月からはファイナル・シーズンとなるシーズン5の配信がスタートし、再度、注目度が高まっていることは言うまでもない。
そんな同作において、ひと際異彩を放つ女優がいる。スージー・マイヤソン役を演じるアレックス・ボースタインだ。
熱心な映画ファンであっても、なかなか彼女の名前に聞き覚えがないという者も多いことだろう。一体、彼女はこれまでどんなキャリアを歩んできたのだろうか?その道のりを振り返ってみよう。


デビュー作は「パワーレンジャー」!?

アレックス・ボースタインは、1973年2月15日アメリカ・イリノイ州ハイランド・パークにて、ドイツ、ハンガリー、アンゴラ、ポーランド、モンゴル、ロシアの血が流れるユダヤ系の家庭に生を受けた。
幼少期をイリノイで過ごした後に、家族と共にカリフォルニアへと移り住んだアレックスは、大学在学中に、当時爆発的大ヒットを記録したヒーロー・ドラマ『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』の端役をゲット。見事、女優デビューを飾った。
大学を卒業後、本格的にショービジネスの世界を志すようになったアレックスは、広告代理店に勤務する傍ら、ACMEコメディセンターで即興コメディの修行を積み、そこで将来の夫となるジャクソン・ダグラスと出会う。
この出会いがアレックスの人生に大きな転機をもたらした。共に、アニメ『キャスパー』の脚本を執筆する中で、脚本家としての才能が開花したのである。
女優としても「パワーレンジャー」第2作に当たる『パワーレンジャー・ジオ』に、悪役となるマシン帝国の女王クイーン・マシーナ役としてレギュラー出演。いつしか、エージェントの目に留まるようになり、アレックス・ボースタインの名前を全米に知らしめる伝説のコメディ番組への出演権をゲットしたのである。

『マッドTV!』謎多きミス・スワン役で人気者に!

『マッドTV!』は、1990年代から2000年代にかけて、米FOXで放送された、コメディ番組。
NBCの長寿番組『サタデー・ナイト・ライブ』に対抗する形で製作された。
アレックスは同作のシーズン3からメンバー入りを果たし、アジア系女性ミス・スワン役で大ブレイク。
独特のアクセントで英語を話し、相手の話を理解しているのかしていないのかもハッキリとしない、風変わりな女性を魅力たっぷりに演じたことで、全米のハートを鷲掴みにした。
アレックスの存在が『マッドTV!』をさらなる人気番組へと押し上げたことを受け、後に彼女自身の立場も格上げ。多くの人気キャラクターを生み出すこととなった。

大ヒット映画で放った存在感

『マッドTV!』で人気に火がついたアレックスは、続々と人気ドラマや映画への出演をつかみ取っていく。
エディ・マーフィ主演の『ショウタイム』(2001)、大ヒットドラマ『ギルモア・ガールズ』、『そりゃないぜ!?フレイジャー』、『フレンズ』、ビリー・ボブ・ソーントン主演『バッドサンタ』(2003)…そして忘れてはないのが、2003年にヒラリー・ダフが主演したディズニー映画『リジー・マグワイア・ムービー』の存在だ。

同作はディズニー・チャンネルの大ヒットドラマシリーズ『リジー&Lizzie』を映画化した作品で、高校進学を前にしたリジー・マグワイア(ヒラリー・ダフ)が、アクが強い先生の引率のもと、ローマ旅行へと出発し、そこでイタリアのポップスターと恋に落ちる様を描き出す。
アレックスは、リジーが進学することになっている高校の教師であるアンガーマイヤー先生役を好演。その一挙手一投足から目が離せなくなるほどに魅力的な演技を魅せており、コメディエンヌとしての実力を証明。強烈なインパクトを残した。
さらに同時期にはセス・マクファーレン製作によるアニメーション・シリーズ『ファミリー・ガイ』でも印象的な仕事を見せ、以降の声優としてのキャリアも確立することとなった。

着実にステップアップを図り掴んだ『マーベラス・ミセス・メイゼル』での地位

その後も、ハル・ベリー主演のDC映画『キャットウーマン』(2004)、アシュトン・カッチャー&キャサリン・ハイグル共演のラブコメディ『キス&キル』(2010)、盟友セス・マクファーレン製作によるコメディ映画『テッド』(2012)、『荒野はつらいよ ~アリゾナより愛をこめて~』(2014)などに端役で出演。
2013年にはHBOのメディカル・コメディ『Getting On』に主演するなど、着実にステップアップを図ってきたアレックスは、2017年、ついにコメディエンヌとして不動の地位を掴むことになる。

ごくごく普通の主婦ミッジ(レイチェル・ブロズナハン)が、ひょんなことからコメディエンヌを目指すようになり、彼女が一躍時の人となっていく過程を映し出すAmazon Prime Videoオリジナル・ドラマ『マーベラス・ミセス・メイゼル』で、圧倒的な存在感を放って魅せたのだ。
アレックス演じるスージー・マイヤソンは、ミッジのキャリアをアシストするマネージャー的な存在であり、スタンダップコメディのメンターとしても力を発揮するキャラクターである。
いわば彼女がいなければ物語が進まないと言っても過言ではないとても重要なキャラクターなわけだが、アレックスはそんなキーパーソンをものの見事に演じて魅せたのだ。
その圧倒的存在感とコメディセンスは、主演のレイチェル・ブロズナハンを凌駕しているとさえ言える。
その実力が高く評価され、2018年と2019年には2年連続でエミー賞コメディシリーズ部門助演女優賞を受賞する快挙を成し遂げている。
現在ではエミー賞、ゴールデングローブ賞の常連となっており、まさに名実ともにアメリカTV界を代表する女優、コメディエンヌとなった。

2023年には自身のスタンダップコメディショーを映し出した『Alex Borstein: Corsets & Clown Suits(原題)』がAmazon Prime Videoで配信されるなど、人気コメディエンヌの地位を欲しいままにしている、アレックス・ボースタイン。
『マーベラス・ミセス・メイゼル』ではどのようなラストを遂げるのかも気になるところだが、脚本家としても才能を発揮するアレックス・ボースタインが今後どのようなキャリアを歩んでいくのかにも注目していきたいところだ。

(文・構成:zash)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?