見出し画像

「対策する側から、される側へ」レバンガ北海道vs三遠ネオフェニックスプレビュー


まえがき

10月にBリーグが開幕して早1ヶ月が経過し、最初のバイウィークを迎えた。

我らが三遠ネオフェニックスは10勝2敗という好スタートを切り、特にホームゲームでは無敗の8連勝というリーグでも唯一の結果を残している。

12月2日にはリーグが再開し、三遠は北海きたえーるでのアウェイレバンガ北海道戦で初戦を迎える。

今回はバイウィーク明け、運命を占う初戦の顔合わせである三遠vs北海道の簡単なプレビューを書いていこうと考えている。

ぜひ試合前のお供に楽しんでいただきたい。

なお各種スタッツに関しては、Bリーグ公式ウェブサイトから引用させていただいた。




リーグの概況

今シーズン開幕後の数試合、リーグの主役を張ったのは盤石の強さを見せるアルバルク東京や快進撃を見せる三遠……

ではなく

長崎ヴェルカと大阪エヴェッサだったように思う。

長崎はB2からの昇格組、エヴェッサはDJニュービル、アイラ・ブラウン、ショーン・オマラといった主力選手が退団するオフであり、共に下馬評は高くなかった。

しかし開幕後、両者は連戦連勝。長崎は馬場雄大の加入や「ヴェルカスタイル」とも呼ばれる速攻を軸にするバスケで大量得点を記録、エヴェッサもマティアス・フィッシャーHCの志向するバスケを展開して勝利を重ねた。

だが両クラブとも現在ではややトーンダウン。バイウィーク前を9勝5敗と、もちろん好成績ではあるものの、開幕時の勢いからはやや物足りなく思える成績となっている。

このトーンダウンの一番の要因は、やはり各対戦クラブによるスカウティングが進んだことが大きいだろう。対戦クラブが長崎、エヴェッサの強みを分析し、それを消すアプローチをする中で両クラブの対応が追いつかずに負けてしまう試合が出てきてしまったのではないかと考える。

バイウィークは各クラブが自分たちのケミストリーの醸成や態勢の立て直しを図るほか、対戦相手へのスカウティングも進める重要な期間だ。バイウィーク明けにがらりと雰囲気を変えるクラブが表れるのか、要注目だ。

レバンガ北海道の現在地

続いて、対戦相手であるレバンガ北海道について紹介していく。

レバンガは昨シーズンに成績不振によって佐古賢一HCを交代し、ACを務める小野寺龍太郎をHC代行に就任させ、チームをB1に残留させた。

そして小野寺龍太郎がそのままHCに就任し、今シーズンを迎えている。

小野寺HCは規律・再現性・遂行レベルの高い、ディフェンスから入るバスケを志向しており、「Bリーグで1番勤勉なチーム」を作ることを目標に掲げている。

ただ、現在は3勝11敗でリーグ全体で22位。1121失点で得失点差-111と結果が出ているとは言えない状況だ。各スタッツを見ても低調で、平均得点は22位の72.1点、平均失点は9位の80.1点と得点は奪えず失点は多いという、厳しい数字が並んでいる。

細かいチームスタッツを見ていくと、オフェンス面ではフリースローの平均アテンプト数が12.1とリーグでも最小で、それに伴ってフリースローでの平均獲得点数も9.0とリーグワーストの低水準となっている点が大きな問題だ。

フリースローが少ないということは、ゴール下へのアタックが少なく、シュート時のファウルを奪うことができていないということだ。ゴール下、フリースローでのオフェンスが低調で、得点パターンが限定されてしまっていると考えられる。

ディフェンス面では与ファウル数がリーグワーストの20.8と多いことが課題だ。戦術上ファウルをしないといけない場面もあるものの、原則として与ファウルは少ない方が望ましい。ファウルがかさむことでプレイタイムの管理が難しくなり、相手のフリースローによる得点が伸びてしまう。

その上レバンガは主力のひとりであり、帰化・アジア枠のドワイト・ラモスが離脱しており、攻守両面において大きな痛手を抱えてしまった。

U18の内藤耀悠、阿部竜大両選手をユース育成特別枠として加入させているものの、穴埋めとするのは困難だろう。

バイウィーク明けにおいても、レバンガは厳しい試合が続くことが予想される。

「研究する側から、される側へ」

チームスタッツ上三遠はほぼすべての面でレバンガを上回っており、脳しんとうで離脱していたサーディ・ラベナが復帰する見込みであるため、レバンガ戦は優位に進められることが推測される。

しかしバイウィーク明けというのは、三遠にとっての不安材料だ。昨シーズンの三遠も開幕から好調なスタートを切ったものの、故障者が相次ぎチームは失速、最後はギリギリのところで自力残留を達成するという苦い記憶がある。

加えて先述したように、開幕から勢いのあるチームは各クラブ特に力を入れてスカウティングを重ねてくる。三遠も例外ではない。レバンガも三遠の強みを消すアプローチをすることで勝利を狙ってくるだろう。好調なスタートを切った三遠としては大きくスタイルを変えることはせず、相手のスカウティングを上回る質の高さを見せる必要がある。

三遠の強みとは?

では、三遠の強みとはいったいどこにあるのだろうか。

11月21日、Bリーグ応援番組『B MY HERO!』において10月度の月間MVPを受賞したコティ・クラークが三遠の強みを「ビュッフェスタイル」と表現している。

同様にクラークは「(三遠には)必要なものがすべて揃っている」と評しており、速攻、セットオフェンス、ゴール下、スリーポイントとあらゆる形でバスケットを遂行できる点をビュッフェになぞらえたのだろう。

実際に三遠は平均得点こそリーグ1位を記録しているものの、個人を見ると特筆したスタッツを残す選手は少ない。あらゆる形でまんべんなく多くの選手が得点をマークできる点が三遠の強みと言えるだろう。

三遠、レバンガの注目選手を紹介

ここからは三遠ネオフェニックス、レバンガ北海道の注目選手を紹介していく。

レバンガの注目選手 #4寺園脩斗

レバンガ北海道の注目選手はポイントガードの寺園脩斗だ。

苦しむチームの中で今シーズンの寺園は優れた成績を記録しており、平均得点は10.9点をマークしている。身長172cmと小柄ながらスピードが自慢の選手で、ゴール下への果敢なアタックを武器としている。フリースローの機会が少ないレバンガにとって、寺園のペイントアタックはオフェンスの重要な選択肢となるだろう。

また今回寺園に注目したのは、そのメンタリティだ。三遠時代も主力が相次いで離脱する中でひとり気を吐く活躍を見せていた。チームが苦しいときでも闘志を燃やすプレーは三遠にとっても脅威になるはずだ。

チームの成績が悪く、ドワイト・ラモスが離脱する中で寺園が存在感を示すことができれば、勝てる試合も増えてくるだろう。

三遠の注目選手 #24佐々木隆成

一方、三遠の注目選手には同じポイントガードの佐々木隆成を挙げる。

今シーズン三遠のキャプテンに就任した佐々木は、中心選手としてここまでのチームの躍進を支える活躍を見せている。

元々備わっていたシュートのスキルに加えポイントガードとしての能力も成長を見せており、スリーポイントシュートの成功率39.4%、平均アシスト数3.6と高水準の成績をマーク。

何よりレバンガ戦で注目したいのは、高い身体能力を活かしたペイントアタックだ。そのスピードとバネを活かした加速力で、与ファウル数の多いレバンガに対してファウルを誘発していきたい。

スピードを武器とするポイントガード同士、なおかつ三遠の新旧ポイントガード同士の対決を制し、バイウィーク明け初戦を勝ってホーム豊橋へ戻りたいところだ。

まとめ

今回は12/2、3に行われるレバンガ北海道vs三遠ネオフェニックスの簡単なプレビューを行った。

なかなか勝てず、主力も離脱するレバンガ北海道はバイウィークで攻守を立て直し、三遠対策を講じて、勢いを取り戻すべく全力でホームゲームに臨むことが求められる。

一方三遠は2年連続でバイウィーク明けに失速するわけにはいかない。ビュッフェスタイルとも称された多彩なオフェンスをバイウィークで更に深め、結果を出し続ける必要がある。

両チームの目指すバスケット、そして何より意地をどのような形で見られるか、試合日を楽しみに待ちたい。
















































この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?