2024/08/19

私たち、今週の月曜日はお部屋の中で気まぐれにチュウをしてた。生まれたままの姿。ふわふわの布団にくるまって、近づいたり離れたり、時々ぴったりくっついたり。全面ガラス張りの入り口は燦々と陽の光を部屋の中に誘うけど、たくさんの緑に隠されて私たちは誰にも見つからない。生まれたての私たち。華奢な骨格と薄い体があいまって少年のように見える。
私の左手首に巻き付いた華奢なバングルは26歳になった日から一度も離れずそばにいる。アレが欲しいコレは嫌だと言い散らかした私の言葉を残らず拾い集めて私にくれた。誕生日プレゼントだよ、って。丁寧なお寿司を食べに麻布十番に行ったけど、港区ってモノに初めて降りたらしい、ヤバ。上京半年ってそんなもんなのかな。渡すタイミング逃しちゃった、って家に帰ったあと紙袋を手渡されたのは本当に微妙なタイミングで、思わず抱きしめちゃった。節目がちの時の長いまつげが可愛い。MARCHも知らないし(x+y)^2もわからないしSUMMERの綴りも間違えちゃうけど、私が嫌って言ったことは一回で覚えてくれるんだよ。パパに嫌われちゃうような人じゃない。だだ、片時も離れず華奢なバングルが光るだけ。お風呂の時もシャワーの時もバングルを外さない私をみて、耐水性とか大丈夫だったかなって心配してくれるだけ。
キッチンの流し場には昨日飲み散らかしたチューハイの缶とチャミスルの瓶が乱れ立ってて、ベッドルームのカーテンの隙間からはさざめく緑とドッシリ構えた樹木が見える。辞書にある、木漏れ日、って項目に、この風景を丸ごと保存してしまいたい。この部屋で浴びるほどお酒を飲んだ。心地よく、本当に幸福に包まれて酩酊した。お酒を飲んで悲しくなったり困ったりすることばかりだったけど、わたしたち、さざめく緑の音を聞きながら酩酊して、木漏れ日が見える部屋ですやすやと眠ったね。2024年の盛夏。そんなことってあるんですね。あの時手を握って本当に良かった。

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