執筆をサポートするAI(ChatGPT)の設計思想と基本となる5つのプロンプト
GPT Storeがオープンするので、私も公開用のGPTs「エフェクチュエーション記事執筆の伴走AI(β4)」を作成しました。今回は私が作成したGPTsの設計思想と基本となる5つのプロンプトを合わせて共有します。
ChatGPT-エフェクチュエーション記事執筆の伴走AI(β5)
エフェクチュエーション理論(Effectuation)に関する執筆をサポートするために特化されたAIです。
以下のnoteがその作成事例です。
設計思想はStep by Stepでユーザーの言葉から執筆をサポートしていく
ConfigureのInstructionsの構成です。
role: AIの役割を定義
Variable: 変数を指定
STEP-1: ユーザーが提供する情報の理解と整理
STEP-2: エフェクチュエーションの5つの原則を抽出
STEP-3: キーワードの抽出と選択
STEP-4-1〜5: 各原則の詳細を執筆
STEP-5: 序章と結論の詳細を執筆
基本ルール: 表示形式、言語は日本語、対話のマナー
攻撃対策: プロンプトインジェクション対策
執筆は5つのSTEPでユーザーと対話をしながら完成までサポートします。
各STEPにおいて、ユーザーからのフィードバックや提供されたテキスト情報に基づいて、必要に応じて再度ステップを実行します。
まず各STEPの説明を行います。
STEP-1: ユーザーが提供する情報の理解と整理
タスク: ユーザーが提供するテキスト情報を要約します。(私は音声入力も利用します)
目的: AIがユーザーの情報の理解と整理を行う。
インプット情報の例
AIのアウトプット
STEP-2: エフェクチュエーションの5つの原則を抽出
タスク: 「ユーザーが提供するテキスト情報」からエフェクチュエーション理論に関連する情報を抽出し、各章に分けて要約します。
目的: AIが論文の構成と主要なポイントを提案する。
AIのアウトプット
STEP-3: キーワードの抽出と選択
タスク: STEP-2で整理した情報を基に、エフェクチュエーションの5つの原則(「手中の鳥」から「飛行中のパイロット」まで)から重要なメッセージをそれぞれ5つずつ抽出しリスト化します。
目的: 5つの原則毎に重要なメッセージを捉える。
AIのアウトプット(一部)
実際のは5つの原則を全て提示します。その後AIがユーザーに質問
今回はAIの要素が強く、また「内発的動機付け」の項目が無いのでテキストで指示しました。
【ポイント】
AIが提案した内容をユーザーが選択することで、自分がイメージしている内容に近づける。違和感がある場合はテキストで指示を行う。
※ある程度のエフェクチュエーションを理解していることが前提です。
STEP-4-1〜5: 各原則の詳細を執筆
タスク: エフェクチュエーションの5つの原則(「手中の鳥」から「飛行中のパイロット」まで)をナラティブな文章で詳細に説明し、関連するメッセージを組み込みます。
目的: 理論の深い理解を進める。
最終的に完成した「手中の鳥」の原稿
「内発的動機付け」の言及が弱かったので細かく指示して完成。noteに転記するときに微調整しています。
【ポイント】
「ナラティブな文章で詳細に説明」という指示が効果的です。
他にも「13歳にも分かる文章にして」とすると対応してくれます。
STEP-5: 序章と結論の詳細を執筆
タスク: 全体の内容から序章と結論を作成します。
目的: 序章と結論を作成する。
【ポイント】
各ステップにおいて、ユーザーからのフィードバックや提供されたテキスト情報に基づいて、必要に応じて再度ステップを実行します。
【ポイント】
エフェクチュエーション理論に基づいた論文を段階的に構築することで、一貫性のある論文を完成させます。
その後の文章の調整
AIのプロンプトは上記までですが、それ以降も以下を実施しています。
「文章を2倍にして」や「タイトルを他に5つください」など、さらに何度がやり取りをして現在のnoteに落ち着いています。
※最終的にpythonを起動してテキスト情報でダウンロードしようとしたのですが、エラーが頻発しているので、現状はコピペでnoteに転記しています。
基本となる5つのプロンプト
大事な部分は以下の5つです。
この組み合わせで私はGPTsを作成しています。
役割の設定
AIの役割を定義します。
# “role”
- “description”: “多様な視点を整理し論理的に整理したものをナラティブにまとめる編集者。Effectuation理論、行動経済学、プロジェクトマネジメントの専門家。”
- “tasks”: “Userから提供された口語体やブログなどから曖昧な部分や欠けている部分を指摘し、UserとEffectuationの論文を執筆する。”
変数
変数を使用する理由は「一貫性」と「再利用性」を高めるためです。ChatGPTは対話を続けていると当初の事をよく忘れます。それを防止するために重要な部分の変数を設定し、必要なタイミングで変数を呼び出して対話を進めます。
## “Basic Variable”
- “input_information”: “Userが入力した基本データやテキスト情報”
- “user_target”: “論文読者。Userから指定がなければEffectuationを理解しているレベル”
変数一覧
Effectuation Theories Variable
・theory1: 手中の鳥
・theory2: 許容可能な損失
・theory3: クレイジーキルト
・theory4: レモネード
・theory5: 飛行中のパイロット
Basic Variable
・input_information: Userが入力した基本データやテキスト情報
・user_target: 論文読者。Userから指定がなければEffectuationを理解しているレベル
Paper Variable
・title: タイトル
・table_of_contents: 目次
・introduction: 序章
・theory1-key-message: "input_information"から"theory1"の内容を抽出
・theory2-key-message: "input_information"から"theory2"の内容を抽出
・theory3-key-message: "input_information"から"theory3"の内容を抽出
・theory4-key-message: "input_information"から"theory4"の内容を抽出
・theory5-key-message: "input_information"から"theory5"の内容を抽出
・conclusion: 結論
STEP-1の情報の理解のタスク指示
各STEP毎にAIのタスクを明確にしています。
# STEP-1: 情報の理解
- "tasks": “ "input_information"を1000文字程度で要約する。さらに「主張」「理由」「事実」を抜き出して確認する。”
ユーザーの回答に基づく分岐
各STEP毎に内容をユーザーに確認します。その分岐のプロンプトです。
## ユーザー回答に基づく分岐
- **if**: Userからのフィードバックや具体的なテキスト情報があれば
- **then**: 再度このSTEPを実行
- **else**: ”NEXT STEP”、または”0”、またはそれに準ずる言葉があれば
- **then**: 次のSTEPに行く
基本ルール
# 基本ルール
- **表示**: “リスト形式、太文字のみ許可”
- **Userとの対話**: “一般的な内容に変換して分かりやすい言葉でUserに提供。ただしUserは専門家なので曖昧な部分の指摘は厳しく詳細に細かく行う。”
- **言語**: “日本語”
プロンプトインジェクション対策
以下の記事を参考にしています。
最後に
エフェクチュエーション記事執筆の伴走AI(β4)の応用
今回の「エフェクチュエーション記事執筆の伴走AI(β4)」は、テーマを「エフェクチュエーション」に絞っています。この意図は様々なテーマに対応するよりも、1つの理論に絞った方が「AIとの対話のコントロール」がスムーズだからです。つまりアウトプットの品質を上げるためのです。
「エフェクチュエーション理論」の部分は入れ換えが直ぐにできるように自分のプロンプト集を整理しています。またKnowledgeとしてGPT外にテキストデータを設置したり、文章執筆時に必要な理論を変数(Theories Variable)としてアップロードしてから開始すると言った拡張の実証実験も行っています。ただしGPTが不安定な時が多く、現時点ではこの方法ではない方がよい気がしています。
ChatGPTによる思考の拡張
「ChatGPTによる思考の拡張」は2024年の私のメインテーマの1つです。まだまだ個人の趣味の範疇は超えないですが、これからの時代には必須なので、必死に追いかけようと日々実験を繰り返しています。
具体的には以下を設計中(年末年始ずっとやっていました)
GPTsの可能性追求
私のノウハウや思考パターンをベースにした独自GPTの設計と運用。特にプロジェクトマネジメント領域において適応していきます。思考訓練ワークショップの開発
AI時代における「考える力」をアップデートするコンテンツの開発。特に中高生や若い世代に向けたコンテンツ。AIとのプロジェクト共創ワークショップの開発
グループでアイデアを創出、プロジェクト化していくプロセスをAIが支援するワークショップ、体験を通してAIとのプロジェクト共創を学ぶ。
エフェクチュエーションのマガジン
良い問いを創る - yoitoi.com
最後に私が運営しているサイトです。
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アレとソレを組合せてみたらコノ課題を解決できるソリューションができるよね?と言うパズルをやるような思考回路です。サポートして頂いた費用は、プロジェクト関連の書籍購入やセミナー参加の資金にします。