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「夢で逢えたら」の美しさ

 「夢でもし逢えたら 素敵なことね」ってとても素敵。題名もいい。

 薬師丸ひろ子さん歌唱版が好きですが、自分が歌いやすいのは岩崎宏美さんのキー。作詞作曲・大瀧詠一。

 歌いやすさって不思議で、音域のせいのこともあれば節のくせのこともあるようだ。歌声の伸びがまるで変わってくる。宇多田ヒカルの曲は自分にはたいていうまく歌えないし、椎名林檎の曲はするっと声が出ることが多い。必ずしも節の難易度とは一致しない気がする。椎名林檎さんは「(歌い手の音域の)スイートスポット」という言葉を使っていたが、その人にとって響きやすい音域が、曲の中のロングトーンやサビの要のところに来るとよく映える。当たり前ですが。好きな曲がそうだと嬉しい。

 夢で逢えたら。逢いたい人とは恋人なのか友達なのか、破局したのか死別したのか。明示されないからいい。普遍的な、人間のコアな感情を抱いて聞けばいいから。あんまり具体的なこと言われると聞いている自分が疎外されてしまう。恋愛の歌なんかほとんどそうで…疎外されようと美しいなと思う曲はいっぱいありますけど。

 何年か前に、NHKのSONGSで薬師丸ひろ子さんが歌っていた。きれいで心に残った。番組は当時急逝した大瀧さんにフォーカスした内容で、思いの詰まった歌声の美しさだったと思う。のせる思いは個別的。ことばは普遍的。


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