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路傍の花のように

ぼくが愛する人は、自己顕示欲のない人だ。

誰しもたまに「どんなタイプが好き?」なんて話をする。
突き詰めて言えば、自分にとって都合のいい人という事になる。当然そうなる。たとえ尽くしたい人でも、尽くすのが好きなのだからそうだ。

ぼくには自己顕示欲がある。そもそもnoteなんて書いて、みんな見て見てーってやってる時点であるに決まってる。
とは言え歳も歳だから、人にはこのデカい自己顕示欲を緩和して見せかける話し方を多少なりとも身につけている。大人ってそんなもんである。気持ち悪い存在なのだ。
普段の言動をなるべくアホみたいにしておくのも悪くない手だと思う。

人によって自己顕示欲の表し方はいろいろだ。
自分大好きで周りが傷つくことも気にせずマウント取りまくる人もいる。昔はそういう人間が嫌いだったが、今はなんだか可愛く見えるようになった。もっともそのマウントに見合う実力がある人だけだ。中身すっからかんのクセにそれをやる人がたまにいるけど、そういう人はいないことにしてる。つまりスルーする。可哀想だな…くらいな感じ。

自己顕示欲はゼロじゃないけど、「あなたにだけはわかって欲しい」そんな儚い想いで、路傍の花のような小さな言葉をつづる人がいる。
ぼくはそんな人を愛さずにいられない。

わたしってね、わたしってね、いつもそう話す人はたくさんいる。ありがとう、もう大丈夫。お腹いっぱいだよ。そう感じさせてくれる人々の中に埋もれそうになりながら、ひっそりと囁くように言葉をつづるあなたのことをぼくは見ている。

ぼくが愛するのはそういう人だ。

Illustration : memento morix ©️

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