東京芸大デザイン科に受かるための基礎知識、試験戦略




はじめに

この記事は、学科の大事さを訴えるこの記事の、得点計算部分を分離したものです。この記事には、芸デ特有のよくわからないAやらBやらが一体どれくらいのレベルなのか、そして、何がどれくらい取れりゃ受かるのか、そういうことが書いてあります。そのためにしちゃダメなことは何か、そういうことも書いてあります。
得点や評価に触れないと、これらの話はできないのですが、大学から正式なアナウンスがないため、予想が多く含まれています。予想は予想でしかありませんが、大手予備校も同じような予想で合否を予想していますし、友人知人の開示を聞いても、特に違和感はありません。受験生が目指すのにはちょうどいい指標だと思いますが、あくまで予想です。

また、実技試験の比重が高い美大受験では、学力を問われる試験やその対策を「学科テスト」「学科」と呼ぶことが多いです。
以降「学科」というワードが出てきたら、共通テストか勉強のことだと思ってください。

試験内容、求められる学生像の把握

大学は試験でどのような学生を取ろうとしているのか、試験を通るために、何を考えながらあなたは課題と向き合わなくてはいけないのか…それを知りましょう。
一番大事です。そして、自分の目で確認しましょう。

・必要な科目や、スケジュール
アドミッションポリシー
・学校説明会等での教授の発言等
よく読み、よく聞き、一体この大学はどういう学生が欲しくて、それをこの試験でどう選別するつもりなのか、考えましょう。

そして、一次情報が一番大事です。
具体的な内容はあえてここでは触れません。

※※過去問、参考作品、募集要項、学校説明会、評価のポイント…ありとあらゆる「大学の出した」資料を、「自分の目で」ちゃんと確認しましょう。※※
大学のだす資料を端から端まで確認して、それが大学受験のスタートです。

評価の把握

何ができれば高得点が期待できて、どう加算されていくか知りましょう。これを知らなければ、今あなたの力のうち、求められているレベルに対して、何が足りないか、何に優先して取り組まなければならないか、わかりません。

評価は実技100点満点x3科目+学科1科目100点満点(3−4科目、600点満点を100点に圧縮)と予想されています。
得点開示は、おそらく100点中、90点がA、80点がB、70点がC、70点未満がDと予想されています。

実技テスト

デッサン、平面構成、立体構成の3科目。各100点満点。
大学は公開していませんが、デッサン、平面構成、立体構成、それぞれ、100点満点で合否に使用されると推測されています。

デザイン科の試験後の点数開示は、普通の大学から見れば少し特殊で、他の専攻とも異なりますが、A B C Dの四段階評価です。ふざけてますよね。
それぞれ、以下のように予想されています。これは、多くの予備校で共通の認識です。

  • Aは90点以上

  • Bは80点以上

  • Cは70点以上

  • Dは70点未満

具体的に、どの程度できると評価につながるかは以下の通り。

A,B
・大手コンクールで、80点や90点の作品です
・大手予備校内で、全体講評、作品撮影や参考作品としての提出を求められるレベルです。

C
・大手公開コンクールで70点以上の作品
・大手予備校の授業で、上段※に上がったものです。
・中小予備校なら、専攻内で一番上手い作品、写真撮影される作品です。

※上段……予備校によって呼び方は異なるが、各課題の講評時に、優秀作品としてピックアップされる作品のこと。良い作品を講評棚の上の段に置くことからこう呼ぶ

共通テスト

2022の募集要項では、3科目(理科基礎選択の場合4科目)で600点満点。選択科目が二倍されていることに注意しましょう。
これを、実技試験と同じく100点満点に圧縮していると予想。
今後は「情報I」が必須になり、最低4科目になるので計算方法が変わるかもしれない。

合算方法と合格ライン

目指す学生像と、与えられる評価がわかったら、あとはどのくらいの評価を得たら合格できるのかを把握しましょう。
デッサン、平面構成、立体構成、学科の4科目、各100点を、単純に足して400点満点で、合否に用いていると予想されています。

目指す合格ラインは8割。320/400点。
300点だと、ギリギリ。
これはどれくらいかというと、以下の通り。

  • デッサン、平面、立体、全て上段へ安定して上がれる。特にデッサンは必ず上段へ。

  • 運が良い、課題と相性がいいと、全体講評や、写真撮影、買い取りなどが狙える。

  • 学科は8割くらい。

ここが合格ギリギリライン。

1科目でも上段取れたら上々だろ〜と思っている人や、共通テストの点が7割6割切ってるって人は要注意。

さて、どうしてこうなるのか、詳しく見ていきましょう。

予想されている合格ラインは8割、320点/400点あたりです。

そのうち、ギリギリ受かるかどうかわからないラインは、7.5割、300点/400点あたりじゃないかな、と思います。

点数の計算法や、合格ラインは公開されているわけではありません。おおむね、開示等々から推測すると、このあたりだ、ということでしかありませんが、基準としては大きな狂いは無いと思います。
これは、実績のある複数の予備校でもそうだと推測されていますし、コンクールの合否採点も、そう計算することが多いです。
周りの同級生を見渡しても、合格してきた教え子たちの開示からも、そこまで外れていない推測だと思います。

8割って具体的にどこらへん?

実際にA、B、C、Dで表すと、どの程度になるでしょうか。

A+B+B+C
A+B+C+C
B+B+B+B
あたりが目安です。
なんというか、聞き覚えのある開示じゃないですか?

具体的には、
A(90)+B(80)+B(80)+C(70)=320
A(90)+B(80)+C(75)+C(75)=320等

どっかでAは1個取らなきゃいけないんだなと考える感じで良いです。

基本的な戦略

評価基準、合格ラインが分かったら、取るべき戦略を考えます。基本は、守るルールは2つです。

  • Aを取らないと受からない状況はヤバい=Dは絶対に取っちゃダメ。

  • 運よくA、Bが取れるように日頃の善行を積む

Aを取らないと受からない状況は避けろ。

B 以上は運が絡むので避けましょう。特に2次試験の色彩や立体で、「A」や「B」の数を積まないと受からない状況はマジでマズイというのが正確な表現です。
はて、さっきAは一個取らなきゃいけないっていってなかったっけ、と思うかもしれませんが、事実です。
なぜなら、DとCの境目は「絶対評価」であるのに対して、AからCまでの評価は「相対評価」だからです。

どういうことが詳しく説明します。
先ほど、評価の項目で、以下のように各ボーダーを示しました。

A,B
・大手コンクールで、80点や90点の作品です
・大手予備校内で、全体講評、作品撮影や参考作品としての提出を求められるレベルです。

C
・大手公開コンクールで70点以上の作品
・大手予備校の授業で、上段※に上がるか否かがラインです。
・中小予備校なら、専攻内で一番上手い作品、写真撮影される作品です。

評価の把握の項より

経験されている方はわかるでしょうか。
C、つまり、上段に上がる作品は、ある一定のクオリティがあれば上がります。
例え答え方が普通でも、特殊な技能がなくとも、上がれます
どんなにつまらない案でも、ちゃんと構成して、綺麗に作り切れればCです。

しかし、AやBに相当する、買い上げ作品や、写真撮影などの作品を狙って作るのは簡単なことではありません。

「課題文との相性」
「モチーフとの相性、有無」
「他の受験作品との兼ね合い」
「当日のコンディション」
「いい案が浮かぶかどうか」
実力はもとより、さらに運による部分が非常に大きいと感じませんか?多浪しているならともかく。

B以上は運任せなんです。

だから、実技でAやBの数を稼がなきゃいけないって状況は避けましょう。

Aを取らなきゃいけない状況=Dを取ってしまっている状況

では、受験生が、A、Bの数を稼がなきゃいけない時ってどういう時でしょうか?
「D」をとってしまった時です。
少し計算してみましょうか。
「D」を一つでも取ってしまった場合のことを考えましょう。
合格ラインが320点あたりであることは先程述べました。

60点の「D」を取った場合、残りは260点です。
残り3科目で260点を取ろうと思うと、以下のような感じになります。
A+B+B(100+80+80)
・A+A+C(95+95+70)
・A+A+B(90+90+80)

100点を取ることはほぼ不可能です。
95点も、受験生で一番上手くて取れるかどうか?という点です。普通は、2個も取れない。つまり、ここでの現実的な手は、A+A+Bですね。

そう「D」を一つでも取ってしまった場合、残りをAABで埋める羽目になります。
積極的にAを狙いに行くしかない。大変ですよね。写真撮影や全体講評を3作品。人によっては無理です。
だからDは絶対とってはいけません。

どんなに苦手なモチーフが出ても、
どんなに苦手な石膏像や位置でも、
どんなに似なくても、
どんなに訳のわからないテーマでも、
どんなに見たことのない条件文が書かれていても、
どんなにやっても構成が決まらなくても、
どんなにつまらないことしか思いつかなくても、

最後の一分一秒までDを取らないように踏ん張って直し続けてください。一個でも諦めたら、本当に受かりません。

運よくA、Bが取れるように日頃の善行を積む

Dをとらない、だけでは受からないのがこの大学の辛いところ。合算のシミュレーションの通り、どっかでA,B一個ずつくらいは取らなきゃ点が足りない。
「芸大受験には運が絡む。」その通りだと思います。
昨日描いたモチーフが出ますように。得意なことが活かせるテーマがきますように。
苦手なものが来ても得意なことに変えられますように。紙立体が出てみんなボロボロになりますように。
実技力は磨いて、あとは天にお祈りするしかないです。
全てのことが前向きに捉えられるように、考え方を変えましょう。

というわけで、とるべき戦略は以下の通り。

  • 必要なAやBの数はなるべく減らせ。そのために、Dは絶対取るな。

  • 運よくAやBを取れるように種を用意しておく。そして、お祈りする。

これを覚えてください。

では、最後に確認テスト。

・デッサン、平面、立体、全て上段へは安定して上がれる。
・運が良い、課題と相性がいいと、全体講評(写真撮影など)狙える。
・学科は8割くらい。

先ほど提示した、この条件。期待できる点数を計算してみてください。
みんな。頑張ってね!


さて、Aを取れるお祈りをしなくてもAを取れる科目が一つあります。それはなんでしょう?という記事です。

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