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心理学における発達課題

いきなりですが、心理学と聞いてどのようなイメージを浮かべますか?

よく言われるのが心理テストなどで「青を選んだ貴方は〜」といった深層心理についてが一般的なイメージなのかなと思います。

一言で心理学といってもその分類は多岐にわたります。

今回は人間の【発達】に焦点を当てた内容でお送りしたいと思います。


心理学における発達とは、一般に受精から死に至るまでの人の心身、及びその社会的な諸関係の量的及び質的変化・変容をいう。(wikipediaより引用)

うーん、これまた難しい表現ですね(;^ω^)

簡単に言い換えると【成長】や【成熟】といった表現が当てはまるかと思います。

普段我々が発達に対して意識的に行動を起こすことは稀で、成長過程において自然と発達段階を辿っていきます。

この成長過程を具体的に分けたのがエリク・H・エリクソン先生です。

彼は人間の発達を

1:乳児期 (0~2歳頃)
2:幼児期 (2~4歳頃)
3:遊戯期 (4~6歳頃)
4:学童期 (6~12歳頃)
5:青年期 (12~18歳頃)
6:成人期 (18~40歳頃)
7:壮年期 (40~65歳頃)
8:老年期 (65歳以上)

の8つに分け、それぞれの過程において克服すべき課題を見出しました。

この課題は万人に共通する普遍的テーマであり、心が正常に発達するには欠かせない要素となっています。各時期における課題は以下の通り。


1:乳児期(0~2歳頃)=基本的信頼 対 不信

この時期は両親からの信頼感を獲得する時期です。言い換えると両親の愛情の中で成長する段階になります。ここで基本的信頼を得られず虐待などを受けると将来人間不信になると言われています。人を信用出来ない、常に疑心暗鬼といった心の不安定さがある方はこの時期の発達に問題があるかもしれませんね。反対に相手を信じることの出来る方は両親の深い愛情を受けたのかもしれません。


2:幼児期(2~4歳頃)=自立性 対 恥

この頃から一人歩きが可能となり、子供の世界は広がります。受動的な立場から自立性を持った能動的な人間へと成長していきます。しかし、身の回りのことにチャレンジしても失敗することもあります。特に排泄といった生理現象については身体のコントロールが上手く出来ずにおもらしを経験することもあるでしょう。みなさんもそういった経験はありませんか?私は沢山あります(笑)こうした時期に失敗を恥と捉えるような教育を受けた方は、恥を恐れて行動をやめたり、恥を欠くことを極端に嫌う傾向になるようです。


3:遊戯期(4~6歳頃)=積極性 対 罪悪感

この時期から保育園や幼稚園といった集団生活が始まります。集団では協調性や規則が設けられ、自主性との間で葛藤が生まれます。言い換えれば「オギャー」と言えば両親がなんとかしてくれましたが、集団においては協調性が必要となります。おままごとや遊具遊びをしているとみんな順番を守りますよね?これが上手く出来ない子供は怒られてしまい罪悪感が残ります。つまり集団の中での折り合いを見つけて自分の居場所や役割を担う時期となります。


4:学童期(6~12歳頃)=勤勉さ 対 劣等感

この時期はみなさんも記憶に残っているのかな?小学校期ですね。幼稚園との大きな違いは、集団生活の中に学業が含まれること。つまり課題が発生しています。勉強の良く出来る子やそうでない子など能力に差が出る時期でもあります。課題にトライする中で友達と比較して「私は全然勉強ができない」「泳げないからプールに入りたくない」など劣等感を抱くこともあったでしょう。この劣等感は幼い子供が自力で克服するのは難しく両親や教員、友達などのサポートを借りて乗り越えていきます。劣等感が強い方はこの時期を上手く乗り越えられなかった可能性があります。ちなみに劣等感とコンプレックスは似て非なる言葉です。簡単に言えば劣等感は意識的なものでコンプレックスは無意識化で感じるものです。劣等感について詳しく知りたい方はアドラー先生の本がオススメなので調べてみてください。


5:青年期(12~18歳頃)=自我同一性 対 自我同一性の拡散

自我同一性と聞いても訳わかんないですよね。別名アイデンティティと言います。サカナクションの曲でありますよね「アイデンティティがなーい」みたいなやつ。あれです。自分が何者であるのか、自身を客観視して自己分析が行われる時期です。みなさんは18歳までに自分を客観視して将来進むべき道をしっかり決めていましたか?これにハイと言える方は少ないのではないでしょうか?この時期は言わば大人になるための猶予期間です。労働や納税といった社会的義務が免除され、自分らしさを追い求めることが許される時期となります。色々なことに挑戦して出来る、出来ない、向いている、向いていないなど試行錯誤を繰り返す中でアイデンティティを確立していきます。過去の発達段階において課題をクリアできなかった人はこの辺で躓くことが多い気がします。これは私の主観ですが。不信、恥、罪悪感、劣等感。こういったシコリが残ったままアイデンティティの獲得は難しいように思います。この時期にアイデンティティを確立できなかった方は「モラトリアム人間」と呼ばれ、社会的責任の猶予期間を引き延ばす傾向があるようなので注意しましょう。これについの文献は散見するので興味のある方は調べてみては。


6:成人期(18~40歳頃)=親密性 対 孤立

成人期は結婚や就職など一人の大人として社会で生活を営む時期になります。学校など閉ざされた集団と違い、自ら他者との交流を持つ機会も増え、価値観を認め合い親密さを深めていきます。家庭を持ち子供が出来るのもこの時期になりますね。周りが結婚や就職をする中で何もしていない自分に孤独感を感じたことはありませんか?私もその一人でした。この時期は所属感が必要となる時期となります。


7:壮年期(40~65歳頃)=世代性 対 停滞性

この時期は未体験ゾーンなので実感はありませんが、自ら積み上げてきた功績を後世へ残す時期です。仕事での実績や親としての役割、社会活動で得た経験や知識等を世代を超えて引き継ぐことで、自身の社会的役割を果たし次の老年期に繋げていく時期となります。


8:老年期(65歳以上)=自己統合 対 絶望

この時期は発達というよりは振り返りの時期となります。過去を振り返った際に後悔のない人生だったと感じることで自己統合が結ばれるようです。反対に後悔しか残らないような人生であれば絶望が待っています。せっかくなのでこの時期までに自己統合できる自分を積み上げたいですね。


まとめ

エリクソン先生のライフサイクルは発達における普遍的な課題について述べたモデルとなっています。発達段階で全く躓きのない方のほうが稀です。どこかで足踏みをしたり、転んだりしているものです。大切なのはどの時期で躓いたのか意識化することで、大人になってもやり直しが可能なことです。これは自分にしか分からないことなので自己分析を兼ねて、考える時間を設けるのも大切かもしれませんね(*´ω`*)


おしまい。。。


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