花瓶に触れた

感想:花瓶に触れた


にわかリスナーこと私はバルーンさんを注目するようになったのはシャルルが投稿されてからで、それ以前の曲はほとんど聴いていませんでした。

シャルルがあんまり人気なので「ほんとに良い曲なのお?」と半信半疑で聴いてみたところ、めちゃくちゃいいじゃねーか!と一瞬で心をつかまれました。なんという速さの手のひら返し。勝手な先入観で判断するのは良くないですね。

そうしてシャルルにハマり、次に投稿されたメーベルにハマり、その次に好きになったのがこの「花瓶に触れた」です。


花瓶に触れた/flower

(ヘッダー画像はこちらのスクリーンショットです)


ドラム打ち込みのハードルの高さ・・・

シャルルでも度肝を抜かれたのですが、この方の最も素晴らしい点のひとつは抜群のリズムセンスです。

ドラムというパートは個人で曲を作る時にけっこうハードルが高いものなのです。まず作曲者ってギタリスト、ベーシスト、ピアニストの方が大多数でドラマーの作曲者というのはあまり聞きませんし、それゆえドラムにあまり触れてない人にとってはギターやベース、ピアノの「弾く」ではなくドラムの「叩く」という演奏の概念が他の楽器と違ってとっつきにくいし、さらにドラムの心得がないとわかりにくい禁じ手のようなもの(実際に演奏するとなると不自然なフレーズ)があります。

プロのアーティストは専門の方が録音に協力してくれていると思うので、こういった問題は全てを個人で解決させられる同人音楽ならではといえますね。


本題に戻りましょう。

つまり個人制作の多いボカロ曲では、ドラムの”リアリティ”が高い曲はそれだけで高評価なのです(個人的に)!
そしてバルーンさんは、そのドラムの完成度が非常に高い!正確には、よく聴くとちょっと不自然なところもありますがそれを差し引いても魅力的なドラムを持ってくる、といった感じでしょうか(※個人の感想です)。リズムを駆使して盛り上げるということが自然とされていますし、リズムの崩し方も絶妙です。

具体的に説明しましょう。


バルーンさんのドラムは”ヤバい”

ラスサビ前の落ちサビ(静かなサビのことです)では、裏拍4つ打ちのリズムとなっていますが、スネアを叩いていません(フィルでは叩いていますが)。スネアを叩かないことで最も耳に残りやすい中音域の音量を抑え、静かさを強調してラスサビの盛り上がりに向けて準備しているのです。
そして煽られた期待に応えるように、ラスサビではそれまでのサビの4つ打ちではなく8ビートに、しかも倍テン(体感のテンポを倍の速さにすることです)にすることで疾走感を演出しています。1サビ2サビのようなオシャレなサビよりも、”ラスサビ感”がありませんか?

また、2番に入る直前や曲終了間際のフィルでは他とは少し違って裏を意識させるキメにしたり、2番Bメロでは、後半で1番Bメロと比べて騒がしめのフレーズに変えたり。このような曲のマンネリを防ぐ効果的な”崩し”が随所で用いられているのです。


そして何より、意識的に聴かないと気付きにくいような小技が多いのです。これはうまく伝えられないのですが、

・2番Aメロ冒頭でハイハットが入っていること
・サビ以外の裏拍ハイハットはオープンしっ放し、逆にサビではオープン
 クローズを意識したハイハットのフレーズとなっていること
・落ちサビ前のフィル、ここでのみ12分のスネア連打が入っていること

こんな感じでしょうか。

規則の中の不規則とでも言うのでしょうか、全体としてのスタンスは一貫させつつも、その内側でさまざまな”遊び”があるのがとても好きなのです。1番と2番でフィルを変えたりとか、そういうやつね!


結論:とにかくドラムがすごい!

ということがなんとなくでも伝われば幸いです。w

このように長々とドラムの話をしましたが、それほどバルーンさんの曲のドラムはハイレベルかつ魅力的なのです。前にシャルルの感想を書いた時もドラムの話ずっとしてたし、私ほんとにドラムばっかりだな・・・。反省は、しません!!




最後に!私が特に好きなポイントをば。

Aメロにある5連バスドラ、これがやばい(今回やばいばっかり言ってんな)!え、地味?いやいや聞いてくださいよ。このバスドラはAメロの前半と後半の間にあるのですが、オシャレな曲調だからこの中間で派手なフィルを使うわけにはいかない、でも何もしないのはAメロが間延びしてしまう・・・。
そこでバスドラ(とハイハット)を主軸に据えたフィルというセンスですよ!普通なら適当なスネア連打などでお茶を濁してもおかしくないところを、こうしたフィルにすることでAメロ全体のオシャレ感を上げているのです。

また、落ちサビ前の『こんな関係続けるのは』のところのドラム。この『続けるのは』の最後のバスドラ2連の位置です!これは本当に伝わらなさそうだと思ったので、

ドラムだけ抽出してみました。

(私の耳コピになります。間違っていたらすみません!)


※実際に曲中で用いられているのは後半の方です。

前半と後半では最後の方のバスドラに違いがありますよね?普通はこういうフィルだと前半のパターンが圧倒的に多いと思うのですが、実際には後半のパターンになっています。これがオシャレなんですね~~~!!

あとラスサビ最後のスネア連打。この連打、後半ではバスドラの数が倍になっているのですが、こうなったことによってクライマックス感が上がってます。この畳み掛けがすごく良いんです!


以上です!

・・・バスドラの話ばっかりじゃねえか!




#vocanote #感想 #VOCALOID

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