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色彩とバランス/ボテロ展

少し前の話になりますが、ボテロ展に行った時の記録を。

1. ボテロ展@Bunkamuraザ・ミュージアム

初めてのBunkamuraです。なぜ今まで来なかったかというと、
「Bunkamura→オーチャードホール」から連想する、高級なイメージに気後れしていたからです。それにザ・ミュージアムは、お洒落テイストの近代芸術の展示会が多い気がしています。(自分調べ)

しかし、今回は思い切って行ってみました。ボテロさんだからねっ。

JR渋谷駅から徒歩7分。駅周辺はあいかわらずの人出でしたが、東急百貨店本店前の横断歩道を渡ると一変して街が落ち着いた雰囲気に包まれます。

Bunkamura1Fの入口にドキドキ(やっぱり高級そう!)しながら
美術館を目指してB1Fへ降りると、中心に中庭がある吹き抜けのステキな空間が広がっています。いい感じ。来てみてよかった!
B1Fは美術館の他に、レストランと書店。
書店「ナディップモダン」は美術関係の本が充実していました。
書店のお向かいは、レストラン「ドゥ マゴ パリ」。
…って、あのドゥマゴ賞の?! 知らなかった〜(私だけですか?)
テラス席もあって、中庭でお茶するのも気持ちよさそうです。

2. 小さな鳥(彫刻)

プログラムより

まずは、中庭に特別展示されていたボテロの彫刻「小さな鳥」を鑑賞。
こちらの彫刻は広島市現代美術館所蔵のものを今回移設、渋谷会場のみの特別展示だそうです。

それにしてもこの小鳥さん、ぜんっぜん小さくないけど。
愛らしいお顔に下半身がっしり。なんで?
彫刻だから下半身を頑丈にしないとぼってりした体を支えきれないから?
ケンタウロス(上半身は人間、下半身は馬)とかセイレーン(顔は人間、体は鳥)のような生き物の表現なのかな?

●鳥さんの写真はこちらが見やすいです↓

ボテロの彫刻は意外にも日本にたくさんあって、「ボテロ 彫刻 日本」で検索すると画像がどっさり出てきます。こんなところに?!と思う場所もあって、ボテロ彫刻を探して旅に出るのも楽しそう。

3. キャンバスの大きさ×色彩×バランス

気持ちが盛り上がったところで、いよいよ「ザ・ミュージアム」入場です!

まず、キャンバスが大きい。
1~2m級のキャンバスが大量に並んでいて、巨大さに圧倒されます。

次に、色彩がキレイ。
現役の画家さんだから、まだ作品が新しいということもあるのかもしれないけれど。
はっきりとした発色は、南米コロンビアの文化にも繋がっているのでしょうか? コロンビアについて調べたら、フラワーマーケット(切り花の出荷量世界2位)の写真が見つかったのですが、花の色がとても鮮やかなんです。
会場に「黄色の花」「青の花」「赤の花」という鮮やかな花の絵がありましたが、この色はオーバーに描いているわけじゃないのかも、と思いました。

絵はがき好きとしては残念だけれど、
この色は印刷や画像ではなかなか出ないだろうし、この大きさで見るからこそ色の迫力が伝わってくる、という感じです。
大きなキャンパスで表現するための色味が使われているのかなぁと思いました。同じ色でも、表面積によって色の感じ方が違ってきますものね。

そして、バランスが絶妙。
例えば「夜」で所々に配置されている悪魔のバランスがすごい。このポーズはここに配置する以外、考えられないわ(←偉そう)と納得する絶妙さ。

●画像はこちら↓(公式さんがTweetしてくださっています。)

また、ボテロと言えば「ふくよか」ですが
ふくよかになってもバランスが崩れない、というのもスゴイです。

「バリューカスの少年」など、ふくよか初期の頃は全部が大きく引き伸ばされていて観ていてなんだかソワソワしてしまう印象を受けましたが、
近年の作品は、体全体はふくよかでもパーツ(目や鼻、手のひらなど)は小さく、思わず、おおお…ぽっちゃり…と見入ってしまいました。

●バリューカスの少年はこちらに載っています↓

そういえば、自分の体重が増えたとき、
体の外側に脂肪や筋肉がつくけれど目が大きくなることはない…
だから、絵でふっくらせたときに顔のパーツまで大きくすると
引き伸ばされたような違和感が先にきてしまう。
顔のパーツが小さいままだと、ぽっちゃりがすんなりと受け入れられるのかもしれません。

また、大きなキャンパスに描かれていることで、ふっくらした質感やボリュームがより強調されているように感じました。

展覧会は1~6章あり、それぞれテーマに沿った作品が展示されています。
個人的には、「第6章 変容する名画」が好きでした。
偉大な画家たちのオマージュ作品。勇気と自信がないと描けませんよね。
単なる模写ではなく、「自分なら、この人をこう描く」という意志が感じられる作品群でした。

●章解説はこちらから↓(公式サイト)

4. きょうのおみやげ

黄色の花・青の花・赤の花

こちらは3点組の作品です。きっと並び順も決まっているはず、というわけで、3枚お買い上げです。大判サイスでうれしい。

マリー=アントワネット(ヴィジェ・ルブランにならって)

ルブランが描いたマリーアントワネットの肖像とじっくり見比べようと思い、購入しました。
体の向き、ドレスの色、帽子の羽の色、イヤリングの有無、手に持ったバラ、背景…北半球のマリーアントワネットと南半球のマリーアントワネットか、と思うくらい違う点があるのに、なぜすぐに「あ、あの絵の…」とわかるんだろう。

5. 展覧会情報

●公式サイト

●2022年10月8日~京都市京セラ美術館にて開催

●Bunkamuraザ・ミュージアムの展示は終了しています。


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