silent frog
#小説 #物語
一匹のカエルがいました。
カエルは深い森の奥、湖のほとりで暮していました。
黄緑色の小さな体に金色の目。森に住む誰もが、雨に濡れてきらきら光るその眼に見惚れました。
カエルの一番の楽しみは唄うこと。晴れた日には湖に映る月を相手に歌います。月はときおり体をふるわせてその歌声に聴き入りました。
また雨の日には、湖に跳ねるしずくと並んで歌います。カエルの歌声は雨音や土と混ざり合い、いっそう美しく夜を奏でるのでした。
ときには、お日様が顔を出すまで歌い続けることもあ