宝塚にいかなきゃ。 ~序章その2~

まえがき本文は2018年当時、別アプリに記載していたものを転記したものです。大切な思い出として、一部編集しここに残します。

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「あのマーキューシオの人が出ているから。あのマーキューシオの人の違う役が見られるから。」

はじめて自分で買った宝塚のBluRay。なんだって公式が一番安心。

隅から隅まで自らのグループ会社で回収してて宝塚ってすごいなと感心。2014年の暮れでした。

どのロミジュリにすべきか色々調べている中で、宝塚の人=生徒には愛称がいくつもあるようだということを知りました。よくわからないながらに、私が衝撃を受けたマーキューシオの人が紅ゆずるという芸名で、次のトップはこの人と予想というか断言してる方が多くいたことや、逆に彼女を批判している方がいらっしゃるのも目にしました。

12月のある日、一緒にエリザベートのBluRay鑑賞会をした母に「宝塚の何組だかの次のトップが決まったんだって新聞に載ってたよ」と教えてもらいました。

「星組でしょ?紅さんじゃないの」と相槌のように返したら「違うと思う、そんな名前じゃなかった」と。

あのマーキューシオの人の演技をこの目で見なきゃ、辞めちゃうのかもしれない。
「宝塚大劇場にいかなきゃ!!」

とはいえ、チケットの取り方も、宝塚の事もほとんど何も知らない。

インフルエンザで出勤停止となった妹に『暇だから入ってみたスカイステージ』の録画を見せてもらい、毎日テレビから離れられないくらいずぶずぶと深みにはまっていき、色んなこと色んな人を知りました。
タカラジェンヌは純粋培養だとどなたかが言っていたけれど、まさにその通りでした。
自分と同じくらいの年齢なのに、子供みたいに無邪気だったり、武士のように真っ直ぐだったり。親近感もあるのに遥か遠い世界の住人のような感覚を持ち合わせていたり、と周りに居る人間とは違う、澄んだ空気を纏ってるように思えました。

そしてようやくありつけた初観劇。
2015年2月20日星組公演「黒豹のごとく/Dear Diamond」

舞台は生ものだ。そして、生でこそだった。
はじめて見た大劇場はとても大きくて、幕が上がり、生オケが流れるだけで感激。盆が回ってる!!だとかライトの明滅にも感動しきり。出てくる人達はみんなみんなきれいで。トップスターの柚希さんもトップ娘役の夢咲さんもとにかく大きくパワフルで、まるで豪快な油絵のようなだなという印象で。そしてはじめて見た紅さんは水彩画のようだった。筆のように細くて長い指先は華やかで美しく、持ち味は柚希さんとはまるで違うようだった。

束の間の夢心地。念願が叶ったはずなのに欲望は常に生まれる。「もう一度、紅さんの舞台がみたいな」。せっかく来たから、と私は帰り道一本のブルーレイを携えていた。多分自分は歌の多い一本物が好きだという理由から直感で選んだ作品。それは2008年星組公演「スカーレット・ピンパーネル」。この時の私は、これがどういう演目で、どういった縁がある作品なのかということは一切知らなかった。
帰ってからそれを再生した私は、自分の選んだ作品に圧倒され、安蘭けいさんの歌声に感嘆し痺れていた。そしてその後どういう縁のある作品か知った時の興奮は測り知れず、ひたすらに興奮して喋り続けていたのは言うまでもない…。

「また観にいきたいね」、母と共通の趣味が持てた瞬間だった。

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