100の悪人、一人のカタナ

 路地裏に人が倒れる血まみれの男。すでに息は無く胸には十字の刀傷。血濡れた電振刀を手に見下ろすもう一人の男。刀は惨鉄、男は名はデンジ。デンジは蛍光灯めいて輝く惨鉄を血払いし鞘に納める。
「ターゲットはどうなった?」ノイズの混じった声が言う。
「今終わったとこだ」
「それで体の調子はどうだ?」
「まだ慣れないが問題ない」
「そうか、そいつを倒した礼だ。その体の代金はまけといてやるよ。じゃ、また後で」
 デンジは左手を屋上へ向け狙いを定めブースターが点火する。射出された手はビルの外壁に突き刺さり伸びたケーブルの具合を確かめるとデンジはそれを巻き取りビルの屋上へ昇り走り出す。肩からHP圧縮型外套を展開させ全身を覆わせる。
ビルからビルへしなやかに跳躍する様は黒猫、漆黒の外套は月を背負いなびく。猛禽のような目を持ち、得物は銃弾を弾き悪を斬る。容赦はしない。
デンジはあの日の誓いを胸に走る。全ての悪を斬るために。


【つづく……残り95人】

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