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ある夜の思い耽り
事務のお仕事から定時を少し過ぎて退社。
バス停を目指して、もうすぐ青に変わりそうな信号まで小走り。
小道をつなぐ短い横断歩道をかけて通り過ぎようとした時、向かいから歩いてくる男性のコートが綺麗に翻った。
ふとその人に目がいって、あ、と思った。
大学時代に同じサークルにいた先輩。
でも、ある日突然いなくなってしまって、それから大学で見かけてもなんとなく声をかけられなくなってしまった、先輩。
あの頃よりも、少し柔らかくなった表情と、
あの頃と変わらないゆるりとした歩き方。
彼も私に気づいたようだったけれど、私も、彼も、足を止めることはなかった。
特に仲が良かったわけではない。
すごく話したいことがあるわけでもない。
ただ、過去に交わった人が私の知らない時を経て、やさしい顔をして生きているところを、一瞬でも見ることができた。
それだけのことが、とても嬉しかった。
その後バスに乗り、インスタグラムを開き、ストーリーズをみる。
元職場の先輩たちが遊んでいる。
旅先で知り合った人が素敵なカフェで思考を巡らせている。
そんな何気ない、これまで交わってきた人たちのしあわせなひとコマを知って、
それだけで、また私の心はあったまる。
たくさんの人付き合いは苦手でできないけれど、
私の知りうる限りのほんの小さな一部ではあるけれど、、
これまで出会ってきた縁ある人たち、
ひとりひとりのすばらしい個性を尊敬していて。
自分から交わりにいくことがなくたって大好きで、今もどこかで笑っていてくれたら嬉しいな、という人がたくさんいる。
私も、みんなも、自分を活かして生きた先で、
また自然に、遊ぶように、交われる日が来たら嬉しいなと思っている。
そんな日を夢見させてくれて、こんな気持ちを思い出させてくれて、ありがとう。
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