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行動経済学についてはじめて学んでみる #3

現状維持バイアス

変化や未知のものを避けて現状維持を望む心理作用のこと。現状から未経験のものへの変化を「安定の損失」と認識し、現在の状況に固執してしまう。

現状維持バイアスが起きる心理

・損失や失敗を回避したい
現状を変化させることはメリットもあるかもしれないが、デメリットがある可能性もある。そうなると、デメリットを回避したいあまり、現状維持を選択してしまう。
・慣れ親しんだものを選ぶ
慣れ親しんだものを選ぶのは単純接触効果の影響で、繰り返し利用しているものに好感を持つ。また、保有効果により現在使用しているものへの価値を高く感じていたり、デフォルト効果で慣れ親しんだものを高く信頼していたりも影響している。
・デフォルトから変更したくない
初期設定である「デフォルトから変更したくない」という心理。初期値を変えることで現状を損失することを恐れる。

現状維持バイアスを活用したマーケティング施策

・サブスクリプションサービスの試用期間
⇒サブスクリプションサービスを初月無料で利用し始めると、登録を解除することは継続利用できなくなるという損失があるため、継続して利用してもらうことが期待できる。
・メルマガの配信許可
⇒メルマガに価値やメリットを感じてもらっていることが前提だが、わざわざ「登録を解除」することは損失になる可能性があるため、継続的にコミュニケーションを取れる手段となる。
・おすすめプランの自動選択
⇒現状維持バイアスの「デフォルトから変更したくない」という心理を考慮して、契約の際におすすめプランを自動選択しておく方法。ニーズによって別のプランを自ら選択する人はいるが、デフォルトで選択されているプランに大きな不満がなければ、そのまま契約してもらえる可能性がある。

現状維持バイアス~克服法

・バイアスからは逃れることはできない
・自分(相手)の「現状」を広げる(時間的・空間的)

⇒自分(相手)の当たり前を広げる~LGBT/最新のテクノロジー/etc…
⇒未来とは単なる時間軸ではなく、地域差がありまだら模様に存在する~タイムマシン経営

現在志向バイアス

将来の大きな利益(遅延報酬)より、目の前の小さな利益(即時報酬) を追ってしまうこと。

現状維持バイアスが起きる傾向

・運動と健康
人々は長期的な健康を改善するために運動をすべきだと認識しているが、運動を始めることはしばしば延期される。この状況では、運動による即時の努力や不快感を避けたいという現在志向バイアスが働き、将来の健康的な体や病気のリスクが低下するといった遠い未来の利益よりも、今この瞬間の快適さを優先することがしばしばある。
貯金と消費
経済的には、将来のために貯金することが賢明であると広く認識されている。しかし、現在志向バイアスにより、人々は即時の消費を好み、手元の現金を使ってしまいがちである。例えば、新しい服を買ったり、高級レストランで食事をするなど、即座に楽しめるものにお金を使いがちで、長期的な財政的安定性や節約の目標を脇に置いてしまう。
勉強と試験準備
学生は試験のために勉強することが将来的に役立つと理解しているが、現在志向バイアスのために勉強を延期し、ソーシャルメディアの閲覧やビデオゲームなど、即時の快楽をもたらす活動に時間を費やしてしまうことがある。この傾向は、試験の日が近づくまで勉強を始めない「詰め込み勉強」につながり、最終的には学習成果が低下する可能性がある。

現在志向バイアスを活用したマーケティング施策

・限定時間セール
⇒「今だけ!」「限定時間セール中!」といったフレーズを使用することで、消費者に対して即時購入のインセンティブを提供する。この戦略は、現在志向バイアスを利用して、商品が短期間で利用できる独占的な機会であると感じさせ、即座に行動を起こさせることを目的としている。消費者は将来的な価格割引よりも現在のセールを重視する傾向があるため、この戦略は特に効果的である。
・即時割引クーポン
⇒購入時に即時割引を提供するクーポンは、消費者がその場で割引を享受できるため、現在志向バイアスを刺激する。オンラインショッピングの決済画面で「今すぐこのコードを使って割引を受ける」といったオファーを提示することで、消費者は即時の節約を実感し、購入に踏み切りやすくなる。この手法は、購入決定の瞬間に消費者の行動を促進するのに有効である。
・「今すぐ使える」報酬プログラム
⇒ポイントや報酬プログラムにおいて、「今すぐ使えるポイント」や「即時利用可能な報酬」を提供する。例えば、購入直後に次回の購入で使用できるポイントを即座に付与することで、消費者は即時の満足感を得られ、ブランドへの忠誠心を高める。このアプローチは、消費者が即時の報酬を高く評価する心理を利用してリピート購入を促す。

現在志向バイアス~克服法

・「現在志向バイアスが何か」を知り、今何が重要か(目的・目標)を再確認する
・プレ・コミットメント : 前払い、予約、知り合いの巻き込み
・習慣の高度化

⇒子どもが毎日机に向かう習慣をつける
⇒食事の際にカロリーや栄養を考えたメニューにする

ここまでのまとめ

  1. 私たちは利得よりも損失を極度に恐れる心理を持っている。商品を訴求する際は、そういった消費者心理は押さえたい。

  2. 損失回避のココロはサンクコストや現状維持バイアスなど、私たちの判断に大きく関わっている。

  3. 損失回避性や現在バイアスは自分だけでなく、企業全体の動きとなったときに大きな影響を及ぼしてしまう。そのカラクリを知り、組織として合理的な行動をとれるようになる必要がある。


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