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アンティーク&ヴィンテージに偽物はあるのか?

答えは、イエス!
アンティーク&ヴィンテージジュエリーには、偽物があります。

アンティーク&ヴィンテージジュエリーの偽物が販売されているところを見たことがあるのか?
悲しいことに、これもイエスです。

前回の投稿に繋がりますが、
アンティーク&ヴィンテージジュエリーの見極めには、
知識と経験が必要です。
細かいパーツ、質感、デザイン、素材を総合的に判断しています。
それはジュエリーによって違い、一定の判断材料はなく、
言葉にすることはとても難しいです。

アメリカで出版された、ミリアムハスケルの専門書にも、
1940年代にすでにハスケルの偽物があったという記述と写真が掲載されています。
ハスケルのジュエリーをコピーして、
同じスタイルの、まるでハスケルかのようなジュエリーが制作されていました。
ハスケルが成功していたのでコピーされたという単純な理由で、
現代で様々な物がコピーされ、偽物が出回るのと同じ状況です。

しかし、当然のように、
コピーされた偽物のハスケルと、本物のハスケルが同じようなクオリティだったかと言われれば、全くの別物です。

小さなパーツひとつひとつに至るまで、妥協をせず、
ハスケルが自らの目で見極めた、最高の物しか使わなかった拘りが、
簡単に真似できるはずもありません。
私が本物かどうかを見極める判断材料の一つに、素材と言ったのは、
ハスケルが使用した素材は、最高ランクの物だからです。
そのほか、作りのクオリティ、
ジュエリーが放つ、オーラ…存在感も全くと言っていいほどに、
本物と偽物では違います。

ハスケルは当初、自身のブランドの名をジュエリーに入れていなかったのですが、
偽物が出回ったことで、ブランドの刻印を入れるようになります。
デザイナーヴィンテージジュエリーに関して言えば、
偽物です / 本物です と割と、基準は明確なことが多いです。

対して、
アンティークジュエリーの偽物の基準として、難しいのが、
ジュエリーはリバイバル(復刻)されていることです。
例えば…
ファッションだと、「今年は1960年代のスタイルがトレンドで、
1960年代のワンピースを、モダンにアレンジしています」
ということがよくありますが、
これはコピーというより、リバイバルです。

ジュエリーの世界も、100年以上前からリバイバルされています。
まるで、1800年代のヴィクトリアン時代のリングのようなデザインでも、
1950年代に制作されたものなど。
もしくは、まるで現代に制作されたデザインのような、
モダンなアンティークジュエリーもあります。

そして、更に複雑なことに、
リバイバルではなく、シンプルにアンティークジュエリーの偽物も存在します。
これは、価値や人気の高いアンティークジュエリーは数十万円、数百万円の値段もつくので、偽物が制作されるのです。

美術館に展示されていた有名な画家の作品が、
実は贋作だったというニュースを耳にすることがありますが、
同じような状況がアンティークジュエリーの世界にもあるのです。


アンティーク&ヴィンテージジュエリーに専門知識が必要なのも、
偽物が存在するのも、
偽物が販売されていることも、
正しい情報と共に販売されていないことも、
こういった理由からです。

そして、その事実を知らぬまま、
ご購入されるお客様がいらっしゃることは、何よりも悲しいことです。

アンティーク&ヴィンテージジュエリーの奥深さを知った時、
様々な事情を知った時、
「これは、一生かかるな…」と思いました。
その考えは、今も全く変わりません。


時々、お客様に、
私以外のバイヤーから買ったアンティーク&ヴィンテージジュエリーを鑑定してください。本物ですか?と言われることがあるのですが、
申し訳ないですが、全てお断りしています。
お修理に関しても、同じです。
私が、他の方がお売りしたジュエリーの責任を持つことはできないからです。

http://meltingpot-shop.com







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