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想鬱

羊を数える少年に悪夢を見せる少女
思えば想うほど傷を負う愛
鬱と云う響きに助けを求め依存する
枕に垂れる青色に暖かさを感じる

雨の後のアスファルト
右から結ぶ靴紐
ポケットからだす鍵
2Bの鉛筆とスケッチブック
熟した林檎を噛じる
何も無い日々に息を呑む
描けない自分に嫌気がさす

死ねないのに締める首
まわらない舌と脳
逃げる周りからの目
昨日みたいな日々を過ごす

感情を校閲される社会
苦しい思いを叫んだだけなのに
全てを無かったことにされる
苦しいも楽しい
死にたいも楽しい
歪んだ面で生きる道

路地裏に潜む野良猫の様
毎日に怯え生きる

捨てられたくなくて
背伸びして
枝が折れて
枯れていく

今までが今日みたいに
これからも今日でいる
死にゆく日が明日なら
今が明日かもしれない

下品な女の笑い声
新歓で騒ぐ大学生
これが日本を作り
日本がこれを作った

居なくならないでと縋り
居なくならないよと綴る

不安定な感情に
無愛想な君が刺す
過去を語り
今を航海する

0の少年に1をかける少女
希望を獲て上がる期待度
何も変わらなかった未来像

孤独の中にいる自分
檻とは程遠い小部屋
曖昧が確定とされる
ズレた世界の軸

グラスに浮かぶ溶けた氷
半透明に薄まった珈琲が
全力を表現出来ない僕みたいで
少し安心した


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