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フリゲの祭典ウディコンに時折現れる怪物「迷宮郷まよろば」を語る


あいさつ

皆さんは毎年夏休みに開かれるウディコンと言うインターネット上のお祭りをご存じでしょうか?
ウディコンと言うのはフリーゲーム、いわば個人製作の無料ゲームのお祭りなのです。
歴史はそれなりにあり、なんと今年で16回目、16年目の開催となります。

まあ細かいレギュレーションとか結構あるのですが、お祭りのレギュレーションとして用いられるツールのWolfRPGエディター、通称ウディタはSmorkingWOLFさん一人で製作してるツールなのでこれまたすごい労力です。

全て一人でこなすスーパーマン

さて今回語りたい迷宮郷まよろばは、執筆時点で絶賛開催中の第16回ウディコンエントリーNo.51、そぞろ豆腐さんの作品である。
まずOPの時点で電車のつり革とかの細かい動きや、キャラ移動とカメラを別々に動かすなど非常に細かく映像の見せ方に惹かれます。
開始15秒でもうこれは映像の作り方がわかってる人が魅せて来てるなと感じました。
アニメなどでもよくつかわれる技法ですが、1枚絵を斜めにスクロールする。ただそれだけで映像として動きがあるように錯覚してしまう。
絵を描きカメラ構成を決め、流す音楽を作る。
これらはふつう一人でやるものではないのだが、現にできてしまってるのだから仕方ない。
いったい何者なんだ…

もしかしたらここから書く記事は「フリーゲームだから」「個人製作だから」という色眼鏡で甘めの評価をしてるかもしれません。
しかしながら何らかの作品を評価する評価軸として、「ほかにもっとすごい作品がある」「いまは個人製作とか珍しくない」などという軸を持って作品を見てしまうと、自分の感動したものをいつ褒めるの?ってなってしまいます。

確かに昨今の情勢では企業の方々が数十名体制で作ったアニメしかりゲームしかり、無料で触れられてしまう環境があまりにも広がっている。
その結果としてこういうサブカルチャー的な作品は例え無料だとしてもわざわざ時間をとって実際に触ってくれる可能性は限りなく低いのだ。

それでも多大な時間を費やして作品を完成させてくれる人々を素直に尊敬する。

偶然では作品は完成しない

自分は次々と現れる景色に魅入られ、クリアまでの2時間強の時間をノンストップで遊んだ。
景色より先に聞こえ始める音楽がこれまた良いのだ。
音楽の始まりによって場面の切り替わりをいち早く察知する。
本来音より光のほうが早いはずだが、どうしても映像を構成するものは情報量が多く、頭の中の知識を当てはめる時間が必要なのだ。
それゆえに音で知り、画で納得する。それの繰り返しなゲーム体験だった。

見下ろし型の探索ゲームかと思いきや、突然横スクロールのステージが始まる。
楽しい音楽が流れるのだから従うしかない。訳が分からない。

上記の2枚を比べると一人の作者から生まれたとは思えないような作風の変わりようである。
ハイコントラストでおどろおどろしい絵があったと思えば、演劇の舞台看板風な作風のステージもある。
自分、こういったかわいいゲームの裏側に潜んだ狂気ステージに狂喜乱舞する侍なので、赤黒ハイコントラストなステージはゾクゾクしながらも探索した。
ゲームオーバーが無いのが救いである。あったら心臓飛び出て夏の暑さに倒れてたかもしれない。危なかった。
最高気温40℃まであと一歩、そんな世界になるとは思わなかったよ…

このゲームで欠かせないと個人的に思ってる観光案内図風のゲームマップ。セミの鳴き声が似合いそうなハイキングコースの休憩所とかにありそうなすごく曖昧な地図である。
筆者はハイキングコースにありそうなすごく曖昧な地図大好き侍でもある。
迷宮郷まよろばには様々な隠し通路が存在しており、隠し方も様々だ。見えにくい梯子だったり、見下ろし型ゲーム特有の隠し方だったり、思い込みを利用したフェイクな隠し方だったり様々だ。

その様々な隠し通路の先には大抵クリアに必要な「おたから」が用意されてるのだが、地図とにらめっこしながら目を凝らして探す宝探しが非常に楽しい。
そう、このゲームはまさに地図片手に観光地を練り歩くスタンプラリーなのだ。

筆者はプレイヤーに何らかの行動させるにはまず情報が必要だと思っており、作者側からのネタバレを恐れるあまり情報を完全に閉ざしてしまっては動きようがないのだ。
時に狭め、時に大胆に、チャレンジのやりがいを担保するものがプレイヤーへの意地悪であってはいけない。あくまでもゲームは娯楽なのだから。

その点迷宮郷まよろばは中々に絶妙なヒントの出し方をしてくれている。
収集物の最後の一つなんて見つかりっこないのだから、残りのおたからの場所を示してくれるのはありがたい。

好きを見つけるには時間が掛かる

本当は2時間強の間撮りまくった80枚以上あるスクショをもう少し貼りたいところだが、それは遊んでみてのお楽しみということで。

今回紹介した「迷宮郷まよろば」は今年エントリーした71作品の中の一つに過ぎず、これ以外にも素晴らしいゲームが毎年沢山あります。
レギュレーションではこのフリーゲームのお祭りであるウディコンが初めての公開であること、つまり毎年のように何十作品もの新作が投稿される、今も熱量の高いお祭りです。
作者の腕前はピンからキリまでの無差別級、何なら祭りを知って1日で作ったと言う人までいるので、いわゆるクソゲー…奇作も交じってるかもしれませんが…

そんな無差別級で無秩序なお祭りを筆者は16年も見守り続けてるのも事実。
単純にゲームレビューを見るのも好きで、1か月の開催期間に数千ものレビューコメントが集まるこのお祭りは貴重な心の栄養源ともなっているのです。
作るのに数百時間掛けた作品が賛否両論になるなんてのはザラにあり、すべての人が大絶賛なんて作品は世界一売れてる漫画でもゲームでも今の世に一つたりともありません。

故に自分の好きなものを見つけるのには時間が掛かるのです。
全打席ホームランな野球選手がいない様に、打率3割もあればかなり優秀なほうです。
創作に触れるものの心がけとして、合わない作品に触れることを許容できるといいなと思う。


あ、最後にもう一度URL張っておくから時間がある人は遊んでね、毎年たくさんあるゲームのそれらはすべて無料なので。
コンテスト投票してあげたりTwi…Xでレビュー書くと作者喜ぶから。

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